2002年04月17日(水)  ギターと金髪とシドニィ・シェルダン。
看護婦と美容師の妹がいる。
美容師の妹はともかく、看護婦の妹はすごく真面目で、勉強熱心で、
少々気難しいところもあるけど、趣味でギターを弾く。
 
この妹が、どういう人生の場面で、どういう人物と出会って、どのように感化されて
ギターを弾くに至ったかなんてわからないけど、
妹は、僕と会う度に車からギターを持ってきて新しく覚えた曲を演奏する。
 
曲の内容はともかく、妹は、あの生真面目な表情で、時々眉間に皺を寄せて
ハミングし、弦を弾く。
「この前より大分上手くなったね」
と誉めると、とても喜んで、また次会う時のために新しい曲の練習を始める。
 
もう1人の美容師の妹は、ギターは弾かない。おまけに部屋の掃除だってしない。
タバコは吸うし、時々酔っ払って僕に電話をかける。
「兄ちゃん、早く結婚しなよ」
なんて母親の前で余計なことばかり言う。おまけにトイレの掃除だってしない。
 
時々、聞いたこともないようなアーティストの中古アナログ盤を買ってきて僕に聞かせる。
ヒップホップ好きの、いかにもヒップホップなスタイルをしている彼氏がいるけど
数年前、とある事で僕が喧嘩を売ったらそれ以来僕の前に姿を現さなくなった。
まだ妹とは続いているらしいけど、妹は僕の前ではなぜか彼氏とヒップホップの話をしない。
僕は別にヒップホップは嫌いじゃない。
 
母は、典型的な放任主義で、兄妹がすることに何も口を出さない。
何も口を出さずに、映画と小説ばかりみている。
小説は溜まる一方だけど、僕とは作家の趣味が合わないので、母が読んでいる本は読んだことがない。
そして何か話をするたびにすぐシドニィ・シェルダンを持ち出す。
「そういえばシドニィ・シェルダンの本に洗濯をマメにする男は幸せな家庭を持つって書いてあったわよ」
なんて根拠のないことばかり言う。
 
母親はこんな調子で僕達兄妹を、ギターを弾く看護婦と、部屋の掃除をしない美容師と、
寝起きが悪い看護士に育てた。
 
父親の思い出は、少ないけど、それぞれの心の中に、それぞれの思い出が眠っている。
と僕は思っている。

-->
翌日 / 目次 / 先日