2004年12月29日(水)  英国旅行3日目 巨岩と村と怪人

■今日はMarlborough HouseのLauraおすすめのバスツアーに参加。ストーンヘンジやコッツウォルズの村を7時間かけて案内つきで回る。madmaxという家族経営の会社がやっていて、移動は乗客最大16人のミニバン、お値段もひとり£22.5とリーズナブル。Elgin Villaで早めの朝食を済ませ、abbey横のピックアップポイントに8:45集合。日本人はうちの夫婦と留学生らしい若い女の子二人。あとはアジア系、アラブ系、地元系など様々。ドライバー兼案内係のIanが慣れた口調でイギリスの6000年の歴史を20分で駆け抜ける。ところどころで乗客が質問を投げ込み、歴史の授業風。約1時間でストーンヘンジに到着。
■遺跡の岩のまわりはだだっ広い緑。教科書などで写真は見ていたものの実物の迫力は桁違い。地面に根を張って立つ巨岩の列は、低く垂れ込めた雲ともあいまって、神々しさが漂う。何のために建てられたかはミステリーだが、何か説明のつかないパワーを感じる。古代の人々もこの建造物に常識を超えた何かを求めたのかもしれない。おなじみオーディオガイドはここでも興味深い説明をしてくれるが、懇切丁寧すぎて、最後まで聞いているとなかなか前へ進めない。■土産屋が軒を連ねるということはなく、小さなギフトショップとテイクアウトのSTONEHENGE KITCHENが並んでいるのみ。このキッチンのメニューが妙にそそる。アップルスコーン(£1.95)とお茶(£0.65)を買い、バスに戻って味わっていると、集合時間を過ぎても日本人留学生二人組が戻ってこない。15分が過ぎ、Ianがイライラして探しに行った。車内では「おいおい」という冷たい空気が流れ、わたしも肩身の狭い思いをする。だが、戻ってきた二人はIanが何に苛立っているかわかっていない様子。「集合時間とっくに過ぎていて、皆さんを待たせていたんですよ」とわたしが耳打ちすると、ようやく「マズイ」という顔に。「集合時間聞いとけばよかったね」「だねー」と二人なりに反省していたが、英語力ではなく団体行動力の問題だった。謝るタイミングも逃してしまい、他の乗客には「待たせて平気な日本人」の印象を残すことになった。
■観光名所のストーンヘンジ以外にもこの辺りにはストーンヘンジが点在する、ということで、車で10分ほど行った先にある「石に触れる身近なストーンヘンジ」へ。古代の生命力を秘めた石からパワーがもらえるとか。ご利益ありますように。さて、ここで聞いた興味深い話。この一帯を保存するために買い取った人物が巨岩のひとつをどけたところ、白骨化した男性の死体を発見。石に押し潰されての圧死ではと死因鑑定のため遺骨をロンドンの研究機関に送ったが、第二次世界大戦の最中で、1940年、研究機関の建物が爆撃に遭ってしまう。ところが二年前にひょんなことから大英博物館が遺骨を発見、半世紀以上遅れて鑑定が実現した。その結果、あわれな男性の死因は圧死ではなくblack deathだとわかったという。black deathとは中世の頃に流行った疫病で、当時は人口の25%がこれで命を落としたとか。恐らくペストのことだろう。何百年も前の死体の死因を骨だけで判定できるってすごい。
■昼食はLacockという古い村にあるGeorge Innというレストランで。Lacockは村ごとnational trustに保存されており、村にゆかりのある家族しか住むことができないそう。古い家は13世紀から家系図をたどれるとのこと。ここの寺院はハリーポッターのホグワーツ魔法学校のロケ地として使われているそうだが、冬の間は中に入れない。1時間半のランチタイムの間に食事と村観光をするはずだったが、同じテーブルになったアフガン人夫妻とタイ人姉妹との会話が弾み、気がついたら集合時間10分前になっていた。国費留学中の夫・アズィール(be lovedという意味だそう)に妻がくっついてきているアフガン人夫妻は、わたしたち夫妻と結婚年月日が2週間違いということもあり、意気投合。アズィールの専攻は政治だそうだが、非常にスマートでユーモアもあり、こんな人物がいればアフガニスタンも心強い、と思わせた。留学中の姉のところに妹が遊びに来ているタイ人姉妹は育ちが良さそうで、頭のいい受け答えをしていた。
■最後の目的地はコッツウォルズの小さな村、Castle Combe(カッスル・クーム)。全英一美しい村に選ばれたこともあるとかで、時間が止まったように佇む風景は、どこを切り取っても絵になる。お墓も橋も何もかもが静謐で美しい。Manor Houseという名の格調高いマナーハウスがあり、窓から赤絨毯とアンティーク調の家具が見える。この静かな村で約1時間、思い思いの散歩を楽しむ。各自が自由に見て回れる時間をなるべく取るのがmadmax tourの方針のようで、「we do things different」が宣伝文句。カッスル・クームからバースへ戻る道は、疲れて眠る乗客のためにIanは黙って運転する。バースへ行く人にはおすすめのツアー。
■4:30にBathに戻り、「今行けば間に合う!」と昨日偶然見つけた映画館へ走る。4:40からThe Phantom of the Operaの上演。座席はfront middle backから選べ、frontにする。ひとり£5.5。20分ほどのCMタイム(イギリスのCMトレンドもわかってなかなか面白い)に続いてトレイラー(予告編)上映。アメリの監督と女優が再び組んだThe longtime Engagementなど。期待の本編は、オークションにかけられた「オペラ座の怪人事件のシャンデリア」があのテーマ音楽とともに吊り上げられ、場面がモノクロからカラーに変わっていく冒頭(日本で観た予告編でもこのシーンが使われていて鳥肌が立った)から鷲づかみ。設定も時代も近い数年前のFOX映画、『MOULIN ROUGE(ムーランルージュ)』を彷彿とさせるが、それ以上に音楽と美術がとにかく圧倒的。■ムーランルージュの二コール・キッドマンのほうがヒロインの華はあったけれど、「その他大勢から歌姫に抜擢される」設定のクリスティン役には、愛らしいエミー・ロッサムがふさわしいのだろう。屈折した過去と類まれな才能を持つファントム(ジェラード・バトラー)がクリスティン(エミー・ロッサム)の歌声を目覚めさせるが、ファントムの正体を知ったクリスティンは苦悩する。ファントムとクリスティンの葛藤も切ない歌になっている。自分の才能を引き出してくれた恩人を裏切れないと揺れる気持ちには共感を覚える。台詞の合間に歌うというよりは大半の台詞が歌。クリスティンを想う御曹司ラウル(パトリック・ウィルソン)とのラブソングの歌詞も素敵。僕が君を守る、君がどこに行こうと〜♪ うっとりしているいい場面で、横からダンナが「わけわかんないよ」と話しかけてくる。どう見てもラブシーンでしょうが!■2時間を超える長編だが、もっと見せて、まだまだ聞かせて、という感じで最後まで引きつけられる。地下の秘密部屋、華やかな舞台、雪の積もった霊園……妖しくも美しい絵が連なり、心を揺さぶる旋律で彩られ、すっかり魅了される。途中で迷子になっていたダンナも「すごいものを観た」と最後は喜んでいた。日本で字幕つきでもう一度観たい。映画館入口にはティム・バートン監督のCharlie and the Chocolate Factoryの告知が。こちらも楽しみ。■夕食は地元で人気のレストランという噂のWalnusにて。何を注文しても「Good」と親指を立ててくれる店員の兄ちゃんの感じがよく、おいしく食事できる。こういうお店にはチップも気持ちよく弾める。

2003年12月29日(月)  そんなのあり!? クイズの答え

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