2005年01月03日(月)  英国旅行8日目 妻・母・長女の家と財布とシーザー

■5つあるShakespeare Houseのひとつ、シェイクスピアの妻、Ann Hathewayの家は宿泊先のHeron Lodgeから歩いて10分ほどの緑の中にある。木の上を走り回るリスを見上げながら10時の開館を待つ。「シェークスピアも興味ないのに、妻の家を見せられてもねえ」とダンナは渋々お付き合い。シェークスピアは結婚前、現在タウンセンターにある生家から徒歩でここまで通っていたそう。わたしたちは昨日Ann Hatheway Houseからタウンセンターへ抜けたのだが、もしかしたら同じ道を歩いたのだろうか。「シェイクスピアとアンが会うときは必ずアンの家族の目があったが、なぜか結婚したときアンはすでに身ごもっていた」らしい。ここは庭が素敵で、寄付した人のメッセージ("Eternity is in your lips and eyes""I loved nothing in the world so well as you"など詩のようなフレーズも)が刻まれたベンチや彫刻や植え込みでできた迷路などが上品に配置されている。これらは最近の試みのよう。■ギフトショップで買い物しようとして、トラブル発覚。財布がない!あわててHeron Lodgeに戻ると、部屋にもない。最後に使ったのは、昨日タクシーで宿に戻ったときだから、落としたとしたらタクシーの中。ベルを鳴らし、ChrisとBobに助けを求めると、ストラットフォード中のタクシー会社に電話してくれるが、答えはことごとくNO。ところが最後に警察に電話したBobが「Fantastic!」と叫んだ。なんとわたしたちの後に乗った乗客が車内で拾って届けてくれたらしい。警察署に現れたわたしを見るなり、窓口の女性が「あなたがラッキーレディーね」とにっこり。クレジットカードに顔写真が入っているおかげで本人確認もスムーズ。届けてくれた親切な人の住所と電話番号を聞き、電話でThank youと伝えると、良かったと喜んでくれる。お礼なんていりませんよと遠慮されたが、日本から何か送ろうと思う。ほっとしたらおなかがすいて、EDWARD MOONでスープとビーンライスをもりもり食べる。綾戸智絵風な元気笑顔のウェイトレスさんがとてもいい感じ。■バンクホリデーなので今日もパブリックバスは走っていない。シェイクスピアハウスを解説付きで巡回する観光バスを使うしかないが、£8もするくせに解説の日本語はコピー的にもナレーション的にも改善の余地大いにあり。「妻の家も興味ないけど、お母さんの家もねー」とぼやくダンナを引きつれ、郊外にあるMary Arden's Houseへ。タウンセンターに戻り、「今度は長女夫妻ですかい?」。長女の夫は外科医で、当時の医療器具やカルテも展示されている。このハウスに併設されたティールームはとてもいい雰囲気なのだが、4時でclosed。残念。■近くに教会があるので行ってみると、ここにシェイクスピアが眠っているという。妻のアンや母のメアリーの名前もある。高い天井、ステンドグラス、閉館前で他に訪問客はいない。あなたの今日のdonationもTSUNAMIで被害に遭った人に届けられますよと案内の男性。どこの教会へ行っても「TSUNAMI DISASTER」への募金と理解を呼びかけている。「正面は鍵閉めちゃったから、こっちから出て」とおばちゃんが先導してくれ、立派な教会とギャップの事務室のようなところを抜けて裏口に出る。「バックステージを見られてラッキー」と言うと、おばちゃんは笑っていた。
■昨日一昨日に比べると今日は人出が多く、Avon川のほとりを散歩する人の姿も目立つ。シェークスピア気分が高まり、「今夜はシェイクスピア劇に挑戦しよう」。「Caesar」のチケットを求めると、立見しか空いていないが£5だと言うので購入。劇場のSwan TheaterはRoyal Shakespeare Theaterの隣。ここには小さなミュージアムがあり、過去の公演で使われた衣装が展示されているが、点数は少ない。川の近くのダイナーで腹ごしらえ。カウンターでテーブル番号を伝えて注文するスタイルだが、チップの煩わしさもなく、長居出来た。ここも店員さんはウェルカムな感じ。さて、Caesarは予想を裏切り、ウエストサイド物語の決闘シーンのような衣装とライティングで幕開け。ダンスが始まるのではと期待させたが、ひたすら台詞、台詞。元ネタがよくわかっていない上に現代風にアレンジしているので、わけがわからない。聞き取れるのは「シーザー!」だけ、と思ったら、もうひとつ、「ブルータス!」も出てきた。この状況で、バーにつかまっての立ち見もキツイ。客席を見回すと、皆腕を組み、神妙な顔つき。退屈しているのか反芻しているのか。と、万雷の拍手。すばらしーというより、やっと終わったーと聞こえる。1時間半かけて第一部が終了したのだが、見続ける体力はなく劇場を出る。£5のチケットに未練なし。
■パスタが食べたくなり、CAFFE UNOというイタリアンへ。二人合わせて大人一人分の小柄なわたしたちはどの店に行っても「一皿をシェアします」と言うのだが、取り分け皿を出してくれるお店さえ稀なのに、この店は最初から二皿に盛ってきてくれた。「わたしもコレ、今日の夕食に食べたのよ」と言うウェイトレスにも好感。味も期待以上。

2004年01月03日(土)  庚申塚の猿田彦神社
2002年01月03日(木)  留守番

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