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| 2002年06月28日(金) 火葬現実。 |
| 職場の研修で、バーチャル・ハルシネーションというものを体験した。 バーチャル・ハルシネーションとは幻覚や妄想などの症状が十分にコントロールされていない 精神分裂病患者の目と耳を通した世界を擬似体験することができるシステムである。 ヘッドギアを使用し、幻視はCGにより、幻聴はステレオ音声により擬似体験ができるという唄い文句。 場面は症状が十分にコントロールされていない精神分裂病患者が医師と面接しているという設定。 ヘッドギアをかぶると、目の前に仮想現実の世界が現れた。 僕は架空の病院の架空の診察室に座っていた。 目の前には黒いネクタイを締めた白髪の医師が胸を張って座っている。 医師は、僕に話し掛ける。「調子はどうだい?」「夜は良く眠れてるかい?」 医師が睨んでいるような目つきをしているのは、 おそらく擬似世界の精神分裂病である僕が被害的な感情を抱いているからだろう。 「悪人!!」「死んでしまえ!」 突然耳元で弾けるような甲高い声が響いた。 医師はそんな声など気にしない様子で、延々と僕に病状の程度を語りかけてくる。 おそらくこれが幻聴というものだろう。ボソボソと誰かが語りあっている。 気になって耳を澄ます。医師の言っていることなど頭に入らない。 目を凝らすと医師の額にもう1つ目が増えていた。要するに3つ目になっていたのだ。 3つ目の医師に驚いていると、突然大きな音を立てて左上方から巨大な鳥が現れた。 診察室に鳥だなんて馬鹿な。おそらくこれが幻視というものだろう。 さっきから机の右側に置いてある本の上を小さな昆虫がザワザワと動いている。 「はい、お疲れ様でした」という声と共に、ヘッドギアを外され僕は現実世界に引き戻される。 額には冷や汗、両手は微かに震えている。 あれが精神分裂病の世界なのか。そんな、馬鹿な。誇張しすぎじゃないか。 この擬似世界はまるでバイオハザードの世界じゃないか。 これが本当に精神分裂病の「現実」の世界であったならば、 僕は、患者さんへの応対を、病気に対する認識を改めなければいけない。 フラフラとした足取りでナースステーションに戻るとき、頭の中で 「悪人!」「死んじまえ!」「浮気者!」と聞こえた。 あれは、浮気じゃあ、ないよ。 自分に言い訳をしていると 左上方から突然大きな音を立てて巨大な鳥が現れた。 |
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