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| 2001年05月14日(月) 玉子物語・第ニ羽(全4話) |
| 「コンコン。コンコン。顔を見せてよ。顔を見せてよ」 2羽のヒヨコはくちばしで玉子をつつきました。 「やめてくれよ。やめてくれよ」 玉子の中のヒヨコは言いました。 「やめてくれよ。出たくないよ。僕は怖いんだ」 「何が怖いというの?」 ママニワトリが優しい声で言いました。 「外の世界を知ることが怖いんだ。僕はずっとこの殻の中で過ごしていたいんだ」 「外の世界は大雨も毒キノコもあるけれどそれなりに素晴らしいことがいっぱいあるのよ」 「それなりに、って何だよ」 ママニワトリはまた困ってしまいました。 秋風が紅葉と一緒に楽しそうに踊っています。 「僕は悪いことをしてるのかな」 玉子の中のヒヨコが言いました。 「殻の中から出ないことが?」兄さんヒヨコが言いました。 「そりゃ悪いことよ」姉さんヒヨコが言いました。 「外の世界を知らないことが一体どこが悪いのかな。僕はこの殻の中で満足してるし何よりも幸せなんだ」 「私はあなたの顔を見れないことが何よりも悲しいのよ」 ママニワトリは悲しそうに言いました。 「僕はママたちがそう思っていることが何よりも切ない」 秋の風が紅葉の葉を泳がせながら囁きあっています。 「人のために生きるのか」 「自分のために生きるのか」 「殻を破るのか」 「破らないのか」 「破らないままで何が得られるのか」 「破ると何を失うのか」 ママニワトリと二羽のヒヨコと玉子の中のヒヨコはだまって秋風と紅葉の囁きを聞いていました。 それはママニワトリのとさかを揺らし、二羽のヒヨコの羽根を震わせ、 ヒヨコの玉子の殻にヒビを入れました。 ■□■あと一羽つづく■□■ |
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