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| 2001年10月23日(火) 羊頭狗肉。 |
| 色とりどりのネオンに照らされて、 僕は、大人2人が両手を広げてもまだ足りないような幅のある大きなドアの前に立っていた。 通りの人たちは、それぞれの建物のそれぞれの形のしたドアの前にしばらく立ちつくし、 1人は躊躇なく、1人は頭を傾げ、1人は品定めでもするように顎を手でさすりながら ドアを開けて入っていく。 そして僕はこの大きなドアの前に立ち、 ネオンで光る意味の分からないアルファベットを見上げていた。 ドアを開けると、その大きなドアに相ふさわしい大きなロビーが広がっていた。 10メートル程先にフロントが見えた。フロントまでの道には赤い絨毯が敷いてあり、 等間隔に観葉植物が置いてあった。 観葉植物の種類はわからないけど、とてもいい香りがした。 天井には数えきれない程のシャンデリアが金色の光を放っていた。 フロントには小柄な女性が受話器で誰かと話をしていた。 「いらっしゃいました」 彼女は僕の方をちらりと見上げ、そう言った。 はじめは僕に言ったのかと思ったが、どうやら受話器の向こうの誰かに言ったらしい。 僕が来たことを誰かに伝えているのだ。 「いらっしゃいませ。それではどうぞごくつろぎ下さい」 彼女はそう言って、一点を凝視したまま全く動かなくなった。 彼女の背中にスイッチがあるのならば、それは確実に「OFF」になっているはずだ。 僕が何を話ししても何も反応しなくなった。瞬きさえしなかった。 僕は諦めて、周囲を見渡してみた。 ここは、ただ意味もなく広かった。観葉植物もシャンデリアも多すぎた。 滑走路のような赤い絨毯と、像が耳を広げたような入口のドア。 そして蝋人形のようなフロントの小柄な女性と、僕。あとは誰もいない。 あてもなく、壁際を歩いていると、壁と同じ色の小さな扉を見つけた。 僕は銀色のドアノブをひねってみたが鍵が掛かっていた。 「そこは、開きませんよ」 突然、フロントの女性が数十メートル先からそう言った。 この広いロビーには僕と彼女しかいないので、すぐ後ろでそう言われたような気がした。 彼女と話をしようと思い、再びフロントに戻ったが、 彼女は再び蝋人形のように一点を凝視していた。 その目は何も語っていなかった。 |
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