2001年12月29日(土)  最後の休日前夜。
友人宅で鍋をする予定だったが、仕事が終わって携帯を確認すると、
「今日鍋中止になりました〜。だからみんなでどっかに飲みに行こ〜」
という留守電が入っていた。
 
鍋は中止。残念。僕は飛ぶように家に帰り、
バックの中に下着と小説を詰め込んで、
パソコンを開き、開いてそうなホテルの電話番号をいくつかチェックして、
温泉に行こうと思った。
 
明日は今年最後の休日。僕自身を僕自身が癒すために、温泉に行こうと思った。
霧島。車で3時間。今から出発すると午後9時には到着する。
露天風呂。夜空を見上げながら、今年の僕について総括するんだ。
 
ゆっくり風呂に浸かって、食事を食べて、酒を飲んで、寝る前にもう一度
露天風呂に入って、――部屋に戻るともう布団が敷いてあって――
のりの効いたシーツにくるまって読みかけの小説を読みながら
「今年一年、お疲れ様でした」と自分に言い聞かせながら眠るんだ。
よし、出発しよう。
 
「で、何よ、温泉って。飲みに行くって行ったじゃない」
 
友人から電話。僕は飲みに行かないことを告げると、怒りを露にした。
 
「いや、ね、ほら、鍋が中止になったでしょ、で、飲みに行くのもさ、今回が
最後ってわけじゃないでしょ。いや、そういう意味じゃなくて、ほら、実はね、
明日は僕の今年最後の休日なんだよ。だからさ、ねぇ、自分にお疲れ様って
言いたくてさ、温泉にでも・・・」
「ふぅん。だから私達と飲みに行きたくないってワケね」
「いや、だから、そういう意味じゃなくて・・・」
「わかった。よ〜くわかった。じゃあね。行ってきなさいよ。温泉に」
 
そういえば僕は一年中怒られてばかりだった。
数分後、もう1人の友人から電話。
 
「ちょっとあんた〜どういうことよ〜温泉って〜!!」
畜生。あいつ、チクりやがった。
 
結局、というか、やっぱり僕は友人3人と食事に行って、飲みに行った。
 
僕たちはもう25歳。みんなそれぞれのお洒落をして、
それなりの雰囲気のバーに行くと、やっぱり、もう、大人なんだな。と思ってしまう。
 
温泉に行くことなんてすっかり忘れて、友人達と尽きない会話をしながら、
僕の時計は、今年最後の休日の始まりの時間を告げた。

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