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| 2002年05月09日(木) 波長。 |
| 彼女は僕の少食を嫌う。 「私から食事を取ったら何も残らないわ。あなたも、残らない」 言っている意味がよくわからないけど、それだけ食事が大切だってことと その言葉にアブの針程度の毒がこもっていることだけはわかった。 彼女は食事の時間をとても大切にする。 コンビニの弁当を買って、小説を読みながら食事をする僕の姿を怪訝な目で見る。 そして僕の食事の遅さに母親のような口調で小言を言う。 僕はいつまでもダラダラと食べているので少しの量で満腹になってしまう。 彼女はとうの先に自分の食器は片付けてしまって、 コーヒーを煎れて僕とテーブルをはさんで向い合って座り、 小説を読みながら食事をダラダラ食べる僕という媒介を通して何かを考えている。 彼女はドリアが好きで外食に行く度にドリアが美味しい店に連れて行ってくれる。 僕はドリアが好きでも嫌いでもないので、 彼女がこれまでの人生で養って培ってきたドリア論をいくら熱弁しても ドリアの鉄皿ほどの熱も伝わってこない。 後輩がいくらパチンコの楽しさについて熱弁しても 先輩がいくら釣りの楽しさについて熱弁しても 適当な相槌を打つことと同じように。時には話の途中で欠伸をすることだってある。 僕が「3食食べたという『形』があればそれで十分なんです」と言うと 彼女は「つまらない人」と言う。 僕が「昨日の夜何食べたかなんて覚えてないよ」と言うと 彼女は「可哀想な人」と言う。 思わぬところで同情されたりすると、自分が、自分という存在が間違えているような気がして とても惨めになる。 惨めにだけはなりたくないから、周囲と波長を合わせるんです。 キミとも、波長を、合わせるんです。 まだ雑音がいっぱい入るけど。 |
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