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| 2001年05月13日(日) 玉子物語・第一羽(全4話) |
| 春の日の午後、一羽のニワトリが玉子を3つ産みました。 夏の日の午後、そのうちの2つが殻を破って、まぶしい太陽の光に目を細めました。 「こんにちわ。赤ちゃん」 ママニワトリは二羽のヒヨコにあいさつをしました。 「こんにちわ。お母さん。はじめまして。今日からよろしく」 二羽のヒヨコは声を揃えて元気良くあいさつをしました。 「もうすぐであともう一羽産まれるのよ」ママニワトリは言いました。 二羽のヒヨコは同時に首を回してそのあともう1つの玉子を見つめました。 「あと、もう一人の兄弟・・・」 月日はもう1つの玉子を待つことなく過ぎていきます。 秋の日の午後、あと1つの玉子はまだ殻を破りません。 「まだ出ないよ」 玉子からは声がします。 2羽のヒヨコはもう一人でエサを食べれるくらい成長しています。 「まだ出ないよ」 玉子の中のもう一羽の兄弟は時々、玉子を少し揺らすくらいで殻を割ろうとしません。 「どうして出てこないの」 ママニワトリは毎日心配そうに玉子に話し掛けます。 「出なくても生きていけるって知ったのさ。この殻の中は栄養もいっぱいあって、 水の中にプカプカ浮いて、雨もないし、日照りもない。ちょっと窮屈だけど殻の外のように偏屈でないし」 ママニワトリは困ってしまいました。 「外の世界はおいしい木の実がいっぱいあるのよ」 「毒入りキノコがあるじゃないか」 「外の世界は大きな空が広がっているのよ」 「僕達は羽ばたく翼がないじゃないか」 「外の世界は大きな夢があるのよ」 「僕はおいしいお肉になって人間に食べてもらうんだ」 兄さんヒヨコが言いました。 「私はこの羽根をフカフカの枕にしてもらって人間を心地よい眠りへいざなうのよ」 姉さんヒヨコが言いました。 「自分の為の夢じゃないじゃないか」 玉子の中のヒヨコはそれっきり自分の殻の中へ閉じこもってしまいました。 ■□■つづく■□■ |
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