2002年03月15日(金)  傘の隙間をすり抜けて。
窓を明けると外は雨。時計を見ると午前9時。
 
・・・。
 
今日は仕事でも休日でもない。ましてはここは鹿児島ではない。
大学の講義だ。
 
時計を見る。午前9時5分。案の定、時間は戻っていない。溜息をつく。
 
講義の開始時間、午前9時。外は雨。僕は寝坊。
半ば諦めて半ば急いで支度をする。外は雨。傘はない。
 
午前9時半。ジャケットはびしょ濡れ。教室のドアを開ける。
そんな、田舎者を見るみたいな目で、僕を、見ないで。
 
昨日おにぎりをくれた子もクスクス笑っている。
「鹿児島の時間で動いちゃだめだよ〜」
「ゆとりを持つことは大切なんです。あ、昨日はありがとう」
「どういたしまして〜。美味しかった?」
「都会の味がした」
「おにぎりなのに?」
「田舎のおにぎりは、もう少し柔らかい」
「ハハハッ!」
 
彼女が大きな声で笑うので、皆一斉にこちらを見る。
僕は小声ですいませんと言う。遅刻してすいません。私語をしてすいません。
鹿児島でも東京でも僕は謝ってばかりいる。
 
バッグから慌てて(慌てるフリをして)教科書を出していると、
ポンポンと後ろから背中を叩かれる。振り返るとメガネの女性。
「ハイ。授業が始まってからの内容、メモしといたから」
 
僕はその優しさにひどく感動する。
このメガネの女性とは、昨日少しだけ話しただけなのに、こんなに親切に接してくれる。
 
横に座っているおにぎりの女性といい、後ろに座っているメガネの女性といい、
 
都会の人は、思いのほか、優しい。

-->
翌日 / 目次 / 先日