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| 2002年03月01日(金) 用務員。 |
| 一心不乱に仕事をしていると、あっという間に時間が過ぎそうな気がするけど、 時計をみると10時30分。まだ仕事は始まったばかり。 事務のお姉さん。 「プリンタの調子がおかしいから見てくれない?」 栄養士さん。 「栄養管理室の蛍光灯がきれちゃったから替えてくれない?」 看護婦さん。 「お弁当注文みんなの分とってくれない?」 薬剤師さん。 「ちょっと背中掻いてくれない?」 ・・・・・・ 僕は、病める人を看るために、高校を卒業して看護学校へ進学したんです。 看護学校ではプリンタのメンテナンスも、蛍光灯の交換も 弁当注文の仕方も、背中の掻き方も習わなかった。 他にもいっぱい看護士さんはいるのに、皆、僕に無理な注文をする。 理由は簡単! 僕は物事を断ることができないのだ。 人が良いというか、単に小心者なのだ。自分を犠牲にして周囲を丸くするんです。 その変わり、僕自身は削れていく一方。 朝はなかなか目が覚めず、昼はトイレに長く座り、夜は枕を湿らせる。 脚立を持ってきて栄養管理室の天井の蛍光灯を替えていると 上目遣いで栄養士さんが話し掛けてくる。 「もうすぐホワイトデーだね」 「そうですね」 「私ね、クッキー嫌いなの」 「そうですか、そりゃ残念」 「だからね、別の物が欲しいなぁ。って」 「ふぅん」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・何が欲しいって聞かないの?」 「聞きません。クッキーでいいじゃん」 「ダメ。クッキー嫌い」 「栄養士さんが好き嫌いしちゃダメだよ」 ここである種の駆け引きが始まる。 僕はこの駆け引きが大好きだ。 仕事が終わる10分前。 「ちょっとこれコピーしてくれない?」 栄養士さんが書類を渡す。 僕は看護士。書類のコピーなんて管轄外。看護学校では習わない。 含み笑いをする栄養士さん。 含み笑いで返す僕。 ここである種の駆け引きが実行される。 書類の裏に書いてあるメッセージ。 |
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