2008年12月15日(月)  「頭の中を再現する実験」のニュースが出た数日後

つい最近、新聞で読んで興味を惹かれたのが、「頭の中で考えたことを再現する実験」の話。脳を流れる電流の信号を読み取る仕組みだったか、被験者が思い浮かべたアルファベットの再現に成功したという。研究を突き進めると、想像したことをそのまま映像で再現することも可能になるという。言葉でコミュニケーションする能力を失った人が意志を伝えることも可能になり、介護の現場で役立ちそうだという記事だったが、わたしは「これがあれば仕事がはかどる」と思ってしまった。脚本家は「思いつきを文章にする」ことが仕事だけれど、頭の中のイメージをプロデューサーや監督にうまく説明できなかったり、夢で見た天才的なひらめきを忘れてしまったり、ということがよく起こる。頭に電極をつないで想像をめぐらせるだけで自動的に脚本に変換されるような装置ができればラクチンだ、と考えたのだった。近い将来、脚本家の作業は「書く」ことから「念じる」ことに移行するかもしれない。

そんな妄想を働かせた数日後の今朝、目覚めた娘のたまに、いつものように「どんな夢見た?」と聞くと、「ちょうちょさんとおそらとんだの。ぶんぶんもいたの。しらすもいたの。ちょうちょさんのおうち、エレベーターなの。ママもいっしょにいこうね」という返事があった。ちゃんとお話しになってる、とびっくりして、今日の子守話が生まれた。娘が見た夢を思い浮かべながら、「たまが見た夢と、わたしが想像する夢は決して同じにはならない」ことが面白いのだと思った。頭の中をのぞいてみたい気持ちに駆られる一方で、そのままをのぞけないから想像する楽しみが残されているのだと気づく。おはなしを創造するためには、「頭の中変換機」は、存在しないほうがいいのかもしれない。それに、もし「頭の中変換機」が実現したら、文字を知らない子どものほうが面白い脚本を作ってしまいそうで、ライバル激増の心配もある。しらすが空飛ぶなんてぶっ飛んだ発想は、わたしにはない。

子守話29 ちょうちょさんのおうちはエレベーター

ひらひら ひらひら ちょうちょさん
たまちゃん おててを つなぎましょう
いち にの さんで とんだ とんだ

ぶんぶん ぶんぶん みつばちさん
ぼくも なかまに くわえてよ
なかよく ならんで とんだ とんだ

きらきら きらきら おさかなさん
あんまり たのしそうなので
いけから とびだし とんだ とんだ

ちょうちょさんの おうちで ひとやすみ
ちょうちょさんの おうちは エレベーター
あがったり さがったり あがったり さがったり
おそらをとんで いるみたい

2006年12月15日(金)  1=0.99999999........?
2002年12月15日(日)  Weihnachtsgeschenk

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