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| 2002年07月07日(日) 七月七日。 |
| 僕はピラミッドでも造っているのだろうか。 と感じるほど体が疲れ果てていて、最後の力を振り絞ってアパートの階段を昇り 202と書いてある僕の部屋のドアを開け、靴を脱いで、脇目も触れず、緑色のソファーへ向かい、 そのまま、歩いているときの延長線上のような姿勢で倒れこむ仕事帰りの午後7時。 それは自然な動作で、僕のまぶたは静かに閉じる。 身体が切実に休息を求めている。枯渇した精神が安らぎを求めている。 僕は眠る。ソファーで眠る。2時間眠った。10時に目覚めた。 午後10時。異様な蒸し暑さと奇妙な空腹感で目が覚める。 顔を洗って、夕食を買いに行こうと財布と車のキーが乗ったテーブルに伸ばした手がふいに止まった。 テーブルの上に指輪が乗っている。紫色の小さなアメジストが埋め込まれた指輪・・・!! 僕はベランダへ向かって走り出した。 ――3年前の2月18日 彼女の誕生日に僕は紫色の小さなアメジストが埋め込まれた指輪と、黄色の小さなクロッカスの花をプレゼントした。 アメジストは彼女の誕生石で、クロッカスは誕生花。まだ、一片の照れも見せずにキザなことができた年頃だった。 彼女はとても喜んで、その場で指輪を薬指にはめて、黄色の花を掲げた。 「ねぇ、クロッカスの花言葉って何ていうか知ってる?」 「いや、知らない」 「『わたしを信じて』」 彼女は僕の目を逸らすことなく喜びに満ちた顔でそう言った。 そして「あなたの7月の誕生日にはルビーの指輪とヒマワリを贈ってあげるね」 といったまま、その年の11月、彼女が乗っていたバスが大雨の中横転した。 10人の乗客の中、7人が助かって、残り3人の中に彼女が含まれていた。 そして僕は僕の誕生日を1人で過ごすことになった―― 僕は身体の疲れも忘れ、勢いよくベランダの窓に手を掛けた。 そして窓を開けたと同時に、何かが――思慮の塊のようなものが――僕の額から後頭部にかけて突き抜けた。 『わたしを信じて』 『わたしを信じて』 裸足のまま、ベランダに降りた。 僕はいつも心の中で(いつか彼女に再び出会えますように)と願い続けていた。 空を見上げると、天の川がアメジストの粒のように、輝いていた。 |
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