2001年12月30日(日)  最後の休日の空。
今年最後の休日。僕は1人温泉街に来ていた。
冬休みや正月休みの家族連れが揃いの浴衣姿で、寒そうに、しかし楽しそうに、
湯気が立ち込める砂利道を歩いている。
 
「こんにちは」
「こんにちは」
「寒いですねぇ」
「そうですね」
 
擦れ違う時に挨拶を交わす。日頃よそよそしい表情で歩いている人たちも、
観光地に来ると、狭まっていた心が少しだけ開く。
これが市街地だったならば、この家族連れと僕は挨拶なんて交わさないだろう。
 
立ち止まって空を見上げる。澄み渡った空。肌を突き刺すような空気が
空をより一層、際立てている。
 
今年最後の休日、僕は早起きして、この温泉街へと車を走らせた。
道路脇には、しめ縄や鏡餅を売っている出店が建ち並び、
手をこすり合わせ、白い息を吐きながら威勢のいい声を挙げていた。
 
夫婦、家族連れ、カップル。人は皆、まるでセットになっているように、誰かと寄り添って歩いていた。
その複数形の人塵の中で、僕だけが1人、薄っぺらなジャケットを着て歩いていた。
  
旅館の初老の女性は、「お1人ですか」と2度繰り返した。
「はい、そうです」と僕も2度繰り返した。
女性は一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐにもとの笑顔に戻り、
「ごゆっくりと」と言い、僕を部屋に案内した。
 
僕は部屋に入り、暖房を入れ、露天風呂に向かった。
ここから車で10分くらいの所に、天然のアイススケート場のことを旅館の初老の女性に聞いたが、
とても1人では行く気になれなかった。
 
露天風呂へ向かう。露天風呂といっても周囲は竹垣で囲まれているため、
屋根のない銭湯といった趣の露天風呂だった。
10分ほど、空を見上げながら湯に浸り、風呂の縁に腰掛けて周囲の空気を身体に感じた。
あっという間に肌は凍えあがり、体についた露を冷水に変えようとした。
そしてまた湯に浸り、何もない空を、ただ、ただ、見上げた。
 
風呂に浸りながら、今年を振り返ってみようかと思ったけれど、
何もない空を見上げていると、何も思い出せなかった。
 
なんてね。な〜んてね。
 
今日は、このような内容の日記を書くつもりだったけど
今年最後の休日に、僕は、午後4時に、繰り返しますよ、午後4時に起床しました。
で、何をしたかって?ふて寝です。繰り返しますよ、ふて寝です。
 
最後まで僕らしい休日でした。さよならばいばい2001。

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