2008年05月21日(水)  マタニティオレンジ291 徒歩20分の冒険

娘のたまがベビーカーに乗りたがらないので、徒歩通園を続けている。その理由のひとつは、「あんまんくっく」で、アンパンマンのキャラのカレーパンマンの靴をはいて歩くのが、うれしくて仕方ないらしい。保育園からわが家まで大人の足で5分、ベビーカーを押すと10分の距離が、歩きだとさらに倍の20分ほどかかる。その20分の間、たまは全身をアンテナにして冒険を楽しみ、つきあうわたしもドラマティックな散歩を楽しむ。

バスやトラックが通ると、「バスー」「トックー」「おっきー」と興奮し、夢中で手を振るたまは、大忙し。段差があれば上り、「ママも!」とわたしにも上らせる。シャッターがあれば手のひらを這わせ、チェーンがあれば握ってずるずるとたどり、たっぷり汚れたその指を口にくわえ、ガラスをベロリとなめる(ひえーっ!)。かと思うと突如うずくまり、寝転がり、寝返りまで打ち、寝そべったまま石畳の間から顔を出している草をむしる。なんとも大胆。

目に留まったものを次々と指差し、「これ、なぁに?」。「階段」を教えると、すんなり繰り返して、覚えた。自分の名前はいまだに言えないのに、言いにくそうな単語をすらりと言えたりする。早速、通り沿いの建物を一軒ずつのぞきこんで、「かいだん、あった」「かいだん、なーい」。そんな目で街を観察したことがなかったけれど、探してみると、ガラス戸の向こうに階段が見えるつくりの建物が多いことに気づく。インド料理屋の店先にはゾゾ(置物のゾウや数珠つなぎゾウや屏風ゾウ)がいること、定食屋のウィンドウにはニャーン(招き猫)がいること、真っ黒いブルドッグが流行っているらしく、今や標準装備のごとくお散歩犬がまとっているわんちゃん服を彼ら黒ブルは着ていないこと(黒光りする自前のボディスーツが自慢?)。子どもの目線で眺めると、見飽きたはずの道で新発見が続々。

マンションに着いても冒険は続いている。「かぁぎ、くださーい」と急かされて鍵を手渡すと、エントランスのドアの鍵穴に差し込もうとして、「はいんないよ」。そんな言葉、教えてないのに、覚えたの。エレベーターに乗り込むと、行き先階のボタンを押したがるので、抱き上げる。当てずっぽうに押していたのが、いつの間にか「4」を覚えて押すようになった。「4が見えたら、開くを押してね」と言うと、窓の外に目を凝らし、壁のタイルに貼った「4」のプレートが目に飛び込むなり力いっぱい「開」ボタンを押す。ドアは自動的に開くのだけど、たまは自分が開けたと思って得意そう。小さな冒険者を観察していると、自分にも世界をこんな風に見てた頃があったんだなあと懐かしいようなくすぐったいような気持ちになる。

2007年05月21日(月)   マタニティオレンジ121 ついに床で寝る
2005年05月21日(土)  『サッシペレレ』でサンバナイト
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