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| 2002年07月05日(金) 敗北の日。 |
| 寝る前に洗濯機のタイマーを設定して、目覚める頃には洗濯は終了しているはずだったが 今朝、洗濯機の蓋を開けると、ただ洗剤をまぶしただけの汗臭い洗濯物が昨夜と同じ姿で洗濯槽の中に佇んでいた。 思いがけず機械に裏切られたことに落胆し、機械も時々は寝坊するものだなどと 自分なりに解釈しようとしたがどうも納得いかなくて洗濯機の横っ面を蹴った。 蹴った振動で目覚めたのか、この全自動洗濯機は、突然、物凄い形相で、顔を真っ赤にして、コンセントをピンと張り巡らせ まるで僕の下着やTシャツをオレンジかリンゴと思うような勢いで、 そう、ミックスジュースになるんじゃないかという勢いでジューサーの如く回り出して僕を狼狽させた。 下着やTシャツなんて替えはいくらでもあるのだが つい最近買ったアバハウスのポロシャツが入っていたので、それは12800円もする品物で ポロシャツだけは、助けなくては。 などという使命感に駆り立てられて、もはやジューサーと化した自動洗濯機に僕は果敢にも右手を入れて 憐れなポロシャツを救出しようと試みたが、僕の右腕はあっけなく僕の身体から離れてしまって 洗濯機の渦の中に吸い込まれてしまった。 左腕だけになってしまった僕は、ポロシャツを助けることはおろか、右腕を取り返すことはおろか、 ああ、これじゃあ、プレステが、できないや。 なんていうことを考える有様で、昨日「メタルギアソリッド2」というゲームソフトを買ったばかりで ご多分に漏れず、そのゲームソフトもコントローラーを両手で持って操作するというもので 右手を失った今、僕は6800円はたいて買ったあのゲームソフトを手放してしまわなければいけない。と かつて右腕が存在した付け根の部分(右肩の少し下の方)から止めどなく流れる 赤い血液をぼんやり眺めながら考えていた。 「メタルギアソリッド2!高かったんだぞ!」 もはやアバハウスのポロシャツのことなど忘却の彼方に消えてしまっていて 僕は残った左腕に渾身の力を込めて洗濯槽の中へ突っ込んでみたが、 その左腕もあっけなくもぎ取られる有様で もう、なにも、できなくなっちゃった。 という変な悟りを開いたのを最期に、僕は身体ごと洗濯槽に身を投げて アバハウスのポロシャツやメタルギアソリッド2や汗臭いTシャツや彼女のパンティーと共に ミックスジュースになる道を選んだ。 |
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