2002年05月20日(月)  最後の二塁打。
「お前はいったい今まで何してたんだ!!」
監督が怒鳴る。ソフトボールの試合前。中学校のグランド。
 
「失恋してました」
とだけ言って僕は素振りを始めた。
ここ数日、悠々とソフトボールの練習なんてできる状況ではなかった。
愛のキャッチボールに失敗して延々と酒を飲んでいたのだ。
だから今日の試合にも出るつもりはなかった。
 
後輩の携帯から監督が電話するまでは。
 
「お前は7番セカンド!わかったか!」
監督が怒鳴る。怒鳴らなくたってわかる。2塁を守って7番目に打てばいいのだ。
 
野球では7番バッターは『第2の4番』と言われてるらしいが、
そんなものは丁稚上げの建前で、下位打者ということには変わりない。
人より少し足が早いだけで監督はすぐ僕にバントのサインを出す。
バントすると全力疾走しなければいけないので、監督は好んでいるが、僕は嫌っている。
失恋して1塁まで全力疾走して何の得があるんだ。
あなたのコップは小さすぎると言われてチームに1点入って何の功名があるんだ。
 
というわけで2塁打。
バントのサインを無視してヒットを打ったので監督は複雑な表情。
チームの為になんて寛容な心は生憎今の僕は持ち合わせていない。
 
だけど結局今日のヒットは二塁打1本だけで、
あとの3打席は内野ゴロと凡フライとバント失敗。
しかもチームはランディー・ジョンソンのような中年オヤジピッチャーから1点も取れずに惨敗。
敗戦処理で後輩がマウンドに立つが、ワンアウトも取れずに交代。そして半べそ。
 
「肩暖めてないのにいきなりマウンドに上がれって言われたって無理ッスよ!」
試合帰りのマクドナルドで延々と後輩の言い訳を聞かされた。
 
僕は次の試合こそはホームランを打ってやるぞと意気込むこともなく、
もうソフトボールなんて辞めてしまおうと思った。

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