2002年04月22日(月)  十字架。
その小さな背中に背負っている大きな十字架が見えますか。
キミには、見えないと思う。勿論、僕にも見えない。
 
何か背中に背負っていることは、昔から知っていたと思う。
それが何なのか理解できなかった。まさか十字架とは思わなかった。
僕は、んーん、ランドセルのようなものだと思っていた。
何か知識が詰まっているようなものを背負っていると思っていた。
 
重みは感じていた。
何かずっしりとした重みは感じていた。
それが何なのか理解できなかった。
それは学校で学んだ、教科書的な、不純物の入っていない、知識だと思っていた。
 
無理もないよ。教室に座っていた時間と、臨床に立っている時間なんて
僕達は比較するに値しない。
この身にまとっている白衣も、まだ体に馴染んじゃいない。
 
鏡を見てごらん。ナースキャップをかぶった自分自身は見えるはず。
目を細めてごらん。キャップの向こう側に何が見えますか?
うっすらと、見えますか?知識でも技術でもない、十字架を見ることができますか?
 
キミは今回の件で、十字架の輪郭が少し見えてきたと思う。
十字架の重みが体の心まで伝わってきたと思う。
 
真実や大切なものの答えは、往々にして単純なものだけど、
僕達は、ストレスや、勤務表や、休日の予定や、夕食の内容で
それを、すぐ見失ってしまう。覆い被されてしまう。
 
この白衣を着ている限り、
これから数多くの経験を、数多くの痛みを、数多くの苦しみを味わい、
限りない涙を流すことになると思う。
 
その涙が、ぼんやりとした十字架を徐々に浮き上がらせてくると思う。
 
だけど、僕には見える。ナースキャップをかぶった君の背後に、
その見えない十字架を優しく包む小さな翼が。
 
 
 
 
 
 
―――――
 
僕は励ますことってあまり得意じゃないから、すぐこういう文章に頼ってしまうけど、
励ますより、助言するほうが
肩を叩くより、暖かいスープを与えるほうが
お互い、成長するんじゃないかなと思う。
 
月並みな言葉だけど、
キミは白衣の天使なんです。
 
だから誇りを持って。
しっかりと、お箸も持って。

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