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| 2001年11月24日(土) 歪の週末(池女さん初対面編)(メルヘン編)(新女会編) |
| (池女さん初対面編) 僕は急いでいた。JAL393便10:20鹿児島着。 僕の白い車は高速道路を飛ばす。ハンドルを握る手が多量の汗で濡れる。 この汗は、決して急いでいるからではない。 職場に携帯電話を忘れたのだ。 よりによってこんな日に。僕は何度もハンドルを叩く。 携帯を忘れたことに気付いたのは出発してから30分程経ってからだった。 運転しながら何度も後部座席のバックを取り出し、中身を確認した。 5回ほど同じ行為を繰り返してから、本当に携帯を忘れていることを悟った。 いつもだったら携帯を忘れることぐらい、どうってことない。 出掛ける時は携帯を持って行かないことが多いくらいだ。 しかし、今日はいつもと違う。よりによっていつもと違う日なのだ。 東京から池袋のオンナさんが来る。 池袋のオンナ――僕が池袋にいた頃、このサイトを訪れたばかりに、 はじめは安直な気持ちで書いたらしい名前。 本名は上品な名前なのだが、幸か不幸かそのまま名前を変えずに このサイトに度々訪れるようになり、皆から池女さんとして親しまれている女性。 今回が初対面。声だって聞いたことがない。 唯一のヒントが前日のメールの「薄いグリーンの上着を着ています」 10:30空港到着。到着口へ走る。 グリーンの上着グリーンの上着・・・頭の中で熱病にうなされたように繰り返す。 わからない。飛行機を降りたばかりの人たちは次々に僕の横を通り過ぎていく。 池女さんにも僕の服装を伝えてある。茶色のジャケット。ワインレッドのパンツ。 僕はあまりの人の多さに、諦めかけてしまったその時、 「こんにちは。はじめまして」 僕の背後で声を掛けられた。大きな荷物を抱えて笑顔で立っている女性。 池女さんだ! 「よかった!」 僕ははじめましての挨拶よりも先にそう叫んでしまった。 両手を広げて「携帯忘れたんです」と言う。 兎に角よかった。僕は久々に混乱し、狼狽した。 携帯電話は、やっぱり、生活必需品だと思った。 (メルヘン編) とにかく僕と池女さんは無事に対面することができた。 僕は緊張することなく――もう慣れてしまっているのかもしれない 車に乗り、普段通りに会話を始めた。 「桜島が見たい」 桜島へ行く。乗り慣れているフェリーに乗ったが、フェリーの展望台には初めて登った。 良い天気で、桜島は頂上まで綺麗に見渡すことができた。 桜島の展望台に行く。桜島はよく通る道だが、展望台に行くのはおそらく10数年振りだ。 小さい頃に一度行った事がある。 溶岩の間の小道を歩く。桜島を背景に記念撮影。なんだか変な気持ち。 僕達の日常風景の桜島が、今日は主人公だ。 いつも漠然としか見ていない桜島が、今日はとても大きく壮厳に見えた。 昼食を摂り、鹿児島メルヘン館に行く。勿論、初めてだ。 〜メルヘン館は、童話の主人公たちや世界各国の人形などが、 夢あふれるファンタジックな世界をつくりだしています。 あなたも、メルヘンの世界へ第一歩をふみ出してみませんか。〜パンフレットより抜粋 なかなかメルヘンの世界へ第一歩を踏み出せない2人。 「ん〜。これは子ども騙しだよねぇ」 「コラッ。そんなこと言っちゃダメ。メルヘンなんだから」 池女さんは僕より先にメルヘンの世界へ踏み出してしまった。 アミューズメントとも博物館ともいい難い入場料300円の不思議な世界。 最後に行ったファンタシースタジオでピーターパンを見る頃には 嘘腐童話など書いている僕も、メルヘンの世界の住人になってしまっていた。 童心に戻ったかのような池女さんの笑顔が印象的だった。 「はい、これお土産」 車の中で池女さんがそう言って袋を渡す。 「お酒と・・・私の分身」 私の分身・・・?それはリトル・ミィの人形だった。 「この人形、ツボ押しにもなるのよ」 よく見てみたら、リトルミィの両足や結んだ髪の部分がツボ押しのような形をしている。 「ありがとう。大切にします」 僕は人形と、リトルミィのはにかんだ表情に弱いのだ。 (新女会編) もうこれで4回目を数える御深会。 僕はこの「御深会」という文字が好きだ。何か不思議な趣を感じる。 今回は14名参加。初対面の方6名。 池女さん、そしてぷりさん、ぷりかれさん(某隠れ家日誌抜粋)は県外から参加。 県外からの参加だなんて、新女会発足当時は予想もしなかった出来事だ。 あと3年もすればフランスとかローマから参加とかするのだろうな。 やっぱり僕は人見知りするという性格は却下しようと思う。 最近、あまり人見知りをしなくなった。 新女会の御深会で初対面の方と話す機会が多くなったため、見事に適応してしまったのだと思う。 新女の功とでもいうべきか。 しかし今夜の僕は23時45分発のシンデレラ。 特急つばめというシンデレラエクスプレスに乗って福岡に発たなければならない。 ヒビ君をテーブルの隣に引き寄せ、 ぷりかれさんを呼び、omiさんと共にマニアックな会話に花を咲かせていたら もう23時10分。 「歪さん!行かなくていいの?」 みんなが心配してくれる。行かなければならないのだけど僕にもう少し時間を。 馬車がカボチャに戻ってしまう前に! テーブルを回って皆と会話したかったけれど、時間が経つのが早すぎた。 あっという間に23時20分。 ムムム。テーブルを見渡す。楽しそうに会話をする皆を眺める。 大学の単位と御深会を天秤にかける。 「行きたくない」声に出して葛藤と対峙する。 しかし、シンデレラエクスプレスのチケットはもう購入してしまった。 あと25分で冷たい馬車に乗って福岡に発つ。 なんだか嘘みたいだった。嘘であってほしかった。嘘ではなかった。 「それでは、行ってきます」 意を決してテーブルを立つ。皆が手を振る。「頑張ってね〜!」 戦場に向かうような悲壮感を漂わせようかと思ったが、 酒が入っているので歩いてみたら少しふらついた。 滞りなく繰り返される日常の一種の清涼剤。潤滑油。栄養剤。液キャベ。 新女会をいろんな言葉に置き換えながら、 僕は23時45分発 ドリームつばめ 喫煙席に乗り込んだ。 一次会の場所にライターを置き忘れたまま。 |
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