2002年06月02日(日)  制裁。
「もしもし」
「はいもしもしぃ。ああっ!パパっ!?」
「あ・・え・えっと・・・お・お母さんいますか?」
「はぁい。ちょっと待ってて下さ〜い。(ママ〜っ!電話〜!)」
 
背中から冷たい汗が滑り落ちた。
受話器を持つ手も濡れて、心臓の拍動はTシャツの上からも容易にわかった。
 
「ごめんね〜。ビックリしたでしょ〜」
「ビックリしました。いきなりパパっ!?だもん」
「ハハハッ。ホントごめんね〜。主人と同じ着信音にしてたから子供が勝手に取っちゃったのよ」
 
社会では許される事と許されない事があることは誰でも知っている。
僕がやっていることは無論後者。
許されないと知りながらやってしまうことがあるということも誰でも知っている。
 
彼女は来月、主人の出張で僕の目の前から姿を消してしまう。
それは僕と彼女を安易に引き離す理由だった。
世の中は実に上手くできていて、時にその仕組みに憎悪を抱く。
 
もう少し早く出会っていればよかった。
こういう事態は遅かれ早かれ訪れていただろうけど、遅い方がいいに決まっている。
もう少し早く出会っていればよかった。
 
今日、努力が実を結んだというか幸運が舞い降りてきたというか
とにかく嬉しいことがあって、それをどうしても一番最初に彼女に伝えたかった。
彼女なら本気で喜んでくれそうだし、実際に僕が予想していた以上に喜んでくれた。
 
タイムリミットはあと2週間。
2週間経てば、僕たちの歪んだ関係は有無を言わさず強制終了される。
 
社会的な制裁を受ける前に、ひっそりと幕を閉じる。
そして、こっそりとそれぞれの胸の中に閉じ込められる。
 
永遠に。ずっと愛しています。

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