2005年01月02日(日)  英国旅行7日目 生家と古城とリモニー・スニケット

■「今日は日曜日なのでバスは走ってないよ」と言われ、電車でWarwick Castle(ウォーリック城)へ行くことに。Heron Lodgeからfootpath(小道のようなもの。あちこちに「footpath」の看板がある)を40分かけて散歩しながら10時前に駅に行くと、「次の電車は11時57分」と言う。待ち時間にShakespeare's Birth Place(シェークスピアの生家)を訪ねる。シェークスピア関連ミュージアム5館共通チケットは£13。別々に買うと£25.6。こっちのcombine ticketは割引率が大胆。ちなみにWarwickまでの往復切符と入場料のcombine ticketが£14で、入場料だけだと£13.5。■Shakespeare's Birth Placeではシェークスピアが暮らした時代をできるだけ再現。当初は手袋職人として生計を立てていたシェークスピアの工房も当時の風情を伝えている。「手袋職人は、いい仕事だったの?」「手に職があるというのはいつの時代もいいことですよ」といったやりとりがゲストと案内係の間で交わされている。とても小さなベッドに驚く。
■駅へ向かう途中でHathaway's Tea Room(Hathawayはシェイクスピアの妻の旧姓)でクロワッサンザマンドとティーをテイクアウト。あわせて£1.85とリーズナブル。イートインもできるお店だが、ショーウィンドウに並んだパンやスイーツがそそる。何より驚いたのが、店番していた女の子たちが恐ろしくかわいかったこと。美人遭遇率の低いこの国で一度に三人の美少女が出現。顔立ちからすると東欧系かもしれない。結局、この旅で出会った美女ベスト3は彼女たちが占めることに。■電車の切符はFrom:Stratford To:Warwick Castleとなっている。Warwick Castleという駅があるのではなく入場券込みの意味だが、Warwick駅の手前にWarwick Parkway駅があり紛らわしい。日本のような親切な路線図が車内にあるわけでもなく、電車乗るのもドキドキ。約25分で着き、駅から10分ほど歩く。ただの城跡かと思いきや、見所満載でテーマパーク化しているWarwick城。有名なマダム・タッソーが蝋人形で再現した当時の優雅な暮らしは、蔵書3000冊のライブラリー、客人のためのベッドルーム、マダムたちが集うオリエンタル長の部屋……と何部屋にもわたり、見ごたえ十分。外では530段の階段を上り下りして要塞に上ったり、水車小屋のある川べりを散歩したり、Peacock Gardenで目の前をうろうろする孔雀に驚いたり、地下牢跡をのぞいて身震いしたり、中世の拷問道具の展示にギョッとしたり。一時間ごとに人形劇や大道芸(派手にお皿を割るヘタクソな兄ちゃんが愛嬌で勝負)があり、さらにお金を出せば占いや輪投げ、お化け屋敷にスケートリンクまである。カフェテリア形式のレストランの食事も動物園とは大違い。なんたってお城だし。野菜コロッケ風メニューがおいしそうだったので注文すると、レシートにはkid's menuと印字されていた。日曜日で電車が2〜3時間に1本しかなかったのだが、遊びきれないので5時間滞在。
■今夜のストラットフォードは芝居もなく、昨日以上にひとけはない。そんな中、妙ににぎわっているレストランVintnerに入ると、大当たり。対応よし味よし、アスパラとルッコラのバルサミコ酢&パルミジャーノ、ケイジャンチキン&アボカド、ほうれん草とリコッタチーズのラビオリをぺロリ。親切なウェイターが「この街にはcinemaがある」と隣の客に話しているのを聞きつけ、場所を教えてもらったのも収穫。
■映画館は、何度も通っている時計台前から少し奥まったところにあった。8:30からMarchant of VeniceまたはLimony Snicket's a series of Unfortunate Eventsの上映。シェイクスピアの里でベニスの商人を観るのも粋だけど、ジム・キャリーが怪しいオッサンになって三人の子どもたちをびびらせているポスターに惹かれて後者を選ぶ。ここでも一人£5.5。このLimony Snicketが掘り出し物。「げ、スクリーン間違えた?」と焦るような明るいアニメではじまり、「これはこれから上映する作品とは別物。ハッピーエンドがお好みなら、今からでも遅くないから他のスクリーンへどうぞ」と人を食ったナレーションが入る。主人公はBeaudelaireの三きょうだい、inventer(発明家)の姉Violet(Emily Browning)、reader(読書)の弟Klaus(Lian Aiken)、biter(何でもかじる!)の赤ちゃんの妹Sunny(Kara and Sherby Hoffman なぜ二人?)。 両親を失い、孤児になった三人は莫大な遺産を相続するが、それを狙うのがジム・キャリー演じる初代後見人Count Olaf。本気で子どもたちを殺そうとするし、2代目3代目後見人guardianにも容赦なく手を出すし、長女との偽装結婚まで企てるし、子ども相手に本気で立ち向かってくるのだが、きょうだいは発明したり本の知識を応用したり噛んだりしてピンチを乗り切る。はちゃめちゃのまま突っ走るのかと思いきや、ラストには泣ける手紙。あなたたちにはお互いがいる。どんなに小さくてもサンクチュアリを作ることは出来る。どんなときにも何かできることがある……。"There is something"は何度も出てくるフレーズ。絶望的に見える状況でも何かある、何かできる、と希望を失わない三人のたくましさに拍手。演技もブラボー。語り部リモニー役はジュード・ロウ、文法命の後見人Josephine役はメリル・ストリープと贅沢なキャスティング。クレジットロールの屏風調アニメも凝っていて、ビジュアル的にも楽しみが尽きない。わたしは知らなかったけど、原作のリモニー・スニケットは全世界で1800万部売れている人気シリーズなのだそう。映画の邦題は『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』。

2004年01月02日(金)  金持ちよりも人持ち
2002年01月02日(水)  パワーの源

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