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2003年01月07日(火) 歴史的構造物を「生きた形で」保存するという意味

豊郷の小学校建て替え問題。

これ、何か書こうと思っても次から次へと新たな展開が続いていくんだよなー。最初は単なる近畿のローカルニュースだったのに、あっという間に全国区の話題になっちまった。

解体工事を請け負った業者が政党の県連幹部の建設会社で・・・とかまあネット上でも色々とこの問題の構図を補足する情報なんかが結構流れていますな。その種の情報とか噂が間違ってたら単なる名誉毀損になるので詳細には触れないけど、つまりは騒動の背後にはアレとかアレなんかが密接に絡んでいるんでしょうな、恐らくは。だから町長さんは裁判所や全国民を敵に回そうが、何が何でも、予定を前倒ししてでも解体工事を実行させなければならない、と。邪推すればお金ががっぽり入る為なのか自らが変死体になるのを防ぐ為なのか、兎に角あのお方は工事を強行しなければならない立場にいるんでしょう。それぐらいうがった見方をしないとこの騒動は解せない。だって、この法治国家にあって自治体の首長がたかが小学校の建設如きで工事差し止めの仮処分を無視して工事を強行する、てな司法への挑戦みたいな事するか、普通。

ま、そんな邪推はさておき、あの校舎はどう考えても残すべきでしょう。ああいう建築物はいま造ろうとしてもなかなか造れない代物だし。現在の技術なら、建て替えなくても岡崎にある京都府立図書館の様に外観はそのままで中は綺麗に更新する事だって可能なんだし(どれぐらいの費用を要するのか判らないけれども)。そもそも再度耐震診断をやってみて(無論、柱の数値等は通常値で)、問題なしならば新校舎建設も現校舎改築も必要なく従来通りの維持費用で保存というか通常使用が可能な訳であるし。

「一文の支出をも惜しみ始末に徹しながら、一方では公共のために千金をなげうっても悔いはない」という近江商人の信条に基づき当時の丸紅の専務だった古川鉄次郎さんが全額を寄付し、近江八幡で没し、メンタム・メンソレにも縁があるヴォーリズさんが設計して昭和12年に建てられた豊郷小学校。実物はテレビでしか見た事ないけれど、モダンな洋風建築、階段手すりのウサギやカメ等、なかなか魅力のある建物に感じる。ま、ノーマライゼーションという意味ではちょっと障害が多いかも知れないし、実際にここに通っている児童からすればただのボロっちい校舎かも知れないけど、小学校では郷土の歴史なんかを学習する訳だし、そういう意味でも由緒ある現校舎は生きた教材として大いに価値がある。

こういうその土地の歴史が詰まった校舎は日本広しといえどもそうはないんじゃないかな。こういう歴史も一度破壊してしまえば後には無機質な新校舎が出来るだけで他は何も残らない。だからこそ残すべき。反対しているのはアカだのプロ市民だのそういう次元の話ではない。恐らく、反対している卒業生の爺さん婆さんに混じってその種の活動家も色々とやっているだろうけど、この反対運動に限ってはそういう人達にも精一杯頑張って欲しいもんだ。


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