2001年06月14日(木)  真実(後編)
「お疲れさん。で、話しって何?」
「見収めなのよ」
「ミオサメって何だよ。あ。僕はあと20分したらプールに行くからね」
「見収めなのに?」
「だから、ミオサメって・・・」
「私、県外に行くことになったの・・・」
「私、転勤になったの・・・」
「え・・・。まったぁ・・・。急に、ねぇ・・・、ふぅん。ねぇ、だけど急に、そんな2人、とも」

どうやらこの話、本当らしい。この2人、さっきからちっとも笑わない。
突然、動揺してくる。仲の良い友人が突然2人いなくなるのだ。
しかし、その動揺の色は顔には出さない。
「ふぅん。まぁ、頑張るんだよ」
などと平然な顔をして言う。僕が人の人生に口出しする権利などないのだから。
彼女達は彼女達の進むべき道を進めばいいのだ。
時計の針が8時を指す。どうやら今日は気ままに泳いでいる場合ではなさそうだ。

友人が県外に行くことについて。そして転勤になることについて一通り話を聞く。
真実味が増す。しかし、この時点でもう僕は疑うことなんて考えていなかった。

8時10分。
「あぁぁ。私もう耐えられない」
ん。
友人達は声を殺して笑い出し、そしてファミレス全体に響き渡る大きな声で笑い出す。

「ごめん。嘘」
騙された。完敗。全然わからなかった。騙された。僕は騙された。
気付いたときはもう遅い。プールの時間は始まっている。

友人達は私がプールへ行くことを防ぐために、この巧妙な嘘を考えたらしい。
この嘘はかなりこたえた。
しかし、友人達が突然姿を消すことの可能性が少なからず存在するという事実の方がこたえた。

1時間後、アパートでお菓子を食べながらガハガハ下品に笑う、いつもの僕達3人がいた。

今日は、虚偽の中に、真実を見出しました。

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