2001年07月27日(金)  堕落 ―だらく―
昨夜も今日の仕事のことも考えずに、
遅くまでバーで酒を飲んでいて、頭には「堕落」という言葉ばかりが浮かんできて、
もう、やぶれかぶれで、アパートにすぐ帰ってすぐ眠れるように、
最後に強めのカミカゼを頼んだとき、

その人は、現れた。

というか、カウンターで一緒に飲んでいた女性だが、
僕はそれまで、話し掛けもせずに、話し掛けられても適当な相槌を打って、
冗談を言っても笑わず、文句を言っても怒らず、
ただ、ボンヤリとカウンターのボトルを眺めていた。

が、

最後に強めのカミカゼを頼んだとき、

その人は、現れたのだ。僕の意識の上辺に。
僕の横に座っている女性、は、ここに、さっきからいた、のだと。

今、酔いが覚めた状態で、こうやって文章にしても、
あの時の状態を克明に書くことができない。
とにかく、その女性は、長い時間、突然、僕の横に座っていたのだ。長い時間、突然。

僕はバーを出て、タクシーに乗り、アパートへと帰る。
ドアの鍵を閉める。鍵を閉めたのは、女性。
シャワーを浴びる。数日前からボイラーが故障していて、水しか出ない。
しかし、酔いは覚めない。下着1枚で部屋へ戻ると、布団が敷いてある。

「今日は、○×◇*だったでしょ」

その女性は、私の部屋のソファーに座り、何かを言った。
はっきりと覚えていないが、何かを言った。「〜だったでしょ」ではなかったような気もするが、
とにかく、何かを言った。どうでもいいことなのかもしれないが。

そして、僕は眠り、女性は消えた。
僕が眠るのを見届けてから、部屋を出たのだろう。

皆、堕落しそうな僕を這い上がらせようとしている。
ある人は、朝8時に一緒に目覚めて、ある人は、深夜3時に突然消える。

前を向いて、そこに見えるものは、仄かな新しい光。
風にさらされても決して消えることのない灯火。

朝日と共に目覚め、夜更けと共に酒を飲む。
こんな生活は昨日でおしまい。
僕自身に向けられる、様々な人々の、様々な謎掛けが、
少しづつ、少しづつ、解けてきた。

水しか出ない深夜のシャワーで頭を冷やして考えてみよう。
ボイラーの修理が終わる頃には、答えが出ているだろう。

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