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2003年02月05日(水) 野島伸司「高校教師('03)」雑記

第1話「禁断の愛、再び」:14.9%
第2話「先生の秘密」  :12.2%
第3話「眠れないふたり」: 6.4%
第4話「哀しいデート」 :10.7%
(視聴率・ビデオリサーチ関東より)

最初の4話が終了した。視聴率が、ドラマの全てでは無いにせよ、かなり苦戦だねー。特に第3話、際だって低い数字は、日テレが裏にぶつけてきた番組のせい。

言わずと知れた金曜エンタ「千と千尋の神隠し」。日テレはよほどTBSと野島伸司の組み合わせがお気に障るらしく、今週は「バックトゥザフューチャー3」。来週は「もののけ姫」をぶつけてくるらしい。ここまで公然とタコ殴りのいじめが敢行されるのもすごいなと思う。そして、やっぱり、野島さんには、このいじめは痛いのだと思う、心底。

視聴率を取らなきゃ、彼の意向で主題歌を選べなかったり、いいキャストを揃えられなかったり、さらには制作サイドから脚本の方向転換を迫られたりすると思うんだよね。そしたら、完成度と純度の高さが最大の特徴である野島ドラマのいいところが薄れてしまう・・・。

結局、天才・松本大洋も週一ペースのスピリッツでの連載は続けることが出来なかった。やっぱり、世の大衆は、あまりに純度の高い結晶には拒否反応を示してしまうと言うことなのだろうか。今クールで最も数字を取ってるキムタクの「GOOD LUCK」の薄さ具合と言ったら、もはや笑っちゃうくらいだもんな、予定調和の見本市みたい(柴咲コウは好きだけど)。

まあ、野島さんが以前「20%男」と異名を取った10年前と比べると、ドラマというジャンル自体が、あまり数字を期待できなくなってきたのは否めない。あと、現実のニュースが、ドラマをはるかに超えてる圧倒的なショックをもたらしているために、ドラマの「ドキドキ」が色褪せてしまってるのが大きい気がするな、やっぱり。それでも、野島さんは今回のドラマで、自らの頭の中で構築した壮大な「実験」で、悲惨な現実を追い抜こうとしている。その自らの想像力をどこまでも恃みながら理想を追い求める姿勢こそ、どかがいま、野島さんに一票を投じる理由なのね。

そうそう、その「実験」、野島さんは自らインタビューの中で「悪魔のプロット」と呼んでいた。たしかに、悪魔だよなー。えげつないもん。かわいそうすぎるよ、上戸彩。それをできるだけ「フラット」に見せるよう心がけているんだって。この「フラット」さ加減が、多分、いままでの野島ファンを困惑させている一因だ。あまり叙情に流れず、感情も抑えて、淡々と、フラットに。でも、その「悪魔的」な所行を、誰がとがめることができるのだろう。誰がゆるすことができるのだろう。そんな絶対的な存在が仮にいたとしても、郁巳の置かれた状況を前にして、彼をとがめたりゆるしたり、そんな絶対的な権力を行使する権利があるのだろうか。

野島さんのそんな抽象的で論理的な実験に、血と肉を伴ったリアリティを与えるのは、上戸彩や藤木直人や京本政樹など、魅力的な俳優さんたち。おそらく、第5話から、ガーッと物語が回り始める。いまから、その予感で胸が苦しい。やばい、S.O.S.以来だ、こんなにインボルブされるドラマ。

つかれるー、でも、やめられないー。


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