2007年10月27日(土)  シナトレ7 紙コップの使い方100案

昨日の愛知工業大学での出前講義で、発想力を筋トレする一人ブレストの例題として取り上げた「紙コップの使い方」は、わたしが就職した広告会社の入社試験に出た一問。試験前夜、対策のために読んだ発想法の本にアイデアをひねり出すコツが書いてあった。アイデアは組み合わせである。たとえば、あるモノの使い方を考えるとき、そのモノとは別なモノをどんどん思い浮かべて、こじつけでも組み合わせればよろしい、と。読みは当たり、わたしは答案用紙を「紙コップの使い方」で埋め尽くすことができた。紙コップから発想するとすぐに行き詰まってしまっただろうけれど、紙コップから離れたところにヒントを探る方法だと、答えは引き出しやすくなる。

その発想本には「まずは100案ひねり出せ」とあった。100案足し上げようとしたら、離れ業や飛び道具が必要になってくる。そこに突拍子もない発想が生まれるチャンスがある。頭をやわらかくする体操をしながら、跳躍の機会をうかがえ、というわけだ。

大学四年生だったわたしは100案をひねり出したと思われるが、今もそれができるだろうか、と名古屋へ向かう新幹線の中でふと不安になった。入社試験は「紙コップの使い方」「十色そろった地下足袋のネーミングとキャッチコピー」「『馬の耳に念仏』の解釈を1000字以内で」の合わせて三問を制限時間三時間で答えるというものだった。三時間。新幹線で東京から大阪に移動できるだけの時間。今だったら集中力が持たないが、将来を懸けた勝負に若さと意地で食らいついていたのだろう。今のわたしは、若さと体力は衰えたけれど、発想力は鍛えられている自負はある。過去の自分に挑戦するつもりで、名古屋到着の45分前あたりから頭をひねってみることにした。

まずは基本から。キッチンのテーブル周りに紙コップを置く。このとき、ビジュアルをできるだけ具体的に思い浮かべるのがコツ。
ドリンクを飲む スナックを入れる 唐揚げを入れる 野菜スティックを立てる かき氷を入れる 計量カップにする 調味料をまぜる ごはんの型を抜く
型を抜くといえば、
クッキーの型を抜く 粘土の型を抜く
残りものに虫がつかないように、
蓋をする
虫をよけるのと逆の発想で、
虫をつかまえる 虫かご
キッチン周りでもうすこし膨らませて、紙コップを食器棚や冷蔵庫やオーブンに移動させてみる。
醤油さしを受ける 辛子チューブを立てる ゼリーを固める カップケーキの型にする 
そうだ、前にこんなことがあったと思い出した。
しゃもじにする
それがありなら、これもありだろう、といもづる式に
スプーンにする おたまにする 穴をあけて穴杓子にする マッシャーにする めん棒にする
穴を開けたら、こんな使い方も。
プラネタリウム シャワー じょうろ 水切り網 粉ふるい 
展開したら、
鍋つかみ 鍋しき 皿 うちわ
この辺でキッチンから洗面所に移動。
薬を飲む 歯みがき うがい 入れ歯入れ コンタクトレンズ消毒
洗面所から書斎に移動。
ペン立て メガネ立て 携帯立て クリップ入れ 絵の具バケツ 画鋲ホルダー(差して保管) 
書斎にはコンパスがあるけれど、紙コップも丸い。
円を描く  
ちょっと変化球で、
面積を求める 体積を求める 
苦しいけれど、やれないこともない、
しおり ブックエンド 
こじつけついでに、
ドアストッパー 家具の転倒防止ストッパー
ふさぐつながりで、
シューキーパー 穴をふさぐ 
そうだ、紙コップは紙ではないか。
メモ帳 便せん キャンバス スクリーン 名刺(パーティで名刺ないときに名前書いて渡す人、いるいる) 
加工するなら、
ステンドグラス工作
表面に印刷して、
広告媒体
そういえば、この形は何かに似ている。
ランプシェード
その場合、底の丸は抜いたほうがいいかもしれない。その形は、
人形のスカート メガホン
屋内から屋外に移動して、ベランダへ。
バケツ スコップ 植木鉢 植物の名札 ふるい 落ち葉を集める
植木鉢の鉢つながりで、
金魚鉢 金魚をすくう(昔、死んだ金魚をすくったことを思い出した)
落ち葉を集める、から基本を思い出す。
ゴミ箱 ちりとり 灰皿 検尿
ベランダの花を活けなくちゃ。
花瓶
他にベランダで使うものといえば、
キャンドルホルダー 洗濯バサミ受け
キャンドルといえば、
キャンドルを固める
固めるといえば、
雪を固める 
雪といえば、
雪かきシャベル 雪だるまの帽子
かぶりものつながりで、
鼻にする 耳にする さるぐつわにする 目隠しにする 大切なところを隠す 
身に着けるものつながりで、
腕輪 首輪 足かせ ギブス
おもちゃにするのを忘れていた。
手品 糸電話 丁か半か 輪投げの的 転がす 蹴る 投げる 犬のおもちゃ(歯がため) 赤ちゃんのおもちゃ ドラム 音が鳴るものを入れてつなげてマラカス
ここで100案超えたけれど、重複してるっぽいものも多いので、余分にもう少し。中の詰め物をぎっしりにしたら、
ダンベル まくら 重石
ひっくり返して、
アリ相撲の土俵 ネズミの傘 小人のテーブル
そうか、使う人がうんと小さかったら、まだまだ出てくる。
小人の船 小人の風呂 小人のプール
そろそろ百案。
割れものを守る ラッピング材 音響をよくする 部屋を飾る
110案超え。苦しくなると、こんなのが出てくる。
並べてベッド サンドバッグ(ストレス発散) 肘置き 紙吹雪 リサイクルする 燃やして暖を取る 灰を肥料にする
これで121案。大学を出てからコピーライター時代も脚本を書くようにかってからもブレスト道場で百戦錬磨したおかげで、頭はさびついてない様子。視点をどんどん変えていくこと、連想でどんどんつなげていくには持ちネタの引き出しの数がものを言う。その引き出しが、年の功で充実してきたようだ。まだ引き出しが少ない場合は、雑誌や新聞やネットを脳みその出張所に使えばいい。雑誌のページをアトランダムに開いて、紙コップを置いてみる。花のページなら花瓶、魚のページなら金魚鉢、車のページなら灰皿、という風に、そのページにあるものと紙コップの接点を見つけていく。

大事なのは、出てきた答えよりも、それを引き出す過程にある。脳みそに嵐を起こして、在庫確認と整理をしつつ使える情報を選び取るブレーン・ストーミングの作業は、頭の引き出しを使いやすくする。脳のウォーミングアップにかかる時間が短くなり、エンジンがかかるのが早くなる。こじつけでもひとつのモノの可能性をつきつめて考える練習をしておくと、「新製品の売り出し方法」などに応用したときにもひらめき確率がアップする。脚本を書く場面では「主人公の職業」「男女の出会い」などを何通りものパターンから選びとる作業が発生するが、そんなとき、短い打ち合わせ時間の中で光る組み合わせを思いつく瞬発力がモノを言う。学生だったら、入社試験の制限時間内に最大限の発想力を発揮しなくてはならない、という状況の時に、筋トレの成果が出る。「消しゴム」「手ぬぐい」「縄跳び」など、身近にあるものを例題にやってみると、めきめき力がつくこと間違いなし。

2004年10月27日(水)  TakashimaKazuakiの服

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