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2003年12月15日(月)

年賀状を出さない相手 1

一昨日、一通のエアメールが届いた。
中味はクリスマスカード。
相手は、去年から年賀状を自ら出すことも返事をする事もしていない相手。
中には、引越しをした。結婚をした。と自分の近況だけが書いてある。
私の近況を伺うような類の言葉は一切無い。
手紙やメールというのは確かに一方的だけど、本当に一方的だなと思った。
そして、最後の一言。それまでとは違うペンであきらかに付け足した一言。

「クリスマスも仕事???」

・・・・・・
まぁ、確かに仕事の可能性はある。それは事実だ。
そして、私は仕事人間だと思われる生活もしてるのも事実だ。
けど、過去、約2年間。彼女とは音信不通。
しかも、その前も殆ど近況をお互いに知らないのだ。
だのに、なんで仕事だと想像する?恋人が居るとは思わないのか?
もしかして、2年の間に結婚してるとか考えないのか?
昔から、彼女は多分変わっていない。
昔なら、私も彼女のこんな一言でカチンとくるような事はなかった。
そう。私が変わってしまったのさ。

父上が亡くなってから、私はHを含め。3人ほどの女友達について関わり方を変えた。
その前まで、私は女友達とのトラブルには無縁だった。
一人でちょっとムカついたとか思っても、それを表面化させたり、まして縁を切るなんて事はしてこなかった。
私の友達は気が強い子が多い。プライドが高い子も多い。
だから、私以外との友達とトラブルを起こす子も多い。その愚痴をよく聞いてた。
だけど私は、そういう部分も長所だと認めてるからこそ、付き合っていた。
私自身も自分勝手なところもあるし、お互い様で流せてこれた。

けど、身内が亡くなるというのは人生で最大とも言える出来事だと思う。
特に、私のように自他共に認めるファザコンが父上を亡くせば、些細な事にも神経が過敏になるのかもしれない。
そんな所へ、いつもと同じ調子で無神経な言葉を投げつけられた。
長い付き合いで、それが悪気が無いと分かってはいたけど。
よく、そういう時にこそ、その人の人間性が分かるって言うけど。
本当に彼女達はそういう人だと分かって諦めたと同時に、
私が実は、とても心が狭い人間だったということも分かった。

以下は、今回クリスマスカードをくれた子の事を書いた当時の日記。
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at 2001 01/10

昨日の夜はとてつもなく最悪な気分になった。
運が悪いことに、仕事をしてるとよく動く脳みそを持ってしまった私は、49日を目の前にして何とも形容しがたい気分に落ちていた。
と言っても、別に鬱々としてた訳じゃなく、ほんの少しのもの悲しさという程度のもの。
夜になって、捕まるはずの友人が捕まらなかった。大した用も無いので、仕事を続け、ふっと年賀状に目が行った。
たった一枚。
住所を私が間違えたために戻ってきた喪中はがき。その友人からの年賀状だった。

彼女とは、かれこれ10年前にもなるだろうか?インストラクター時代に一緒に入社した仲だ。
が、ここ数年はお互いに別々の道に進み、疎遠になっていってたつもりだった。
人っていうのは本当に不思議で、よく自分が嫌ってる人は相手も自分を嫌いだと聞くが、私の場合はそうはならないケースが多々ある。
彼女を嫌いという訳では無く、話を聞いていられないタイプで苦手だったのは事実だ。
それでも、同期入社で同じ歳。
仕事をしている時点では、とっても心強い友達であったのは事実。
彼女の口からは「こんなこと話せるのは○○ちゃんだけだし」という台詞がよく出ていた。
一方的に自分の話だけを機関銃のように話す彼女。
私は、あまり聞き上手な人間では無いために、それがいつしか苦痛になってきた。
私の精神状態、状況、おかまいなしに話し続けるその行為は、気遣いを感じられなくなってしまう原因となった。
相手を労われなければ、友人関係は持続できない。私はそう思う。
私から状況を話してみたとしても、彼女の口を止める事は出来なかったというのもあって、私は徐々に電話もしなくなった。
もう、数年会っていない。電話ですら、最低でも一年半は話してなかったと思う。
それを友人と呼べるかどうかは分からない。けど、彼女は私を慕ってくれているのは事実。
それが、彼女の都合だけであってもだ。

その彼女からの年賀状には「手術したの」と書いてあった。会えないかな・・・とも。
その彼女と同僚であった会社で、共通の知り合いとしての先輩からは、最近、メールが来ていた。
彼女と先輩は同じスクールのインストだった。私は別のスクールだったので、数回食事をした程度の先輩。
一度、結婚した時にお家に遊びに行ったことはある。それが、もう、5年以上前の話。
それでも、先輩とはメールのやりとりをしている手前、なんだか無視をするほどでもないし、身体を壊したであろう彼女を放置できず、電話をした。
そのうち電話が入って無神経と思われることをされるのが嫌だと言う思いもあった。

案の定。
彼女は、全てを私が知っているかのように機関銃乱射状態で話始めた。
彼女の手術の話。そして、彼氏の話だ。
一番最初に「年賀状ありがとう。喪中葉書出したんだけど、戻ってきちゃってさ」と私は伝えた。
しかし彼女は「そうなんだ」の一言で終わってしまった。
そんなもんなのかもしれない。
他の人は、喪中の意味をそんなに捉えないものなのかもしれない。

話が進むにつれて、やばいぞ・・と私は思えてきた。
彼氏の話はいい。それが、両親に会わせたという時点で危険信号が点滅した。
機関銃の目の前に防弾ガラスを置くべく、唐突に私は口を開いた。

「あのさ、亡くなったのお父さんなんだよ」と。

一瞬黙った彼女は一言。
「ご愁傷さまでした」と声を小さくした。
が。次の瞬間には「でね、でね」と続けてしまった。
タイミングの問題かもしれない。
私がたまたま、父上のことを考えてしまう日だったからいけないのかもしれない。
彼女の話は結婚の話になっていった。彼女の父親がどうのって話し。
娘かわいいって話。それだけでも、私は充分苦痛だった。

そして「ヴァージンロードを一緒に歩きたいんだって」という一言が、私を打ち抜いてしまった。
私が今から求めても、どう足掻いても、望めない事を、彼女は楽しそうに報告してくれる。
人の幸せを妬む気持ちは、これっぽちも無いのに。ものすごく不快だった。
自分の父親が居なくなった事を、何故、こんな話で切実に気づかされなくてはいけないんだろう?
そう思った。
それじゃなくても、私が相手を選ぶ時にはいつだって、父上が気に入る人かな?って考える、とってもファザコンで親孝行な娘だったというのに。
もう、父上に会わせて喜んでもらうことも、ダメだと言って貰うことも何も出来なくなったって事が、本音を言えば、かなりキツイと思っていた。
父親の居ない独りものの女って、なんて弱い立場なんだろう?といつも想像していた。
何かの時に舐められるというか、騙されるというか・・・そういう危険性が大きくなっていくんだなと思っていたのだ。

私の父上は、私が男友達を店に連れて行くたびに、さまざまな言葉で彼らに何かしら語っていた。
時には警告になる言葉も言っていたらしい。
それは男同士でしか伝わらないニュアンスだった。
「女はいっぱい騙せよ」と一人の男性に父上は言った。
その意味は「俺も騙してきた。だから、お前が俺の娘を騙したら、俺は分かるんだぞ。」というものだったのだと教えられた。
もう、そんな事を言ってくれる父上は居ない。
私の恋愛に口を出すことは無かった。
お前が食べてけるならそれでいいと、連れて行く人は無条件だと思っていた父上が、私の友人にそのような事を言っていたという事実は、私をとても苦しくさせた。

娘の連れてくる相手を、満面の笑みで向かえてくれていた父上。
私に何も言わなくても男同士として、相手に何かを伝えようとしてくれていた父上。
気づかないところで、娘を守ろうとしてくれていたんだと分かり、愛情が苦しかった。
彼女の無神経とも思える結婚話は、私を落としてしまった。
それじゃなくても、仕事で頭が回転しまくっていた。
家から出れずに嫌な気分で居た。49日が近くて物思いに入ってしまう自分が居た。
すべて、タイミングが悪いところにダメ押しされた。
そして、私はお酒を飲もうと思ってしまった。
落ちた時に飲む酒は嫌い。逃げるみたいで嫌い。
楽しいお酒しか嫌だから、人としか飲みたくないから、だから自宅にお酒はあっても飲まずに平気で過ごせる私が、お酒を飲んでしまった。
物思いにふけって、姉は独り酒をすると言う。
私はふけりたく無いが為に、独りではお酒を飲まない。
お酒を飲みながらも仕事をしていた。
本当に、やりきれない気分になってしまったんだ。

飲み始めて数十分後。
程よく酔いが回った頃に電話が鳴った。
その人曰く。いつもの私じゃないとのこと。
お酒の入った私を知ってる人なので、お酒のせいでは無いらしい。
分かる人は、どうして分かるのだろう?分からない人は、どうして言っても分からないのだろう?
けどね。ふっと思う。
基本的に、みんな自分の主張が一番だよね。
私を気遣ってくれて、本当に遠慮してくれる友人も何人かは居るけれど、大抵の人は自分の気持ちが一番で、ぶつけてくるよね。
そんなの普通のことなのに。
父上の事では敏感でナーバスで、人に簡単にかき乱される自分が、とてつもなく嫌になった日だった。


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