2007年01月28日(日)  マタニティオレンジ66 贅沢なお産

遠い昔の出来事のようだけど、昨年5月30日に興味深いドラマを観た。日テレのドラマコンプレックス枠で放送された『贅沢なお産』。仕事が楽しくて子どもなんて考えてもなかった水野真紀演じる女性誌編集長がまさかの妊娠。動揺の後に「せっかくなら楽しまなきゃ」と自分らしいお産を求めるストーリー。「自分が妊娠しちゃった手前、おいしいことっていうアドバルーンでも上げてなきゃやってられないんでしょ」と部下が突っ込む台詞は、自分のことを言い当てられたようで身につまされた。当時はまだ妊娠7か月。数か月後に親バカ街道を疾走することになるとは予想もしていなかった。

出産ドキュメンタリーや最新の出産事情の紹介もからめ、情報番組としても使える上出来な番組だった。「タイムリーだわ」と一妊婦として喜んでいたけれど、「ネタ収集中の妊婦脚本家としては、先越された!じゃないのか?」と突っ込む心の声もあった。

ダンナの母も見ていたので、放送翌日に感想を語り合ったのだが、開口一番「やっぱりドラマねー」とダンナ母。「出産なんて、あんなに苦しまないわよ」と勝ち誇ったように言った。
わたし「ドキュメンタリーの出産シーンも、大変そうでしたけど」
ダンナ母「あれも大げさにやってるのよ。カメラの前だから」
わたし「そんな演技する余裕はないでしょう」
ダンナ母「とにかく、わたしはあんなに苦しまなかった」
わたし「あまりの痛みに、忘れちゃったんじゃないですか?」
ダンナ母「ううん、でも苦しまなかった」
とダンナ母はあくまでもドラマに対抗意識を燃やし、わたしは「どんなに難産でも、お義母さんにはラクショーでしたって報告しよう」と覚悟したのだった。

そんなこともあって、読みたいと思っていた原作の『贅沢なお産』をようやく読む。漫画家の桜沢エリカさん自身の出産記。「36才での出産」「妊娠までは仕事中心の昼夜逆転生活」「子どもはいつか欲しいけど今じゃなくていいと思っていた」などなど自分と重なる部分が多い。桜沢さんは聖路加病院、育良クリニックを経て自宅出産を選んだのだけど、わたしの場合、妊娠を知って最初にネットで見つけて「良さそう」と思ったものの距離的に断念したのが、アクティブバースを提唱する育良クリニックだった。続いて聖路加を検討したのだけど、出産した友人の話から「高くても食事は普通だった」と聞いて考え直し、「食事のおいしい産院」を調べたら、家からほど近い助産院に行き着いた。結果的には、ここの「お産は自然なこと、楽しむもの」という構え方が性に合った。

洋服と同じで、値段よりブランドより「しっくりくる」ことが産院選びにはとても大切だと思う。その辺の感覚を桜沢さんは上手にすくい取って表現している。自宅出産と助産院という違いはあるけれど、「分娩台に乗るより、力を出しやすい自然な体勢で産みたい」「じっくり話を聞いて向き合って欲しい」という主張にも大いに共感。大きな病院では一時間待って五分診察というところもあると聞くけれど、わたしが産んだ助産院ではその逆。診察のたびに自信と勇気をもらって出産がどんどん楽しみになったし、自分のやりたいように産ませてもらえた。産院の都合に合わせるのではなく、出産する妊婦の希望にとことんつきあってくれる。「しっくり感」が満たされることが「贅沢なお産」なんだなあと自分のお産を振り返りながら思った。

出産してから関連本を読むと、自分の体験を比較材料にできて面白い。最近他に読んだのは『知っておきたい子育てのウソ・ホント50―最新赤ちゃん学が教える子育ての新常識(小西行郎)』。育児に関しては人によって言うことが実にまちまちなので、占いやおみくじと同じく、いいとこどりさせてもらっている。子どもにいいとされるものは世の中にあふれ、早期教育を急ぐ親も多いけれど、「子どもがいちばん必要としているのは、あなた」という言葉に納得。その一方で「子育ては母親だけが背負うものではない」に力づけられ、「かぐや姫と同じく、一人前になったら子どもは世の中に返す」にふむふむと思う。

2006年01月28日(土)  映画関係者の『女正月』に初参加
2005年01月28日(金)  G-upプロデュース公演『ブレインズ』
2004年01月28日(水)  舞台『クレオパトラの鼻』(作・演出:上杉祥三)
2002年01月28日(月)  心意気

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