2001年06月30日(土)  日記を毎日書くということ。
日記を書くのは3日振り。
後味の悪い童話を書いたお陰で、執筆意欲が真夏の食欲の如く減退したが、
ここで匙を投げてはいけない。
どういう内容であれ、毎日、何かを書くということが、今後の自分の為に何か役に立ちそうな気がする。
漠然的だけども、何かに役に立つ日が来ると思う。

飛行機の中。
突然前の席で「・・・産ま・・れる・・っ・・・」と呻き声。
スチュワーデスが妊婦に駆け寄る。
「誰か・・・誰かっ・・・医者か看護婦の方いらっしゃいませんか!!!」
物静かなイメージのスチュワーデスが飛行機内全体に響き渡る声で叫ぶ。
一瞬、機内が静寂に包まれ、エンジンの音だけが聞こえる。
そして次の瞬間、その静寂は、乗客のザワザワした声に変わる。

皆、辺りを見回す。
乗客の数人が、立派な口髭を生やした紳士に視線を注ぐ。医者に違いない。
「いや、違う、私は弁護士だ」
乗客の数人が溜息をつく。こういう時、私が正義だ!といつも胸を張って生きている弁護士も、
肩を縮める他に方法はない。いわば無用の長物。有罪も無罪もあったものじゃない。

「・・・く・・・苦しい」妊婦が喘ぐ。亭主らしき男性がしきりに妊婦の腹部をさすっている。
「誰か・・・誰かいませんか!!」いよいよシュチュワーデスの口調も切羽詰ってきた。

ここで私は立ち上がる。
ゆっくりと、まるで自分自身を落ち着かせるようにゆっくりと妊婦のもとへ歩く。
汗がゆっくりと背中のシャツを沿うように落ちていく。

私は深呼吸して、
「わだじ・・・ゴエエエッッ!」
喉で痰が絡む。大きな咳をして、声帯を整える。
「私・・・」
「お医者さまですか!!」スチュワーデス。早とちり。
「私・・・医者じゃないけど・・・・」
「では・・・看護士さん!!?」このスチュワーデス。意地でも自分から私の職業を当てたいらしい。
「いや・・・医者でもなく、看護士でもないのだけど・・・」
「だけど・・・・!!?」
「日記なら毎日書いてます」



なんだ、このオチ。

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