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2003年05月22日(木) 湖国で燃えろ!!春季近畿地区高校野球大会(3)

さて、私は繰り返すまでもなくずぶの野球素人。上述した様な偉そうな事を書いてはいるが、半分以上は間違っているかもしれない。だが、素人の私でもこれだけは断言できる。この第2試合、応援の差が何割かは勝敗に直結している、と。あまりにも比叡山が元気で、平安が間延びし過ぎていた。

得点圏に走者が進塁しても三塁側からは一向にチャンステーマが流れてこず、平常時の穏やかな楽曲が延々と繰り返される事が多々あった。ご存じの方ならよく判ると思うが、またこの各回の応援テーマが本当にのんびりまったりしていて攻め立てている感じが沸いてこない。昔、平安の吹奏楽部員の人間から「よう負け試合でおっさんどもからお前らの吹き方が悪いから負けたんじゃ!的な罵り方されて困る」という話を聞かされ、流石は古くから理不尽な罵倒や暴動を繰り返す平安ファンやな〜(府の高校野球史にもその種の記録が幾つか残っている)、と同情したものだが今日は少しだけその様なオールドファンの気持ちも判る様な気がした。平安を応援している時には押せ押せの雰囲気に、平安の相手チームを応援している時にはひたすら胃が痛くなる、あの独特なチャンステーマがしかる時に流れていれば、場内が独特な空気になってひょっとすれば違った試合展開になっていたのかも、という気がしないでもない。昨夏の西京極では実際にスタンドの大きな後押しが勝負そのものに影響を与えていたであろうゲームが多々見受けられた。

その様な意味で、この日の一塁側は背番号のない選手達が本当によく実際にグラウンドに立つ選手一人一人を支えていた。予想通り鳴り物こそなかったものの(何せ皇子山での夏の決勝が行われている時すらないもんなここ、というか滋賀の学校はアカペラ応援ばっかだし)、大声で迫力があり尚かつレパートリーが豊富で実に飽きの来ない応援であった。7回の攻撃時でもまだまだ新曲が出てくるのには本当に感心した。基本的にベタな応援曲と甲子園を賑わす各校の応援テーマのパクリの連続だったが、口ラッパで奏でられるジョックロックや横高応援歌はなかなか新鮮だった。しっかし、実際に試合をしている相手である平安のチャンステーマを堂々と歌ったり、アルプス一万尺に併せてライバル近江のチャンス時と全く同じ様に「勝利は近いぞ、えっ・いっ・こうっ!!」とやってるのには笑った。いいものは気兼ねなく取り入れているからこそ、応援も楽しくなるんだろう。まあ、ネット裏に陣取るおっさんの野次が少々鬱陶しくはあったけれども(余談だが、2回に大西くんに死球を当ててしまった日笠くんに対し、このおっさんが謝らんかいこのヴォケ!等とどなったところ、日笠くんが帽子を取って改めて深々と頭を下げていたのが印象的だった―そして彼はその直後に逆転打を許す)。

そんなこんなで球場を後にする。

折角ここまで来たのだから彦根城にも足を伸ばしたかったが、平安の負けっぷりに精神疲労が激しく、時間も遅いのでまたの機会にして速攻で彦根駅へ。電車全くな〜い(実際には高槻まで各駅停車の快速電車があったが、んな鈍足ライナーに乗りたくなかった)。端っこのホームから発着している近江鉄道に乗ってみようと思うもこちらも20分以上待たねばならない。突如として襲ってくる空腹感。彦根市街にはなんなと食い物屋があれども悲しいかな既に改札を通ってしまった身の上。仕方ないので停車中の長浜行きにダッシュで飛び乗り米原へ向かう。

程なく右手に新幹線の試験車両らしき3種類の電車の展示が見えてきて米原着。見慣れぬ東海方面の電車が停まっている他は何もなく、相変わらず殺風景なところである。駅前に魅力的なところはこれといってない。近畿圏と中京圏・北陸圏のジャンクションとして鉄道・道路ともに交通の要衝ではあるが、こと米原の駅前そのものに特筆すべきものはない。実際の米原町内をじっくり堪能してみたいが、歩きではちとしんどい。そうこうしている間にもますます腹が減る。平和堂の軽食コーナーで取り敢えず空腹を満たしてもいいけれど、彦根にもあったし、醍醐・宇治・城陽と家の近所にもいっぱいある。何より平和堂は好きだけれども、遠路はるばるやって来てスーパーで食事する、ってえのは侘びしすぎる。かといってホームのベンチや車内のシートで独り駅弁を貪るのも恥ずかしい。駅蕎麦が無性に食べたいが基幹駅だけに構内の規模がでかく、汽車時代の名残で恐ろしく長大なホームを少しうろついただけでは見つけられない。そうこうしているうちに、新快速が入線してきた。これの次はまた暫く時間が空くのだろう。結局、何も果たせぬまま短時間で米原を去る。尿意が催してきたので車内トイレで用を済まし(今の新快の便所って扉も排水も自動なのね)、そのままトイレのある先頭車の前部の座席に腰を下ろす。電車は快走してあっという間に再び彦根へ。ホームには人が鈴なり。さっき見た顔もある。つまり、私が米原へ往復している間に京都方面へ向かう電車はなかった訳だ。

一気に満員となった電車は西進を続ける。車内はおっさんおばはんの会話で非常にやかましい。みんな野球の話ばかりしている。車内後方であるおっさんグループが大声でこんな会話をしていた。「スケジュールに併せてわざと負ける事もある。今日はそのケースや。」と。確かに、春の甲子園行きや夏のシード権を獲得したら次の試合で適当にダラダラやって敢えて勝ちに行かないチームは全国的にあるし、修学旅行と神宮大会が重なるから地区大会でわざと負けた、と噂されたチームもある。しかし、この時期で大事なスケジュールって何なんだ?ちゃんとした野球場で行われる(平安には亀岡に立派なグラウンドがあるのであまり関係ないかもしれないが、京都は野球場の絶対数が少なく、秋春の大会も序盤は各校のグラウンドで行われる状態なので球場を使った試合は非常に貴重な機会だったりする)公式戦より大事な練習試合ってなんぞや?他地域の強豪校が関西遠征に来るのか?で、平安関係者は自らが出場しているにも関わらず近畿大会期間中にわざわざ練習試合を組んだのか?

かような疑問を感じていると、別のおっさんがこう合いの手を入れた。「そやそや、あんな相手なんてこっちが本気でやったらコールドで楽勝や。」おいおい...。確かに今日は控え投手陣が打ち込まれたのが大きな敗因やろうけど、甲子園経験メンバーで殆ど揃えた打撃陣が叡高の2年生バッテリーに抑え込まれたのは無視かいっ!!更におっさん達はこう続けた。「広陵なんて高陽東に負けて中国大会すら出られへんかったんやろ。ワシらは甲子園優勝校よりは上やっ。」………。

阪神電車の車内で一部の熱狂的・狂信的タイガースファンを見ている様だ。この人達は野球のプレーそのものよりも、自分の贔屓球団や母校の勝ち負けや優劣ただそれだけを見る為に野球場に何年、何十年も足を運んでいるのだろうか。それとも、熱狂しながらもただの興業、ただのクラブ活動、と日本型野球を一歩引いた目で見ている私が冷め過ぎているのだろうか。それでも、私は中年になってもこのスタンスで純粋に野球少年のひたむきなプレーだけを見ていたいと思う。と書きつつも、まあ欲を言えば5年に一度くらいは我が母校の後輩達に甲子園のアルプスへと連れて行って欲しいけれども...。


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