2001年06月29日(金)  金のヒツジ(後編)
羊飼いと魔法使いは王室に呼ばれました。
羊飼いは手に何も持っていません。
魔法使いは杖を一本持っているだけです。

「金のヒツジのコートを持ってきたか」クジラ王がたずねました。
「申し訳ございません。王様。3日間で金のヒツジを作るなんて無理でした。
あと2日下されば、立派な金のヒツジの・・・」
「ならぬ」クジラ王が言葉を遮りました。
「私は3日も待ったのだ!これ以上待てるものか!」
「申し訳ございません・・・」

「魔法使いはどうだ?金のヒツジのコートが見当たらぬが」
「ふっ。しっかりとお持ちしております」
井戸の中の魔法使いはなにやら呪文を唱え始め、杖を一振りしまいした。
すると、一瞬のうちに金のヒツジのコートが出てきました。

「魔法を使えば簡単なものです」魔法使いは自身満々に言いました。
「おお!」クジラ王は歓声をあげました。
「そんな・・・」羊飼いは言葉を失ってしまいました。

「さすが魔法使い!なんでも望み通りの礼を与えようぞ!」
「ありがたき幸せ」

羊飼いは肩を落として牧場へ帰りました。
しかし、羊飼いは諦めませんでした。根気よく金の卵と金の水を与え続けました。

そして、それから2日後の朝。立派な金色の毛皮を身にまとったヒツジができあがりました。
魔法使いが魔法で出した金のヒツジの毛皮より立派に光っています。
これなら王様は喜んでくれるかもしれません。
町外れの羊飼いは5日間、金のヒツジの事だけ考えて、
寝ずに食べずに、怪我をしても、諦めずに、ただ頑張ってきました。

フラフラしながら金のヒツジの毛皮を握り締めて、

牧場の夜明けと共にクジラ城へ向かった羊飼いは、

その日の午後、クジラ王から首を落とされてしまいました。

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