2009年02月23日(月)  第81回アカデミー賞わが家の反応

外国語映画賞『おくりびと』、短編アニメーション賞『つみきのいえ』、日本作品のダブル受賞に沸いた第81回アカデミー賞。『おくりびと』の撮影の浜田毅さんは、わたしの映画脚本デビュー作『子パコダテ人』、長編4本目の『子ぎつねヘレン』、2時間サスペンスドラマ『ドクターヨシカの犯罪カルテ〜診察室に犯人が来た』(坂上かつえさんと共同脚本)と3本でご一緒しているので、「浜田さん、良かった!」というのが最初の感想。浜田さんの撮影作品では『血と骨』も3年前、第78回の外国語映画賞の日本代表に選ばれている。『パコダテ人』の撮影現場で振っていた誘導灯に負けない輝きを放つおでこから「デコピカル」のあだ名が加わったタージンこと田嶋啓次さんも、制作進行で参加している。

本木雅弘さん演じる主人公の妻役の広末涼子さんは脚本協力した映画『子猫の涙』でも存在感を放っていたし、こちらも脚本協力で参加している次期朝ドラ「つばさ」でヒロインのお祖母ちゃん・玉木千代を演じる吉行和子さんの銭湯のおばちゃん役も良かった。少なからずご縁のある方々の関わった作品という親しみも手伝って、良かった良かったと繰り返し呟いた。『つみきのいえ』を制作したロボットは、成立にはいたらなかったけれど、いくつか企画開発に関わったことがあり、このところもちょくちょくお邪魔している。去年の秋、『つみきのいえ』の絵本が出たときにいただいて、同名の映画があることを知ったのだけど、作品は未見。今回の受賞で映画も絵本も一躍脚光を浴びることになりそうで、ロボットさんも良かった良かった。

その『つみきのいえ』の絵本、迫る水から逃れて上へ上へと建て増しした積み木のような家とそこに住むおじいさんを描き、家と記憶と家族の思い出を重ねたお話。静かだけれど、水がにじむように心にじんわりとしみ入る感動があり、年齢を重ね、何かを喪う経験を多く持っている人ほど、ぐっと来るものがあると思う。けれど、2歳児には大切な記憶が水に沈む切なさはまだよくわからないらしく、一度読んで聞かせたところ、積み木だけ、おうちだけで遊ぶほうが楽しいわとそっぽを向かれてしかった。ところが、アカデミー賞での受賞を伝えるニュースで自分の家にある絵本と同じ絵がテレビ画面に現れたのを見つけるなり、「つみきだ」「つみき どうなったの?」と身を乗り出し、絵本とかわるがわる指差して、はしゃいでいるではないか。センチメンタルを味わうにはまだ早くても、ミーハー精神はしっかり宿っているのだった。

ところで、『おくりびと』で重要なモチーフとして登場する「石文(いしぶみ)」。以前、向田邦子さんのエッセイを読んで、いつかどこかで使ってみたいと思っていたので、映画に現れたとき、やられた、と思った。脚本の小山薫堂氏も向田邦子さんのエッセイで知り、いつかと温められていたのだという。昔の日記に書いていたはずだと掘り出してみると(2007年6月1日 「石文」という恋文)、石文をモチーフにした小さな話まで書いていた。書いた本人も読むまで忘れていたが、プロットのような文体なので、その頃声をかけられた『世にも奇妙な物語』に提案したのかもしれない。わたし好みの甘い話だけど、引っかからなかった理由もそこにある気がする。同じところに目をつけて生まれたエピソードが、方や世界の頂へ飛び立ち、方や過去の日記に埋もれていた。娘用の子守話に仕立て直してみようかしら。

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