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2003年01月18日(土) この番組(くに)の行方

最近その偏向ぶりズレッぷりがあまりにも酷すぎて叩かれまくっている放送局がありますな。今日はそのチャンネルの看板ニュース番組のおはなし。

1.17。鎮魂の一日。8年前のあの日、阪神間そして神明間はまさに地獄絵図でした。被災地の外にいる大多数の人間は、為す術なくただひたすらその映像を見つめる事しか出来ませんでした。そんな時、東京から現状を見にやって来た高名なキャスターがヘリの上でこんな事を言いました。「まるで温泉場のようです。」あれから8年が経ちました。

以後、このキャスターはその時の汚名を返上するべく節目の日には必ず現地入りして被災地の現状を全国へ発信するようになりました。その事でキャスターは改めて評価されました。そして、2003年1月17日。

今年も神戸からキャスターが震災のニュースを伝えています。そして震災関連の特集へと続いていきます。テレビから流れてくるその特集を見ていて私はあっけにとられました。震災の特集がいつの間にかさりげなくも巧妙に在日差別問題の特集にすり替わっている。震災直後から神戸長田で外国人向け生活関連情報を発信して活躍したFMわいわいの紹介をしているなーと見ていたら、唐突に顔にモザイクのかかった在日の人々が「関東大震災の時のように〜」と声を荒げている。そして、以降はお決まりのように差別が…、偏見が…、韓国・朝鮮人としてのアイデンティティが…、のオンパレード。で、VTR明けにアナウンサーが「差別する側の心の貧しさ」「神戸は人の心の有り様が問われる日本のいまを映し出している」と一方的に締めくくる(その後、入手した近畿エリアで未放送の第二部を見てみると、台湾の被災地の方が神戸よりも人に温かかった等とさえのたまっておった)。わたしゃ別に冷酷なレイシストではないので送り手側の言わんとせんことは判らんでもないけれど、「非在日」である一般長田区民があそこまで一方的に悪者扱いされるのは如何なもんなんでしょうか...。

震災当時、外国人集団による略奪が横行している、といった流言は確かに存在していました。その種の流言に在日外国人の人々が怯えていたのも事実です。しかし、その様な状況下で人種・民族の壁を越えた助け合いがあったのもまた事実。例えば外国人学校は避難してきた日本人を暖かく迎え入れ、被災地の外からは援助物資や学校の再建資金が届けられたし、在日外国人の全国組織がそのネットワークをフルに生かして被災地救援に大活躍していました。すべてがすべていい話ではないけれど、在日外国人―地域住民間の距離が縮まったところは相当数あったのではないでしょうか。

そういう意味でも、裏付けや検証もなしに唐突に「8年前の差別や偏見は・・・」等とやるのは、当時助け合ったり救援に活躍するといった相互交流によって「在日」という負のイメージを打ち消してきた人々を冒涜しているだけにしか思えません。そもそも、この特集には膨大な数の震災犠牲者を悼む姿勢が殆ど感じられない。加えて、“他文化他民族の共生”といいつつも、この特集に出てくる「在日外国人」というのは在日韓国・朝鮮人のみ。そして日本人被災者の扱いの軽さ。一体どこの国のニュース番組なのか、といつもながら突っ込みたくなります。常にこういうスタンスでやっているから、半島嫌いの人間を増殖させ、在日韓国・朝鮮人を被差別・偏見の側にいつまでも留めていく結果になると個人的には感じるんですが。

黒田清さん、もっと長生きしてこの番組の震災報道をいつまでも骨のあるものにしておいて欲しかった...。


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