2001年07月16日(月)  桜島の怪。
ある女性と夕食を共にして、話をして、
笑って、泣いて(泣いてないけど)、怒って(怒ってないけど)、笑って(結局笑ってばかり)
あっという間に空には月が出て、日中に熱を持ったアスファルトを冷却する時間になっていた。

その女性は、私の住んでいるところと海を隔てているので、
悲しい哉、錦江湾。僕はフェリーまでその女性を送るのでありました。

桜島フェリー。夜間は1時間ごとに運行。乗り遅れたら1時間待ちぼうけ。
よって私達も待ちぼうけ。時間を有意義に使いましょう。時は金なり。

「桜島を一周しましょう」その女性。
「そうしましょう」内心ドキドキ。何と言っても私、方向音痴。西も東もわかりゃしない。

頭の中で地図を思い浮かべる。イメージだと右方向へ回旋を続けると、もとの位置へ戻ってくるはずだ。
なんだ簡単じゃん。桜島って単純明快!

そして出発。車内で聞くCDを替える。
なるべく明るめの音楽がいい。外は真っ暗なのだから。

あまり、自動車が走る必要性のない道路だからなのか、舗装が悪い。
ガクガクガクガク車が揺れる。ガクガクガクガク僕の足も揺れる。否。震える。
道路は右旋廻どころか、左へ旋廻している。どういうことだ?

「ねぇ、ここの道って間違えてんじゃ・・・」恐る恐る聞いてみる。
「大丈夫、大丈夫!」その女性、明るく応える。
明るく応えられると、不思議なもので、大丈夫のような気がしてくる。

しかし「大丈夫!」という言葉とは裏腹に道路は左旋廻を続ける。
道ももっと狭くなる。僕もいよいよ心細くなる。だけど顔には出さない。
なんてったって男だから。

「大丈夫、大丈夫!」その女性、そうとしか言わなくなる。
僕はいよいよ、疑わしくなる。本当に大丈夫なのだろうか。

と、思った矢先。出発地点に見事帰り着いた。
左旋廻は、どうやら気のせいだったらしい。いや、確実に左に旋廻していたけど。
たぶん、狐にでもつままれたのだと思う。

「ほ〜らねぇ〜!」女性が胸を張ってそう言う。
いや、君のことは信じていたけど、心の中で少しでも君を疑ったことを懺悔します。

〜後日談 7月17日〜

「昨日、桜島周ったとき、私、絶対に帰り着かないかと思った。
だって、あれ、ずっと左に旋廻してたでしょ。大丈夫!とか言ってたけど、
全然自信がなかったのよ」

僕は誰を信じれば!!

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