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2003年01月14日(火) 付加価値、地域ブランドの視点から見る“文化財”

なんか皇后さんの実家の取り壊しでえらい揉めてますな。私は豊郷で解体反対を叫んでいる人達は全面的に支持したいと思うけど、この五反田で騒いでいる人達には一切賛同できない。むしろ、はよ壊してまえよヴォケが、とさえ思ってしまう。この差は一体何なんだろう。

取り敢えず両者の違いを考えてみれば、ひとつは文化財的価値があるか否か、という事になるのかな。片やヴォーリズの設計した伝統ある洋風建築で、実際に大津地裁から工事差し止めの仮処分が出されている。片や古いながらも特筆すべき程の価値まではない住宅(しかもリフォームされている)、持ち主だった正田家も現在の所有者である財務省も保存を望んでいる訳でもない。だから、どうしても建物を保存しなければならないという理由は希薄であり、部外者からすれば肩入れしようという気にはならない。

いや、それよりもねぇ・・・。早い話が五反田で反対運動にしている人達には、共感を覚えるどころか嫌悪感しか抱かない、それだけの話である。反対住民の言ってる事が全く論理的でない。「生きてる木を切らないで、あなたは生きてないの?!」林業を真っ正面から否定してるのかこのオバハン。きっとこの人は鉄筋コンクリの家に住んで割り箸なんか使った事ないんでしょう。「陛下が入院している時になんて事をっ!!」それが工事に来た人らとどう関係あるねん。文句言うなら建物を物納した正田家に言えって。「いま改心すれば間に合う!!」もはや意味不明。法治国家で正当な手続きを経て何が悪行になるというのか。恐らくあの人達が口を開く度に世論は遠ざかっていく事だろう。

この反対運動でいちばん解せないのが、どうして解体工事の段になって反対反対とやっているのか、という事。豊郷みたいに行政が一方的に取り壊そうとしたケースとは訳が違う。現在の相続制度によって正田さんがやむなく物納せざるを得なくなったんだから、本当に建物を残したいんならばカンパを集めて正田さんに渡すなり、住民らで建物を買い取るなり出来た筈やんか。家の図面も現存してるみたいやから別な場所に移築する事も可能やし。

実際に軽井沢町が移築保存を申し出てくれていたらしい。でも、そんときゃ反対住民の皆様は「ここにあっての正田邸、軽井沢なんかに移したら歴史的意味はない」と猛反対したそうな。つまりは最優先されるべきは「建物保存」そのものではなく、「皇后陛下の生家がある街というブランド」という事なんだろう。自分達は特別な地域に住む人間だ!というエゴにしか見えない。正田邸という付加価値の消滅によって地価が下落するという懸念もあるんだろう。結局は本気で建物を保存する気なんてなかったのだろう。なのに今頃になって工事の人をこづいたり「塩爺を出せ」とかやってるのは筋違いも甚だしい。

ところでこの反対住民の皆さん、shodatei.jpというドメインを取得してウェブ上でも反対運動を展開している。中身はまあ書き出しても疲れるだけなので個々人で実際に見て判断して頂きたいが、私がこのウェブサイトでいちばん目についたのは建物保存の主張でも何でもなく「あやかり商品第一号 思い出の昭和・正田邸メモリアル」というお酒だった。限定醸造の品で4本並べるとラベルが正田邸になるらしい。ただの便乗商売やん...。きっと今後も正田邸まんじゅうとか正田邸せんべい、若者向けには正田邸ストラップなんかが続々と発売される事でしょう。この反対運動、あの西村眞吾代議士も絡んでおり「解体業者は日本人かどうかも判らない」という風な発言をしてまた物議を醸している。半島絡みで大活躍して男を上げ、折角あのイメージを払拭したのによく判らない議員さんだなー。西村さん、悪い事言わんからこの反対住民からは離れなはれ。「あやかり商品」に利用されまっせ〜。


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