昨日の日記で、久しくわんわん泣いたことがないとかいた。 かきおわってから、思い出してしまった。そういえば、今年になってから一度だけ泣いたってこと。
1月の中旬、どうも心臓の具合が悪かった。 健康なはずの私が、何度もたてつづけに心臓発作の症状をおこした。
苦しかった。胸が締めつけられて、本当に苦しかった。 どうしても、どうしても苦しくなって、仕事中のパパに電話をかけた。 電話口で、しゃくりあげて泣いた。
「今日だけは、早く帰ってきて。苦しくって心細いから、すぐに帰ってきて」 と。私、海外生活14年にして、パパの前でこんな風に泣きついたのは、初めてだった。
ホントに子供に戻ったみたいにわんわん泣いた。ママがベッドで泣いてるのをみて、清二まで心配して一緒に泣いちゃって。 親子で同じ顔、同じ泣き声でないてたんだよ。自分の子供より子供っぽく。
尋常じゃない私の様子に異変を感じて、ピークに忙しい時期だったのに、パパは仕事を放り出してすぐに帰ってきてくれた。 パパが帰ってきてくれたら、ほっと安心して落ち着いたよ。
後でわかったことなんだけど、ちょうど同じ頃に、日本の祖母が危篤に陥ってたんだって。発作は祖母の虫の知らせだったんだろうな。きっと、同じところが苦しかったんだ。私、三人兄妹で一番のおばあさんっこだったから。
私、その日を境に、すっかり童心に返ったような気がするよ。 実家の母から、おばあさんの危篤の報を受けて、すぐに一人で帰国して。
実家で、お父さんとお母さんとお兄ちゃんと妹が私の帰りを待っててくれて。昔みたいに五人で食卓について。
老衰したおばあさんの骨だらけの手を握りしめ。 親戚のおばさんたちと、おばあさんの思い出話に涙して。
昏睡にはいる前、おばあさんに最後のお別れをして。 最期の力でちゃんと私の手を握り返してくれたよ。
私、急に元気になったような気がしたの。 おばあさんの生命のエネルギーをバトンタッチされたみたいに。
こっちに戻ってから、すぐにおばあさんの訃報が入ったけど、私、悲しくなかったよ。不思議と。
おばあさんは私の中で生きていて、私がこれからも天真爛漫に楽しく生きていけるように私の運命を変えてくれている。
だから、悲しい涙の禍からも私を守ってくれているの。きっと。
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