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2007年06月19日(火)
正直(?)

『パワーに翻弄されないための48の法則(上・下)』という本を読んだが、途中でやめた。翻弄されまいされまいと、逐一さぐっていたら、それこそ、翻弄されていると言えはしないか。

そもそもその本を読もうと思ったきっかけは、店にヤクザを自称するある人からたびたび電話がかかってきて、商品を家に届けさせたり、大量の商品検索、取り置きを頼まれ(しかも買う買うといって買わない物も)、困ってしまったからだった。前の店長から引き継ぎを受け、以前から商品を届けたりしていたそうなので初めは引き受けていたが、徐々に要求が大きくなり、ついに限界に達した。そのお客様の要望に応えるには、他の多くのお客様が犠牲になる状況に至ったからだ。しかし半年以上はごまかして受け入れていた。

どうすればこの状況を脱せるかだろうかと私は考えた。向こうから見限って離れてくれればありがたいのが。
ヤクザにもヤクザ流の交渉術がある。まずこちらの弱みを握り、最大限に活用する。出鼻を叩いて優位に立つ。大きい声で威圧する。機を見計らって認め、安心、いい気にさせる。再び難癖をつけて怒る。これを繰り返して相手をぐらぐらにし、主導権を握る。
こういう北風な奴には、いいなりになってたまるかというロック魂がムクムクと頭をもたげてくる。いかに相手の思惑からそれた行動をとるか。まず私はどんな小さなことでもいいから、NOを言ってみようと思った。「家に商品を届けろ、2000円を全部10円の小銭で払いたい、いいだろ?」というような要求に、私は、「申し訳ございません、できません」と言ってみた。家の玄関先で10円10枚重ねの塔を20個作るなんて私はやりたくない、とはストレートに言わなかったが、いろいろ理由を付けて断った。当然向こうは気を悪くし、前の店長に電話で怒ったそうだ。前の店長から、「同じお金なんだから引き受けなきゃいけないんじゃないのか?」と連絡が来たが、ネットで法律を調べていた私は、「硬貨は法律上、仮のお金で、会計の際、20枚を越える同種の硬貨は断ってもいいそうです。」と答えた。別に、店頭で2〜30枚の硬貨だったら、数えてもいいのだが、要は理由はなんでもいい、NOを言うことが大事だったのだ。
それを皮切りに、徐々にわたしは要求に応えられない状態にしていった。申し訳ございません、申し訳ございませんと謝りながら、向こうにとって、「使えないヤツ」になっていったのだ。彼は私の動かし方を間違えたといえる。最終的には私は雑言を投げつけられ、彼は、自分の動かし方で動く人間にターゲットを変えた。

私は今回の件でとても勉強になった。自分のハンドルは自分で握る。他人に握られてはいけない。他人が握るのを許して事故っても、被害を受けるのは自分の車だ。
そして、世の中には、他人のハンドルを握りたがる人種がいるのだということは、知っておこう。

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ちなみにこの、「相手から離れさせる作戦」を使うのは2回目だった。夜中に「さみしいから来てくれない?」という知り合いの女に、深入りする気がなかった僕(当時23・4歳)は「父さんが一緒に住んでて、夜中に外出ると怒られるから」というトンデモな理由で断った。以来想定どおりお誘いはない。思うツボ。その気がないのに優しくしても、ねぇ。あなたも実は、「相手から離れさせる作戦」使われていませんか?