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2003年02月27日(木) 居眠り運転で余計に実証される安全神話

春眠暁を・・・。いやー、大事故にならんで良かったですな。運転士さんの記憶が8分間飛んでる間に約26kmもの距離を移動ってか。このテの事件は回送新幹線で運転士が走行中にトイレへ帽子を取りに行ってたのがバレたの以来かな。ま、高い防音壁に囲まれてるしトンネルだらけだし1/fの揺らぎとともに単調な景色を眺めていれば眠たくもなるだろうけど(新幹線の運転は計器中心で別に前方を見なくてもいいそうだが)、ほんと気をつけておくれよ。

数年前、テレビでやってた深夜貨物の機関士さんの密着ルポで、1分間何も操作を行わなければブザーが鳴って、即座に運転台横に付いているバーにタッチしなければ非常ブレーキが掛かる、というシステムが紹介されてたけれど、新幹線にはそういうのはないのかな?という疑問がわくと同時に、放っておいても駅が近づきゃ勝手に制動掛けて何事もなく停止するシステムを最初に考案・実用化した人って凄いなー、と素朴に思ったよ。近いうちにプロジェクトXでATCネタを是非ともやって貰いたいもんです。「何もなければ」自動停止するという機構を打ち出した人は本当に偉いっ!!

普通なら、こんな騒ぎがあったならば暫く新幹線の利用は差し控えよう、と思われるところなのに、「運ちゃん寝てても勝手に止まるなんて!やっぱ新幹線は無事故で安心!」という風な反応が起こる交通システムは世界中探しても新幹線ぐらいでしょう。つーか、こんな出来事があっても僅か数分ダイヤが乱れただけで、またすぐに数分間隔で時速270kmの列車がピュンピュン走ってる、というのが凄すぎる。崩壊するどころかますます強固になっていく新幹線の安全神話。停車位置の誤差をクリアすれば(走行時の天候の問題もあるし、この数メートルの調整が難しいんだろうけれども)、今すぐにも高速無人運行が可能とさえ思えてくる。ま、これだけ凄い技術が投入されていても、一枚のビニールシートでダイヤが大きく混乱したりする訳ですが。

しっかし、駅のホームで外から窓をガンガン叩かれてもまだ爆睡していた、という驚愕の運転士が実際に乗務しているというのはちょっと怖い。よっぽどの激務だったのかと思ったら前日にしこたま酒飲んで10時間前後眠ったらしいし、これはきっと何らかの病気(本人は気付いていない)の可能性が強いと思うんだけど、あんまりその辺を指摘するメディアはないような。私が見た限りでは「おはようコール」で若一さんが繰り返していたぐらいで、あとは運転士の居眠りという行為への非難色が強い。酷いのだと、「こんな怠慢な運転士二度と乗せんな」的な罵倒コメントで締めくくっていた。幾ら眠気を誘うとはいえ、大勢の乗客の命を預かる立場の運転士がそう簡単に眠りこける訳ないだろうし、一度この運転士の身体を詳細にチェックすべきだと私は思います。でも、この運転士さんには運転資格剥奪の上できっと重い処分が下るんやろなぁ。JRウエストで処分、というとどうしても例の事件を連想しちゃうので余計にこの運転士さんが気の毒に思えてくる。

追記:その後、この運転士さんは無呼吸症候群の疑いが濃厚、と発表されました。やっぱりなー。運転士としての責任感が欠如してるだの慢心しすぎだのと他の可能性を想定せずに非難しまくっていたマスコミや国交省がこれからどういう反応を示してくるのか興味深いところです。今までの叩き方って、例えるなら鬱病を患っている人に「気合いが足らん」「たるんどる」と叱責して更に病気を追い込んでるようなもんやったしなー。


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