2007年04月25日(水)  教え子四人とシナリオ合評会

一昨年の10月から半年間、シナリオ講座の研修科を受け持った。そのときの教え子の男の子四人が出産祝いを贈ってくれたので、内祝い代わりにわたしの家で合評会を開くことになった。四人がときどき居酒屋で合評会を開いていることは聞いていた。最初は真面目に批評していても、途中からは単なる飲み会になるというが、合評会や仲間の存在が書き続ける励みになっているのがうかがえる。独学でコンクールに応募していたわたしは、そういう同級生がいることをうらやましく、微笑ましく思う。

一週間前必着の約束に一人も遅れることなく原稿がそろってから、一週間かけて四人の作品を読んだ。講座を受け持っているときも、わたしは時間の許す限りじっくり読み込み、気づいたことやアドバイスできることをできる限り伝えるように努めた。わたしが脚本家になれたのは、結局会うことが叶わなかった新井一先生が雑誌の誌上シナリオ講座に応募したわたしの作品に目を通し、温かい励ましの言葉をくれたから。書きたいという思いがある人には、書き続け、デビューのチャンスをつかんでもらいたい。新井先生がわたしにしてくれたことを、これからの人たちに返せたらと思っている。だから、そういう機会に恵まれたときは、真剣に読む。その代わり、書く人にも真剣勝負を求める。誤字脱字には厳しい。何度も読み返し、これでどうだ、と自信たっぷりに突き出して欲しい。気の抜けた原稿は、こちらも気が入らない。

四人の原稿には、書き続けてきた時間に値する成長がうかがえた。脚本のスタイルはだいぶ整ってきたし、読みやすくなっている。でも、肝心なのは、中に何を込めるか。この物語はどこへ向かうのか、最後に何を残したいのか、そこがまだ弱い。「モチーフはいいけど、テーマとうまく絡んでない」「主人公のキャラクターが途中で変わってる」「結末に驚きがない」……。出産祝いのお礼のはずなのに、力が入って、つい言葉がきつくなってしまった。だけど、コンクールで勝ち残るには、他の作品より突き抜けた何かを発していないと、埋もれてしまう。それを見つけてほしい。

互いの作品を評する四人の言葉にも成長が見られた。わたしが見落としている作者の意図を汲みとっていたり、そういう解釈もあるのかと気づかされたり。脚本を読む眼がずいぶん肥えている。初稿は勢いで書いてしまうけれど、直しで完成度を上げていく作業が難しい。どこを削り、何を加えるか。見極めを誤ると、改訂が改悪になってしまう。プロの脚本家の場合はプロデューサーや監督とああだこうだ言いながら方針を定めていくけれど、コンクール応募時代は孤独な作業になる。そんなとき、「本を読める」仲間がいるのは、とても心強い。それぞれ仕事を持ちながら、励まし合い、書き続けている四人。この中の誰が最初にデビューしても、自分のことのように喜びを分かち合うのだろう。もちろん同時に焦りやジェラシーも感じるのだろうけれど。お土産のケーキでお茶しながらの休憩をはさんで四時間。コンクールに応募していた頃を思い出して、お礼をするつもりが、元気と刺激をもらった。

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