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| 2001年12月06日(木) 嘘も方便。 |
| 3日前の日記で、タクシーの中の出来事を書くことを忘れていた。 3日前、職場の病棟の忘年会。 早く家に帰りたかったので、僕は止める後輩を振りほどいてタクシーを拾った。 そのタクシーの中での出来事。 「今日は忘年会ですか?」前を向いたままタクシーの運転手が言う。 「そうです。忘年会でした」 僕は運転手にわからないように顔をしかめる。 話好きなタクシーの運転手は苦手なのだ。 どうにか楽しい話題にしようとして気を遣ってしまう。 タクシーの運転手が話し続けてその話題が終わってしまって車内に沈黙がやってくると、 次は僕が話し掛けなくてはいけないのかしら。と思ってしまう。 そういう訳で僕は話好きなタクシー運転手は嫌いだ。 「美容院の?」運転手がちらりと僕を見てそう言う。 「えっ?」僕は聞き返す。 「美容院の?」運転手は同じ事を言う。美容院。聞き間違えではない。 「えっ?」しかし意味がわからないのでもう一度聞き返す。 「美容院の忘年会でしょ」運転手はゆっくりと話す。 美容院?なぜ運転手は職業も聞いていないのに美容院の忘年会と決め付けているのだろうか。 「ハハッ。美容院の忘年会じゃありませんよ」僕は優しく否定する。 「で、どこであったの?忘年会は」 「さっきタクシー乗ったところの手前の料亭です」 「ああ、そう。あそこは美味しいよねぇ」 「そうですね」僕は好んでこの言葉を多用する。そうですね。 「しかし大変でしょ。美容師さんも」 やっぱりこの運転手は人の話を聞いていない。 「いや、ね、うちの娘も美容師やってるんですよ」 結局この運転手は娘の話をしたいだけかもしれない。 「へぇ」 と僕が驚いたところで美容師の娘との共通点なんて一つもないけど。 「毎晩帰りが遅いんですよ。朝は早いし夜は遅い。大変ですよホントに」 「へぇ」 「で、おたくはどこの美容院にお勤めですか?」 だから僕は美容師じゃないと言ってるのに。 しかし今更「私、美容師じゃありません」とは言えないし。 ていうかさっき美容師じゃないと言ったのに。 面倒臭いので僕は話を合わせることにした。どうせ今回限りの話なんだから。 「えっと、国道沿いの○○○に勤めてます」 「えっ!?うちの娘と同じじゃないですか!」 早く家に辿り着いてほしかった。 |
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