2001年11月07日(水)  カエルさんの日課。
カエルさんは、毎朝起きたらすぐに隣の町の井戸まで水を汲みに行きます。
隣の町といっても小さな丘を2つ、大きな山を1つ超えなければなりません。
村のみんながお昼ご飯を食べる頃に、カエルさんは大きな桶を頭に乗せてノコノコと帰ってきます。
 
カタツムリの女の子がたずねました。
「どうしてカエルさんは毎朝大変な思いをして隣町まで水を汲みに行くの?
ここの村の井戸の水を飲めばいいじゃない」
カエルさんは、いつものように人の良さそうな微笑みを浮かべるだけでした。
 
今年の夏は数えるほどしか雨が降りませんでした。
草木が枯れ、地面がひび割れ、隣町の井戸の水は少なくなっていきました。
だけど村の真ん中には川が通っているので、カエルさんの村の人たちは水には苦労しませんでした。
 
それでもカエルさんは、村の井戸にも、川にも目もくれず、
隣町の枯れかかった井戸の水を汲みに毎朝丘を越え山を登りました。
 
ある朝、カエルさんがいつものように隣町まで行くと、井戸はとうとう枯れてしまっていました。
トカゲの男の子が言いました。
「もう、井戸から水は一滴も湧かないよ」
カエルさんは、いつものように人の良さそうな微笑みを浮かべるだけでした。
 
カエルさんは、井戸の端に座りこんで、再び水が湧くのを待ち続けました。
3回太陽が昇って3回太陽が沈んでも、カエルさんは井戸の端から動きませんでした。
町の人は心配して食べ物や水を与えようとしましたが、
カエルさんは、いつものように人の良さそうな微笑みを浮かべるだけで受け取ろうとはしませんでした。
 
4日目の朝、井戸の端にカエルさんの姿はありませんでした。
村の人も町の人も一緒になって一生懸命探しましたが、とうとう見つかりませんでした。
 
だけど、町の井戸はカエルさんがいなくなってから、
永遠に枯れることなく湧き続けました。
 
 
[嘘腐童話 : 強迫神経症について 〜面倒臭いなかの義務〜 より]

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