2007年12月29日(土)  2007年仕事納め

会社勤めしていた頃は、年始にプレゼンがあるかどうかで年末年始ののんびり具合が決まった。年始に何もなければクリスマス明け頃から二週間ほど休みを取って有休を一気に消化できたけれど、休み明けすぐに競合のプレゼンが入っていたりすると大みそかまで働いて三が日の三日目から出勤という普通の週末のような正月休みとなった。

フリーになったら自分の好きに休める、と思っていたのだけれど、脚本家とう仕事、暇なときは恐ろしく暇なくせに、忙しいときは土日も祝日も関係なし。今年は10月の後半から一挙に忙しくなり、休日も働き続け、気がついたらカレンダーの最後の一枚が終わりにさしかかっていた。先日コンビニで買った牛乳の消費期限が来年の日付になっているのを見て、「2007年が終わってしまう!」と焦ったほど。残り時間はどんどん減っていくけれど、今書いている脚本はなかなか進まず、この分だと大みそかも正月もないかもしれないと覚悟した。

今日、最後の打ち合わせのあと、プロデューサーと二人で本直し。日付が変わり、何とかひと区切りというところまで持ち込んで、「今年はお疲れさまでした」となった。まだ先は長いのだけれど、年の終わりまであと二日を残してお疲れさまを聞けたことがうれしく、帰りのタクシーで妙におしゃべりになっていた。タクシーの運転手さんと話すのは好きだけれど、このところ、あまりに考えることが多すぎて、車中でも沈黙して窓の外を見ていることが多く、行き先以外の話をするのはひさしぶりだった。

鳥取から出稼ぎに来ている運転手さんで、「鳥取はもう雪だよ」と言う。初詣客で稼ぎどきの元旦の仕事を終えたら帰省するのだという。鳥取でも走っていたことがあったけれど、稼ぎは一日2万円ぐらいだった。東京だと悪くて6万、いいときは9万ぐらい行く。稼ぎの6割が懐に入るけれど、ボーナスも退職金もないからそれぐらいは稼がないと……そんな話をしてくれた。「お客さん、会社員?」と聞かれたので、「フリーです」と答え、仕事があるときもあれば、ないときもあります、とつけ加えた。「会社辞めて、怖くなかった?」と聞かれて、そう言えば、怖いとは思わなかったな、と二年半前のことを振り返ったが、辞めても大丈夫と思えるところまで来たからやめたのだっけと思い出す。フリーになって半年もしないうちに子どもを授かって、その子どもが生まれて一年余り経って、その間も仕事は途切れなく舞い込んできている。タクシーと同じで、いいときもあれば悪いときもあるけれど、手を挙げてくれる人がいて、走り続けられることはありがたいなとしみじみ思った仕事納めだった。

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