2007年03月20日(火)  マタニティオレンジ95 満を持して『はらぺこあおむし』

『はらぺこあおむし』の絵本はぜひ買いたいと思っていた。世界的ベストセラーになっている絵本だが、わたし自身は読んだ記憶はない。けれど、子育てをしている友人の家に行くと、必ずといっていいほど、インパクトのあるあおむしの表紙の絵本があり、「子どもが大好き」「わたしも気に入っている」と皆がほめちぎるのだった。今日、東銀座で打ち合わせして、九州から出張で上京している友人ごんた君と歌舞伎座の裏にあるカフェでお茶をして、そのまま日比谷まで歩いていたら、あおむしのポスターがわたしを呼んでいた。見上げると、そこは教文館のビルで、ちょうど作者のエリック・カールのフェアをやっているのだった(4月8日まで)。

6階でリトグラフ展『どうぶつのおやこ』を見た後、9階の『エリック・カールの世界』へ。数々の仕掛け絵本の展示、独特の色づかいが生まれる工程の紹介、記念撮影コーナーなど、入場無料ながら充実した内容。各国語に翻訳された『はらぺこあおむし』の表紙がずらりと並んだのを見て、英語題は『The Very Hungry Caterpillar』だと知る。これを『とてもおなかをすかせたいもむし』と訳していたら、日本での人気は半減していたかもしれない。

世界中で愛されている絵本『はらぺこあおむし』の誕生に、映画『子ぎつねヘレン』の原作『子ぎつねヘレンふのこしたもの』を出版している偕成社が関わっていたと知る。面白い仕掛けゆえに形にするのに難航していた60年代後半、印刷製本技術を開発してくれる先を見つけたのが、当時社長だった今村廣氏とのこと。それゆえエリック・カール氏も日本に愛着を感じ、たびたび来日されているという。

『はらぺこあおむし』以外の作品も、とにかく楽しい。色も言葉もはずんでいる。作者自ら面白がって作っているのが伝わってくる。「私の絵本は私の中の子供に向けたことばなのです」という言葉に納得。伸びやかな作風の背景には、子ども時代に絵を褒めてくれた恩師の存在があるという。褒められるのがうれしくて夢中で描いているうち大人になったような人なのだろうか。作品にはまた作者の子どもたちへのあたたかなまなざしがあふれている。家庭という守られた場から学校という社会へ踏み出す子どもたちの不安に思いをはせ、「私は私の本をこの深い淵にかける橋にしたい」とも語っている。作者の年表を見ると、52年にレオ・レオーニの紹介でニューヨークタイムズのグラフィックデザイナーになった後、広告会社のアートディレクターを経て独立したという。『スイミー』の作者(教科書ではレオレオニとなっていた記憶がある)との接点も知れて、なんだかうれしい。

物販コーナーには、迷うほどいろんな形の『はらぺこあおむし』が勢ぞろい。自分で色を塗って完成させる塗り絵版、英語の勉強にもなる二か国語版、葉書の半分ぐらいのミニ版があるかと思えば、紙芝居のような大型本も。小型ながら厚手のボール紙製でめくりやすそうなボードブックを購入することに。あおむしが曜日ごとに食べる量をふやしていく仕掛け部分も、この厚さなら、何度めくっても持ちこたえられそう。早速、生後210日目の娘のたまに読み聞かせてみた。内容はまだわからないだろうけれど、色がにぎやかなので、じっとページに見入っていた。

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