2002年02月21日(木)  フランス産 仔ウサギのリエット 香草風味。
僕は経済的に余裕がある方ではないのに、
レストランやバーで、よくコースを頼む。
 
前菜からデザートに至るまでの一連のゆったりとした流れが好きで
財布とろくに相談せずに「じゃあ、このコースを」と気取った口調で頼んでしまう。
 
「バイヨンヌ産ハムとメロンの黒ゴショウ風味です」
 
とウェイターが小さな皿を持ってきても、僕にはさっぱりわからない。
メロンに生ハムという組み合わせが美味しいのか美味しくないのかさえわからない。
だけど、なんだか高そうだな。高そうだから美味しいのだろうな。
という漠然とした思いで食べるのである。
 
僕がよく行く近所の定食屋は、お世辞にも美味しいとは言えず、
唐揚げは岩のように固く、キャベツは日干しされたかのようにパサパサしてるのだけど、
料理を持ってくるときに
 
「酢豚のパイナップル添えです」
 
なんて言ってくれれば、生ハムとメロンの組み合わせのように、
少しは美味しく食べれるんじゃないかなあ。と思う。
 
話をレストランに戻す。
コース料理の醍醐味は、料理の数だけ話題が尽きないということだ。
皿の大きさと料理の内容の比が7:3くらいの割合なので、
話題が1つ尽きるくらいの早さで1つの料理も皿から消えるのだ。
そして話題が尽きた頃に、
 
「キノコのクリームスープ エリタージュ風です」
 
なんて呪文のようなことを言ってウェイターが次の料理を持ってくる。
僕達はその料理をぼんやりと眺める。
そして、「あ、そういえばさ」と次の話題が始まる。
 
だいたい1つのコースに要する時間は2時間くらいで、
残すはデザートのみという頃には2人ともだいぶアルコールが入っていて
その後の出来事に多少の大胆さを見せることができる。
 
「洋ナシのキャラメリゼ ショウガ風味のチョコレートケーキです」
 
デザートが運ばれてくる。相変わらず僕は料理の名前を聞き取れない。
聞き取れたとしても、その言葉をどこで区切っていいのかわからない。
「ねぇ、メリゼミョウガ風味って何?」
なんて小声で連れの女性に聞いたりする。
 
彼女は「フフフッ。違うわよ」と言う。
違うなんてことは僕だってわかっている。酔ったフリをしてるだけなんだよ。
 
さ、店を出よう。
「最後にキミという名のフルコースに舌鼓を打とう」
なんて言うと嫌われるに決まってるから決して口には出さないけど。

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