2001年09月19日(水)  白衣の代償。
白衣を身にまとっている間は、ある程度自分を保つことができる。
僕の勤労の象徴である白衣は、
治療という目標だけを残して僕を取り巻く苦悩や悪意や戦慄を削り取ってくれる。
  
しかし、あらゆる負の感情を抑制したその代償は
2階建ての小さなアパートに帰ってから僕の体に襲いかかってくる。
   
救急車を待つ、あの緊張感も、
ICUへ搬入する、あの焦躁感も、
血管確保して点滴を打つ、あの集中力も、
  
全て違う世界で違う人物が感じている感情ではないか、と思い始める。
ソファーで頭を抱えて深くうずくまり、
白衣からの開放感と、挫折に近い未熟感を味わうことになる。
  
誰かと話がしたくて、携帯を取り、友人を部屋に呼び、
部屋に呼んだことを後悔しはじめる。
  
独りでいても、誰かといても、
白衣を着ても、白衣を脱いでも、
主任と呼ばれても、若造と言われても、
  
お。もうこんな時間だ。
アィデンティティーを確立する時間は、とうに過ぎているというのに。
夕食?今日もいらないよ。

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