2008年09月27日(土)  生傷が絶えない足

ひさしぶりに風呂に入った、と言うと誤解されそうだけど、膝の傷をかばって、湯船につかるのを控えていた。2週間前、大阪へ飛行機で発つ朝に東京の自宅をつっかけで飛び出して、スーツケースを引いて歩道を駆け出したら、つっかけが脱げて派手にダイブし、左足の膝頭と甲を地面に打ちつけながら滑り込み着地。膝がパックリ破れたスパッツ(最近は「レギンス」と呼ばれているけど、なじめない)からこれまたパックリ開いた傷口をのぞかせたまま飛行機に乗り、伊丹空港から梅田に向かい、阪神百貨店でスパッツを買って履き替えた。穴と伝線でズタズタの血染めスパッツには我ながらギョッとしたけれど、派手な上半身に目を奪われたのか、奇抜なファッションだと思われたのか、気遣いの鑑のようなCAさんからもデパートの店員さんからも「大丈夫ですか?」と声をかけられなかった。

ズキズキ痛む傷を抱えたまま15日の万葉ラブストーリーのイベントに参加したのだけど、その3か月前、6月に万葉ラブストーリーの審査で奈良に行ったときは、左すねが血まみれになる事件があった。携帯画面を見ながらぼけっと歩いていたら、歩道から突き出している高さ60センチほどの自転車止めに気づかず激突。ケンケンで歩道を跳ね回るほどの痛みだったが、その傷跡が癒えないうちに新しい傷が加わってしまった。

いい年して生傷が絶えないなあと情けなく思っていたら、先週開かれた広告会社時代の同期飲み会でアートディレクターのヒダイ君が「入社式のとき、会議室に入って来る同期の女子の足元を見てたんだよ」と昔話を始めた。「俺、ディテール観察するの癖だからさ。さすが代理店に入ってくる女の子は、いい靴はいて、歩き方も颯爽としてて、ぬかりないなあって感心してたのよ」。へぇー、わたしにもそんな時代があったのか、と懐かしい思いで聞いていたら、続きがあって、「最後に素足に蚊に刺されたふくらはぎが入ってきてさ、それが今井だった」。一人異質な彼女は何をやる人だろうと思ったら案の定コピーライター。それがわたしの第一印象だと聞いて、顔から火を吹きそうになった。そんなこと覚えていないし、初めて聞いたのだけど、「今井といえば、あのふくらはぎを思い出す」とヒダイ君。15年前の記憶がくっきり。あーあ、昔から成長してない。

さて、ケガのその後。固まっては割れるを繰り返し、グジグジ膿んでいた膝頭の傷口は、一週間かけて、ようやく巨大なかさぶたになった。大学時代にもすねに大きなかさぶたを作ったことがあり、あまりに見事なので、日記をつけていたノートに糊で貼って再現したのだけど、下宿先のおばさんのミチコさんに見つかって心底イヤな顔をされた。そのとき以来の大物を写真に撮りたい衝動を抑えられるぐらいには大人になった。

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