マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 【ショート小説】火曜日の客  


 今日は、せっかくの日曜日だって言うのに、6時に目が覚めてしまった。
いや、正確に言うと、6時に起こされた。
原因はミュウー(愛猫)だ。
 最近ミュウーは、電話を掛ける事を覚えた。(爆)
「プルルルルル・・・・・プルルルル・・・・・・(ガチャッ!)お掛けになった電話番号は、現在使われていません。番号をお確かめになって・・・・・・」
手ぶらフォンのスピーカーから、そんな声が聞こえて来る。

 私は主人が、主人は私が、どこかへ電話を掛けたのだと思い、お互いに「こんな早くからどこに電話してるんだよ〜」と、異口同音で呟いたのだ。
「俺がするわけ無いだろう・・・・・・」「私じゃないわよ」
 そう・・・・・・、原因はミュウーである。

 前はファンヒーターを付ける事を覚えてしまい、蒼くなった事が有る。(爆)
どこかから帰ってくると、付けた覚えの無いファンヒーターが付いているのだ。
それも、ミュウーの仕業である。
まさか・・・、寒さでつけようと思って付けた訳ではないのだろうが、アイツなら遣りかねない・・・・・・( ・_・)ジッ
 最初は、偶然、飛び乗った拍子にに付いてしまったんだろうけど、アイツは、飼主に似ず、頭がすこぶる良い。
2度目3度目は、偶然とは言い切れない。
どうやら、味を占めたらしい。
 そんな訳で、我が家の電話や、ファンヒーターには、それなりのガードをはめ込むことにしたのだが、真に、使い勝手が不便になった。

さて・・・、今日の作品は、限りなく実話に基づいた、架空の話、第2段。(爆)
『火曜日の客』を、お送りします。(ショートショート)
チョイト長目ですが、読んでください。


             『火曜日の客』

「うわっ! 凄い雨だよ、ママ。どうりで暇なわけだわ・・・・・・」
 余りの暇さに、外を覗きに行ったアルバイトの江美が、ドア越しに、そう、ぼやく。
 店内には、一人の客もいない。
私は、壁に掛けられた時計に目をやると、
「もう十二時半か・・・・・・、江美、今日はもうダメそうだから、店閉めるか。明日、仕事有るんでしょう?」と、溜息混じりに言った。
「本業は、午後の2時からだし、全然大丈夫。それにまだ誰か、来そうな気がするんだ」
江美のそういった予感は、結構当るのだ。
 私はクスリと笑うと、カラオケのリモコンを操作した。
「それじゃぁ、景気付けに歌でも練習するか」
「賛成―」

―私がこの『淋しがり屋』と言うパブを経営してから、もう一二年になる。
モノトーンに統一された、収容人数三十人程の、一寸洒落たパブだ。店内にはピアノが置いてあり、偶に、ライブなどのイベントも織り込んだこの店は、低料金で遊べるアットホームな店だった。
何時もなら、若い常連客達でかなりの賑わいを見せているのだが、さすがに火曜日の、この大雨とあって、十一時頃に二組の客が帰った後は、途絶えたまま、人っ子一人、入ってこない―
  
 江美と交互にカラオケで遊んでいると、店のドアが開いた。私は思わず、江美の顔をまじまじと見据えた。
「ホ・ラ・ね? 私の感、今日も冴えてるっしょ?」
 小声で呟き、江美はウインクをした。
『いらっしゃいませ!』
 ずぶ濡れになりながら入ってきたのは、常連客の、聡だった。
私と江美は慌ててマイクを離すと、カウンターの中に回り込み、接客の準備に取り掛かった。
「ゴメンネ? あんまり暇なんで、今、江美と歌の練習してた所なの。それにしても、こんな土砂降りの中、わざわざ来てくれるなんて、さすが聡君だわ。さ、これで服を拭いて」
聡は、笑いながらおしぼりを受け取ると、「隆も、今にくるからさ、きっと・・・・・・」と言い、頭から滴り落ちる雨の雫を拭った。
「あれ? 隆君だけ? 幸一君、今日は来ないのぉ?」江美が、チョッピリ淋しそうに、そう聞いた。
「残念でした〜。幸一は、ヨッパだもんで、さっき、一件目の店を出た後で、送ったよ」
聡は、江美の心を探るように言った。
「なぁ〜んだ・・・・・・、ショック!」江美は、あからさまに落胆した様子だった。
 聡(さとし)、隆(たかし)、幸一の三人組みは、いつも一緒に来る仲良しトリオの常連客で、その仲の良さには定評があった。
三人は同じ製薬会社の同期で、成人を迎えた直後から、この店を利用してくれている。何時も必ず三人一緒で、週、1〜2度は来ている。この店の常連客の中でも、最も来店成績ばつぐんの客だった。その中の幸一に、江美は皆に公認で、恋をしているのだ。
「さぁ、ママも、江美ちゃんも、一緒に飲もうよ、それとも恵美ちゃんは、幸一が居なきゃ、ダメかい?」
「ま、ね・・・! 聡君じゃ、チョット役不足だけど、仕方ないから付き合うか」
恵美の憎まれ口に、聡は口をへの字に曲げ、
『ママ〜。ココは女の子の教育がなってないよ〜」
と、苦笑した。

「乾杯〜」
 聡のキープボトルを、三人で飲み始めた所に、隆が入ってきた。
「いらっしゃ〜い。聡君がお待ちかねよ」
 隆は聡の隣に座ると、何時になく愛しむように、店内を見回している。
「この店に通いだして、もう十年か・・・・・・、あっという間だったな・・・・・・」
 隆の独り言に江美が水割りを差し出しながら、
「十年前か・・・、私、まだ十三歳だった」
 ペロリと舌を出しながら呟いた。
「ママは幾つだったっけ? あの頃」
 聡が私にそう聞いた。
「あの頃は、まだ三十になり立てで、女盛りもいいとこよ。結構イケテタわよね?恵美なんて目じゃなかったわ!」
辛らつな会話が飛び交い、歯に衣を着せぬ気軽さも、この店の親しみやすいところでもあった。
「さー、皆で乾杯の、し直しだ!」
聡の一声で、皆は再びグラスを合わせた。
この夜の話題は、今まで起こった、この店での数々のエピソードに終始した。
 3人が、初めてこの店に来た時、どんな店か解らずに、少しビクビクしながら、初めてこの店のドアを開いた日の事―
 忙しい日には、買い物や、カウンターの中の仕事まで手伝わされた時の事―
 三人で江美に惚れこみ、密かに江美の心を奪うのは誰か・・・と、賭けをしていた事―
 結局、江美のハートを射止めたのは、幸一で、その晩、聡と隆は、ひどく酔っ払い、半ばヤケクソで、泣きながらカラオケをがなっていた事。
 無銭飲食の小父さんを、三人で追いかけて捕まえてくれた日の事―しかし、説教をしてる内、何だかその小父さんが哀れになってしまい、酒や食事まで出してしまった私の事を、暫くの間、皆「夜行性の聖母マリア」等と変てこりんなニックネームで呼んでいた―
 皆で行った、花見や、遊園地、その時の想い出話やエピソード等、話は尽きなかった。
「俺達にとって、この店は、故郷みたいなもんだからなぁー」
 聡がしんみりと、そう言った。
「うれしい事、言ってくれるじゃない?」
 私は、ほろ酔いのせいもあり、少し涙ぐんで、そう答えた。
「今日は、江美にもママにも、俺達が一番好きだった歌を、一曲づつ歌ってもらいたくてこの雨の中、わざわざ来たってわけさ」
 隆がそう言った。
「ハイハイ。そんなのお安い御用だわ、心を最大限に込めて、歌わせてもらうわよ。で・・・、何が良い?」
「俺は・・・、江美ちゃんには、ディアー・マイ-フレンドで、ママにはマイファニーバレンタインがいいや」
 聡のリクエストが決まり、私と江美は、順番に、そのリクエスト曲を歌った。
「じゃぁ・・・俺は、江美には中森明菜の、水に挿した花で・・・、ママには、ヘレンメリルの、帰ってくれたら嬉しいわ、がいいなぁ」
 私はジャズ系、江美は、ポップス系の歌が得意である。聡も隆も、目をつむって、真剣に耳を傾けていた。
「ありがとう・・・・・・、今日はとっても楽しかったよ。それじゃ俺達、ソロソロ行くね。あっ、そうそう、これ幸一から江美にって・・・」
 隆が、江美に小さな箱を手渡した。
「もしかしたら、婚約指輪かもよ〜?」
私は、恵美をからかった。
「わ〜、何だろう・・・・・・? ドキドキだわ」
 二人は微笑んで目配せをすると席を立った。
「えーっ、本当にもう帰っちゃうの? どうせなら最後まで居ればいいじゃん。まだ二時十分だよ? あっ、そうそう・・・、そう言えば二時十四分って、霊界の扉が開く時間なんだって。知ってた? 今帰ったら、二人とも幽霊に襲われちゃうかもよ?」
 江美がそう呟いたと同時に、私の体の中を、ヒヤリとした何かが、確実に通り抜けた。
「や、止めてよ江美・・・・・・、私が怖がりだって事知ってるでしょう?」
 私がそう江美をたしなめると、聡と隆は、あははと笑いながら、ドアを開けた。
「明日もまた来てね?」
 私が、ジョークで、そう声をかけると、聡と隆は、振り向いて、淋しげに笑った。
 
 翌朝、私は携帯の着信音で目を覚ました。
時計に目をやると、まだ朝の六時だった。
 携帯電話には幸一の名前が表示されている。
「一体、こんなに早くどうしたっていうのよ・・・・・・、私、ついさっき寝たとこよ?」
 私は欠伸をかみ殺しながら、そうぼやいた。
「ママ・・・、今、大学病院からなんだけど・・・、昨夜、隆と聡が、俺のせいで死んだんだ・・・。
俺、どうしたら良いんだよ・・・・・・」
悪い冗談にも程があると、私は少々ムッとした。
「こんな時間に電話をよこして、何てバカな冗談言ってるの! 二人なら昨夜ちゃんと飲みに来たわよ」
 幸一の声は涙で震えていた。
「嘘だ! 昨夜、俺、一件目の店で泥酔しちゃって・・・、でも、何が何でも『淋しがり屋』に行くって聞かない俺の車のキーを、聡が『危ないから!』ってむりやり奪い取って、俺を先に家まで送り届けてくれたんだ。でも、どうしても江美に渡したいものがあるって言い張る俺の代わりに、二人が届けてくれる事になって・・・・・・。その途中、雨で車がスリップして、対向車のダンプと激突して・・・・・・」
「だ・か・ら! 昨夜、ちゃんと二人で飲みに来たって言ってるでしょう? プレゼントも江美がちゃんと受け取ったわよ・・・・・・」
「ママ・・・、二人が来たのって、何時ごろ?」
 幸一の声は、明らかに震えを増していた。
「十二時半を少し回った頃だけど・・・・・・」
「その頃なんだよ、二人が事故を起こしたのは! 二人とも即死だったんだ・・・・・・」
 絶句する私の手から携帯電話が滑り落ちた。


 


2002年05月12日(日)


 【メルヘン】バオとミューのお散歩日記 


 今歯医者さんから、帰ってきたところ〜。
 ゴタブンニ漏れず、私も、歯医者さんが、大っ嫌い!!
歯医者好きの人は、尊敬しちゃう・・・・・・。(そんな人、居るんかなぁ・・・?)
 私の理想は、全身麻酔を掛けてもらって、目が覚めたら、すべての虫歯が、治っていたら、歯医者もいいかも・・・・・・、なぁ〜んて思うワケデス。(*^_^*)

 サテ・・・・・・、今日の出し物は、私の物としては、超メルヘンチックな童話です。
が、しかし、私が原作ではございません。
正確に言うと、原作者は、私の息子です。(今はもう、20歳ですが)
 彼が3〜4歳の時に、独りでブツブツと呟いていた物語が、あまりにステキで、可愛いので、私がチョッピリ脚色したものなのです。(笑)
当時はまだBossという名前の猫が家に居たため、本来はBossとバオの・・・・・・だったのですが、名前は私が変えさせていただきました。(゚゚)(。。)ペコッ
 まぁ・・・。何はともあれ、私の息子が作った、可愛らしい物語を、是非読んでみてくださいましな。(親ばか!)


         『バオとミュウーのお散歩日記』

 星がまたたく夜でした。

 ここは、『メルヘン公園』のベンチの下。

そこには、『バオ』という名の、のら犬と、『ミュウー』という名の、のらネコが、仲良くいっしょにくらしているのです。

 小さい頃に、すてられてしまった仔犬と仔猫は、すぐになかよしになりました。

でも、おたがいに、その時はまだ、よびあう名前もなかったのです。

「きみは「みゅうーみゅうー」ないてばかりいるから、『ミュウー』にしよう」

「あなたは「バオバオ」と、もんくばかりいっているから『バオ』ね」

 バオとミュウーは、その日から親友どうし。どこへいくのも、何をするのもいっしょです。

 今夜も、いつものように、2匹は仲良く、夜のお散歩へと出かけました。

しずかな、のどかな、いなか路。

 すると、とつぜんミュウーがさけびました。

「ねぇ、バオ! あれを見て?」

 畑のなかで、何かがキラキラ光っています。

バオとミュウーは、光の方へと、おおいそぎで走って行きました。ちかづいてみると、なんと、お星さまの子供が、声をはりあげて「ウェーン、ウェーン」と、ないているのです。

「どうしたの?」バオがききました。

「ぼくはキララ。虹のおすべり台であそんでいるうちに、おっこっちゃったみたいなの・・・。早くパパとママのところへ帰りたいよー」

「さーてと、こまったぞ・・・・・・」

 どうしたら、キララを大空に帰してやる事ができるのか、バオとミュウーは、一生けんめい考えました。しかも、夜のうちに、大空に帰してやりたいのです。

バオとミュウーは、とりあえず、キララをつれて、公園にもどりました。

だれかのチエをかりようとしたのですが、もう、夜もおそく、公園には、だぁ〜れもいません。

 とほうにくれながら、夜空を見あげていたバオが、いきなり、
「いいものみっけたー♪」と、指をさしていいました。

大きな木の枝に、昼間、子供の手をはなれてしまった風船がひとつ、風にゆられて引っかかっているのです。

「よっしゃ、わたしにまかせて!」

ミュウーがすばやく木にのぼり、風船を取ってくると、バオは、しっかりと、その風船をキララのからだにまきつけました。

「せーの!」いっせいに手をはなすと、風船は、フワ〜リ、フワ〜リと、夜空にとんでいきました。

「ありがとうバオ、ありがとうミュウー」キララは、大声でそういいました。

「もう、おっこちるんじゃないぞー」

バオとミュウーは、手をふってみおくります。

 キララは、うれしそうに、大空に帰って行きました。

「いいなぁ〜・・・、キララには、パパとママがいて・・・・・・」

さみしそうにつぶやいたミュウーに、バオがむくれていいました。

「へぇ〜、ミュウーは、ボクといてもさみしいんだ。もう、いいよ。フン!」

「もう・・・・・・、バオったら、すぐに、そうやっておこるんだから〜」

「だって、ミュウーは、僕よりも、ママやパパのほうがいいんだろ?!」

「ウ・ソ・・・。うっそだよ〜ん。ちょっと、いってみただけ・・・・・・。バオがいれば、さみしいわけないじゃない!」

 ミュウーは、バオのせなかに、そっと、よりそいました。 

 二匹のシルエットを、星明りが、やさしく照らしています。
       
                             (おわり)


 ※追伸・・・・・・。 ココの下のほうに、投票箱が有るんです。面白いと思ったら投票箱をクリックしてくださいね〜。よろしくお願いしま〜す。
あなたの一票が、私の創作意欲を、掻き立ててくれるんで〜す。m(._.)m ペコッ




2002年05月13日(月)


 【ショートストーリー】愚痴聞き屋 


             
             『愚痴聞き屋』

   
いらっしゃいませ!
さぁ
そんなところに突っ立ってないで
どうぞ こちらにいらっしゃいな

なんだか、辛そうね? 
まるで・・・、今直ぐにでも死んじゃいたい・・・って顔してるわ・・・・・・

誰にも言えず
どうする事も出来ず
あなたの世界は 停止したまま・・・・・・
ア・タ・リ・・・でしょ?

あなたを強く失望させている物はいったい何?
孤独?
嫌な上司?
お金?
病?
失恋?
それとも 自分自身に嫌気がさしたの?

まぁ とにかく此処にお座りなさいよ
何でも聞いてあげるから
そうそう
リラックスして 恥じもプライドも捨てて
全て ぶちまけちゃいなさいよ

さ その前に どうぞ?
これを一杯グッと飲んで
心も身体も暖まるわよ〜
私特製の 魔法のカクテルなんだから

心配しなくてもいいのよ
お安くしておくからさ
本当はタダでもかまわないんだけど
こっちも商売だからさ
そこんとこだけ わかって頂戴ね?

どう?
何だか ポカポカしてこない?
それに 身体も心も 軽くなって来ない?
いいのよ? 何杯お代わりしても・・・・・・

ねぇ 貴方
苦しんでる時も愛しい・・・って思えたらシメタ物なんだけどなぁ
だってさぁ・・・ 考えても見てよ
幸せな時ばかりじゃ、人生なんてつまらない物だと思わない? 味気ないと思わない?
十の内 例え 九が不幸せでも・・・
たった一つの幸せ事が、飛び切りステキだから 人間は生きられる・・・・・・って私は思うんだけどなぁ・・・・・・
いつも幸せじゃ 幸せが 全然輝かないじゃない?
たった一つの 幸せを より輝かせる為に 九つの不幸があるんだ・・・って考えれば、不幸も愛しくなるんだってばぁ〜

ね! ね! それより
歌でも歌いましょうよ
えっ? 貴方音痴なの? あはは・・・
そう・・・ じゃいいわ 私が歌ってあげる
ヘレンメリルの『帰ってくれたら嬉しいわ』でいいかしら?
この歌・・・私のオハコなの
貴方一人だけの為の ミニリサイタルよ
心して聴いてね?

ね? 私って 結構いい歌歌うでしょう?
少しは元気になれたかしら?
いいのよ時間を気にせず 遊んで行って
此処は時間制限ナシだから・・・・・・

えっ? もう帰っちゃうの・・・・・?
そんな事おっしゃらずに もう少し ゆっくりして行けばいいのに
もう 元気になれたですって?
本当に もう 大丈夫なの?
そう、それならいいんだけど・・・・・・
又辛くなったら いつでも来てね?
此処は貴方みたいな人の為に
年中無休で開けてあるんだからね?
お勘定? あぁ・・・、そうだったわね。 
じゃぁ、千二百円くらいくれるかしら?

わぁ〜 三千円もくれるの?
いいんだって。そんなに無理しなくても。
えっ? 気持ちですって?
あっ、そう・・・・・・。
それじゃぁ、遠慮なく頂いて置こうかしら。
アリガトウございました。
帰って気を使わせちゃってごめんなさいね。


えらそうな事ばかり言っちゃってごめんなさいね?
それじゃ、おやすみなさい〜
気をつけて帰ってね?

あぁ〜ぁ・・・ いっちゃった・・・・・・
サテト・・・看板を消してそろそろ店仕舞いしょうかしら
デモ、さ・・・
『SHOT BAR 愚痴聞き屋』なんて
看板出してみたけど
こんな店が何処かに有ったら
私も行きたいくらいよ・・・・・・
だって・・・私は・・・・・・
ひとりぽっちだし・・・
昼間の仕事では意地悪な上司に悩まされてるし・・・
借金だらけの貧乏だし・・・
最近は頭痛で悩まされてるし・・・
まだ恋人も居ないのよ?

そして・・・ こんなお人好しで、バカな自分に 最近ホトホト嫌気がさしてるの 
ウフフ・・・・・・

でも・・・・・
貴方に会う為に
きっと明日も、店を開けてるわ
おせっかいだけが 私の唯一の愉しみだから
だから いつでもいらしてね?
年中無休で営業してるから
きっとよ





2002年05月14日(火)


 【作詞】美しく哀しい音色(おと) 


 皆様おはようございま〜す

 最近エンピツのランキングを覗くのが、とても、楽しくなってきました〜。(*^_^*)
チョット前まで、今日を見ても、今週を見ても、今月を見ても、1〜3票しか入ってなく、《自分の1票を含めて(笑)》『これじゃ、息子の小学校の頃の通信簿じゃないか!」等呟きながら、一番下までカーソルを合わせておいてから上に上がっていたのですが・・・、な・な・なんと 最近では、(特に今月に掛けては)カーソルの位置が、上部になっているでは有りませんか・・・・・・。( ・_;)( ;_;)( ;_;)(>0<)ワーン《うれし泣きのつもり》

いつも、一番下から見てるので、「オヤ・・・? 無いぞ! ゼロかい・・・・・・!」
と、少しガックラしてたんだけど、ズ・ズ・ズ・ズ・っと上にあげていたら、なんと19票も有るではないですか・・・・・・・。
(19票だと、これが又、上から見たほうが早いんですねぇ〜。ごっつう、気分ええわぁ〜)

なんだか、(これは、投票してくれている人たちに対しても、手抜きは出来ないぞヨ!)と、心が引き締まる思いでした。

 私のつたない作品に、投票してくださっている、誰かさんに、心より感謝を申し上げます。
    
       アリガトウ!!

 サテ・・・
今日の出し物は、詩です。詩といっても、私が作った歌の歌詞です。
(なにを隠そう、少数であれど、私は作詞や、作曲もするのです)
この詩には、もちろんメロディ〜も自分で付けたのですが、音楽家の友達に、伴奏用のカラオケSDを作ってもらい、店で歌っていたのですが、評判は上々でした。(笑)

それを、私の歌付きで、皆様にお聞かせ出来ないのは残念ですが・・・・・・(・・,)グスン
なんせ、私は、自分で言うのも何だけど、器用貧乏なのでございます。ハイ。

   
           
           美しく哀しい音色(おと)


貴方を想うと 胸が痛むわ 
哀しさと 切なさと 優しさだけで
やっと 支えられている 行く宛てのない恋

今にも溢れそうな 心の泉に 
二人沈んでしまえたなら もっと楽かしら?
今は その傷みさえもが 何故か 愛しい

いつか二人の涙が溶け合って 美しく哀しい音色になって
二人歩いた 証を 奏でてくれる
だから私の事は気にしないで そんなに弱い女じゃないから
貴方のあの歌が わたしを 眠らせてくれる



貴方への涙は 少しほろ苦くて
それでいて フシギね とても甘いの 
貴方が作ってくれた カクテルに良く似てるわ

今夜一人で 何処かの店で 『涙のカクテル』頼んでみるわ
ほんの少しだけ酔いながら 想い出たちと遊ぶわ

※いつか二人の心が抱き合って 美しく哀しい音色になって
二人愛した 証を 奏でてくれる
※だから私の事は大丈夫よ 貴方の優しさを忘れないわ
巡り会う時を 少しだけ 間違えただけよ

間奏 ※くり返し

 



2002年05月15日(水)


 【エッセイ】松本 〜食べ歩記〜 『私の超お気に入り店』 蕎麦屋編


  私は今、超〜貧乏なのだ!

 貧乏たる所以は、ま・・・色々・・・・・・。(汗笑)

 平たく言えば・・・・・・、
稼ぐより使ってしまう方が多い、とだけ言っておくことにするわね。

でも・・・・・・、何を隠そう・・・・・・

今、私がPCのキーボードをたたきながら、せっせと、愛くるしい(謎)口元に運んでいる物は、『ジュジュ〜ッ!!』と、音を立てて焼き上げた、チョッピリ焦げ目の付いた、アツアツ、トロトロ〜 の ウナ丼に、先日、デパートの京都物産展で、買ってきたばかりの、香り芳醇な、山椒の粉を振りかけたもの・・・・・・。

それに、ミョウガの千切りを卵でとじて浮かせた、生湯葉入りのお吸い物。
オマケに、さっき、ぬか床から引っ張り出してきた、古漬けのキュウリと、ナスを、薄くスライスして氷水にさらし、ギュギュッ!と絞って、針千本のしょうがと、ミョウガを合えた物なのでございます・・・ハイ!

(^¬^) よだれ〜  が出るっしょ? イッヒッヒィ・・・・・・

 要は、身の程知らずな、飲み食いに対しての無駄遣い癖が、何時までたっても治らないのです。
トホホホホォ・・・・・・・!

 一点豪華主義を、強く主張するなら、
『私は絶対に食う事と飲む事に対して、お金に糸目はつけない!!』 と、断言したいところだけど・・・、 これは、 お金が有る時の事で、 (^^; 今はさすがに、スーパーのウナギで、我慢なのです。 (^^;
でも・・・、例え、スーパーの鰻でも、焼き方・料理法いかんによっては、そうそう、バカにならないものなのですよ〜。(あぁ〜・・・ ウマッ!!)
 
お陰で、親愛なる旦那様は、長年痛風に悩まされ、一方、かつては、藤原紀香のような体型を誇っていた私は、このまま行けば、森久美子まっしぐら・・・・・という、悲惨な今現在。(・・,)グスン

 そんな私が、松本で気に入ってるお店を、皆様にお教えいたしますぅ〜。
もしも、松本にお越しの際には、ご参考にしていただければ、幸いです。


今日は、信州でも、有名な [ 蕎麦 ]
蕎麦キチガイの私は、「どこそこに、ウマイ店がある」と言われれば、例え野となり山となり、かなり遠くまででも、行くんですねぇ〜 これが・・・・・・。


 そこで、今日は、蕎麦屋で、私が特に気に入ってる店を、3件程紹介いたします。

 先ず一軒目は、松本城の近くにある『もとき』という店。
メニューは、4種。ざる・もり・天ぷら蕎麦(温かい)・天ざる のみ。

 
ここの蕎麦は、蕎麦の実の真中の部分だけしか使っていない為、透き通っていて、短い蕎麦だ。
一瞬「シラタキ?!」と、思う。
甘味・こし・香り・共に満点。絶品中の絶品。
ここでも、超お勧めなのは、『ざる天』

いえいえ、天ざるデハナク、ざる天(笑)
モチ、夏は天ざるも、お勧めだけど・・・・・・。

ツウ」の人は、老若男女を問わず、『もりてん』か『ざるてん』を選んでいる。

先ずは、薄味である、天ぷら蕎麦から、先に届けてもらう。
『ブチブチッ!!ジュジュジュ〜ッ!!』・・・と、まだ丼の中で揚げくり返っている(謎)プリプリの車えび (だと思う) が、一本と、大葉の天ぷらが一枚。それに、香りの良い刻み海苔。 丁寧に、薄〜く刻んだ葱。
トッピングはそれだけだが、これがもう・・・・・・たまらない美味さだ。
汁の味も、又、格別。
それに、ざる蕎麦が一枚ついたセットが、『ざる天』である。

私は『もとき』の蕎麦を定期的に食べたいが故に、松本を離れられないのだ・・・。
と言っても、言い過ぎではない。(爆)

「海苔なんて、別にどうでもいいや! 蕎麦ツウは、盛りに限る!!」 と言う、本格派は、『もり天』にすればいい。(笑)
量は、少ないので (高い蕎麦屋ほど、量が少ないものだ)←持論 
女性でも、そのくらいは、容易に平らげる。


2件目は、塩尻の洗馬・・・と言う所に在る、『まる泉』
『農道の中の一軒家』・・・風情の店。
ココの蕎麦は、芸術的とも思える程の、見事な細打ちだ。
私ら夫婦は、当初。「蕎麦は、絶品だけど、ツユがチョイ物足りないなぁ・・・」等、呟き、次回から『桃屋のツユ』を、コッソリ隠し持って行き、人目を偲んで足していた。(爆)

しかし、有ったんですねぇ〜。 『ツユの素』 と書かれた、醤油指しみたいな器が・・・・・・。(文字が消えかかっていたので、私達はずっと、焼き鳥のタレか、醤油か何かだと思っていた)

 蕎麦の味を生かす為、あえて、薄味にしていたらしい。
 私もまだ、修行が足りんなぁ・・・・・・。ツユを足さなきゃ、食えんようじゃ・・・・。

 此処の、庭で放し飼いにしていると言う、焼き鳥も、絶品だ。


 サテと・・・最後は、市内に戻って、中町と言うところにある『磊楽』(らいらく)と言う土蔵作りのような店。

ママさんと、『猫』との二人で、経営している蕎麦屋だ。(爆)

此処の蕎麦は、素朴で、暖かな味で、ママさんの愛情と優しさが、そのまま蕎麦の味に出ている。

 ランチ時には、無農薬で取れた、ほうれん草のおひたしや、味噌汁が、セルフサービスで、大きなテーブルに デン! と、置かれている。
店の中は、カフェBARのような洒落た造りだ。
猫好きのママさんが集めた、猫のグッズや、写真やらが多数飾ってあり、私のような猫キチガイには、堪らない店だ。

夜は、『身体に優しいおつまみ』も、多数有り、色々な焼酎が置いてある。

此処の『営業部長』だったっけかな・・・・・・?
『チヤー』と言う名前の猫が、とっても愛想が良くて可愛らしい。
その『猫』チャーに、人生の悩みを聞いてもらいながら、おいしいツマミで一杯やって、仕上げにママの蕎麦を頬張る。
(・o・)ァ〜〜・・・何たる至福の一瞬!

以上。私のお気に入りです〜。
まだまだ他にも色々有りますが、そろそろお手々が、痛くなってきましたので、今日はこれにてお開きで〜す。 次回を楽しみに〜m(._.)m ペコッ

追伸・・・投票よろしくお願いね? (゚゚)(。。)ペコッ






2002年05月16日(木)


 【童話】天井裏のオバケたち 


 
 今日から風景を変えてみました〜♪


 この方が、文章が読みやすいでしょう? (⌒^⌒)bうふっ

 この所、松本はグズツイタお天気が続いています〜。
 それなのに・・・愛(=^・^=)〔猫のつもり〕の、『ミュウー』は、外に出たいがため、障子をビリビリ破き回っている始末・・・・・・。

 このままでは、障子を貼ってる意味がなくなるので〔既に時遅し・・・だが〕
 仕方なしに窓を開けてやった。
すると、元気に飛び出していく。


 (この大雨の中、良く行くよ・・・・・・(-。-) ボソッ)


 ウチの猫は、ナゼか水が大好き。(変体・・・・・・!)

余りにも静かなので、何処にいるのかと思いきや・・・ キッチンの水道を手で、コチョコチョッ! と、小突き、ツツツツーと水が出て来ると、それを頭からかぶって喜んでいるんですねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜。
 (アホ・・・・・・悪趣味・・・・・・!)

まぁ・・・お風呂も大好きで、私に抱っこされながら、湯船に一緒に浸かっていると
何とも、気分の良いような、間延びした顔つきをするんです。ハイ

 『オマエハ、本当に猫なんかい?』
そう聞かざるを得ない出来事が、随所となくあるんですねぇ・・・・・・。


        サテ・・・今日の出し物は、童話です。
 息子が小さかった時、ふと漏らした言葉をヒントに書いたものなのですが、私としては、イマサンの出来です。(イマイチどころではない・・・と言う意味です)



             
            『天井裏のオバケたち』 

 
 一人っ子の《テッチ》は、とても、さびしがりやさん。
そんなテッチは、幼稚園で仲良しの《ゆうくん》が、うらやましくて、うらやましくて、しかたがありません。
 ゆうくんには、とてもやさしくてカッコイイお兄ちゃんと、とても可愛い、妹がいるのです。テッチは、ゆうくんのお家にあそびに行くたびに、なにがなんでも、兄弟がほしくて、たまらなくなってしまうのです。

 そこで、日曜の夕ご飯の時、テッチは、お父さんとお母さんに、おもいきって、お願いをしてみたのです。

「ねえ、僕の5才のお誕生日に、お兄ちゃんをうんでよ!」
  
 とつぜん、そう言い出したテッチに、お母さんは、おみそ汁をふきだし、お父さんは、ウメボシを、タネごと丸のみして、目をシロクロさせています。
 テッチは、おおまじめなつもりなので、お父さんたちを、にらみつけました。

「テッチ? お兄ちゃんをうむのは、ちょっとムリでしょう・・・・・・(^^; し、しかも、お誕生日は来月よ?」
と、お母さんがテーブルをふきながら言いました。
「どうして? なんでムリなの?」
お母さんは、答えにこまってしまい、
「どうしてって言われても・・・・・・ねえ?」
と、お父さんにSOSを出します。

「テッチ、お兄ちゃんというものは、テッチよりも年が上ってことだろう? だったら、テッチは、もう一度お母さんのお腹の中に戻って、お兄ちゃんがうまれるまで、ずうーっと、ずうーっと、かくれんぼをしてなきゃならないんだぞ? それでもいいのかい?」
と、お父さんがたすけぶねをだしました。
「かくれてるって、どれくらい?」
不安そうなテッチ。
「そうだなぁ。最低でも6年ぐらいかな? へたをすれば7年かも・・・・・・」
「い、いやだよ、そんなにかくれてたら、僕、お腹のなかで、ミイラになっちゃうもん!」

 お父さんたちは、それを聞いたとたん、おもわず、わらいころげてしまいました。
「わらわないでよ!」
テッチは、ちょっぴりむくれて、
「じゃあ、妹ならうめる?」
と、ききなおしました。

「妹ねぇ・・・、それでも、来月じゃぁ、ちょっと、むずかしいわねぇ・・・・・・」
それを聞いて、また、お父さんがふきだしました。

テッチは、とうとう本気でおこり出してしまいました。
「笑うなってば! もう・・・・・・。とにかくお誕生日に、妹をうんでくれなきゃ、僕、家出する!」

 夕ご飯もそこそこに、キッチンを飛び出して行ったテッチに、二人とも、(やれやれ・・・・・・)と、困り顔。
少しして、お母さんが様子を見に、子供部屋に行って見ると、テッチはもう、お布団にくるまって、スヤスヤと眠っていました。

「オ・ヤ・ス・ミ・・・・こまったちゃん!」
お母さんは、テッチのホッペにキスをすると、そっと部屋を出ました。
 テッチはその日の真夜中、不思議な夢を見たのです。


―お母さんが、かわいい赤ちゃんを抱いていて、テッチに赤ちゃんを差し出すのです。テッチはものすごく喜んで、赤ちゃんをさわろうと、手を伸ばした時・・・・・・、そこで目がさめてしまったのです。
「なんだ・・・・・・ゆめか・・・・・・」

テッチがそうつぶやいた時、てんじょううらから、変な物音が聞こえてきたのです。

ヒタヒタヒタ・・・・・・。
カタカタカタ・・・・・・。

今まで、聞いたこともない、物音です。
テッチは、怖くなって、となりの寝室で眠っているお父さんたちのところに、とんでいきました。
「どうしたんだ? テッチ、こんな夜中に」
お父さんは、目をこすりながら言いました。
「お父さん、早く来て! てんじょううらに オバケがいるんだ!」
テッチは、真っ青です。
「フワァ〜ッ! どうしたの? テッチ・・・・・・」
お母さんも、あくびをかみころしながら、起きてきました。

 テッチは二人を自分の部屋までつれて行くと
「シーッ!」
と、くちびるに人差し指を当てました。
シーンと静まりかえった部屋に、またあの音が聞こえてきます。  
 
ヒタヒタヒタ・・・・・・。
カタカタカタ・・・・・・。

お父さんとお母さんは(?)と、顔を見合わせました。
お父さんは懐中電灯を持ってくると、押し入れの中の天井板をはずして、てんじょううらを、のぞきこみました。

「何か・・・い・る・の?」
お母さんとテッチは、こわごわ同時に聞きました。
「あぁ〜怖い! 小さなヒトダマが、いっぱい見え〜〜るぅ〜・・・・・・」
お父さんが、変な声で、わざと怖がらせるように言うので、お母さんとテッチは、(ゴクリ)と、ツバを飲みこみました。

 お父さんは、押し入れからとびおりると、急に笑顔になって、テッチに言ったのです。
「お前にいいプレゼントができた♪」 

今度はテッチとお母さんが、顔をみあわせてしまいました。
お父さんは、ニヤニヤしながら、
「お母さん、カツオブシを持ってきて。あっ、それからテッチは、画用紙をさがして!」
と、二人に指示を出しました。
テッチは、大急ぎで画用紙をさがすと、お父さんに渡しました。 
お母さんも、首をかしげながらカツオブシを持ってきました。
お父さんは、カツオブシを、画用紙の上に乗せると、それを、押し入れの屋根板の代わりに置いて、ワナをしかけました。

「それで、オバケがつかまるの?」テッチは、ドキドキしながら聞きました。けれども、お父さんは、ニヤニヤ笑っているだけ・・・・・・。 
そして数分たった時です。

《ドサッ!》

 画用紙といっしょに落ちてきたのは、何と、小さな赤ちゃん猫でした。
「うわーっ、かわいい!」
お母さんとテッチは、またまた同時に、歓声をあげました。
そしてまた、もう一匹、赤ちゃん猫が、つられるように、おちてきたのです。
2匹の赤ちゃん猫たちは「ミュー、ミュー」と、ふるえながら鳴いています。
「おまえの兄弟たちだ・・・・・・。せいぜい可愛がってやるんだぞ!」
お父さんに言われ、
「ワァーィ! ヤッタァ!」
と、テッチはおおはしゃぎ。
「うんとかわいがるよ。ねっ! お母さん」
「ええ、そうね」

それから、10日が、すぎました。

 仔猫たちの親が、しばらくの間、心配そうに、庭からのぞいていましたが、安心したのか、最近では、こちらを見ながら、のんびりと、毛づくろいをしています。

 テッチは、幼稚園から帰ってくると、毎日妹弟たち(?)の世話でおおいそがし。
ミルクをあげたり、トイレの砂を変えたり、いっしょにジャレたり、それはもう、大ハリキリなお兄ちゃんぶりです。

「ねえテッチ? そろそろ猫ちゃんたちに、名前を付けてあげなくちゃね?」
と、お母さんが言いました。
「それじゃ、弟と妹にしようかな?」
「ウフフ・・・・・・いやだ、テッチったら・・・・・・もうちょっと仔猫らしい、かわいらしい名前を付けてあげましょうよ」
「そうか! それじゃあねぇ・・・・・・♪」


 〔来年は、もっとにぎやかになりそうですよ?
 じつは・・・・・・、お母さんのお腹の中に、あたらしい命が芽生え始めたことを、この時は、まだ、だぁ〜れも知らないのでした〕
                
                               (おわり)
  
 

 投票も、よろしくね〜(ノ~ 〓~)ノ ワタシノ アツイ クチヅケヲ...






 


2002年05月17日(金)


 【ショート小説】 水曜日の客


 
 水曜日の客【真夜中のダニーボーイ】
  

それは初秋に入った物静かな夜の事であった。
その珍客がJAZZBAR『淋しがり屋』のドアを開けたのは、もう、午前一時を廻っていた。
通常、営業時間は二時までだが、十二時近くで客が途切れ、それ以来誰も入っては来ず、そろそろ早仕舞をして、うどんでも食べに行こうかと、アルバイトの恵美と話していた所である。
 私は咄嗟に、(どうしよう?)と、恵美の顔色を窺ったが、恵美は無言で、こくん、と頷いた。
暗黙の了解で、「私なら、まだ大丈夫よ」と言う意味である。
「あの・・・、後、一時間程で閉店なんですけれど、それでも構いませんでしょうか?」
私は入り口に目を凝らしながら、そう声を掛けた。
入り口のネオン管も、もう消しており、灯りを半分に落とした店内は、間接照明だけで、薄暗い。
 
ドアから入ってきたのは、魔女を思わせるような黒ずくめの服を纏った、もう五十は過ぎていると思われる、老女だった。
 ビルとビルとの、奥まった場所に位置するこの店に、フリー客が来る事は滅多に無く、ましてや、この時間帯に、年配の女性が一人で飲みに来るなどと言う事は、皆無に等しい。
「あぁ・・・、いいのよ、一杯飲んだらさっさと帰るからさぁ、お願いよ! チョットだけ飲ませて頂戴なー」
 ドアにもた凭れ掛るように佇み、女はこ媚びるような笑みを浮かべ、そう言った。
 もう、既に大分酔っているらしく、女の足取りは幾分ふらつき、体が前後に揺れている。
 もう一度、私は恵美の顔色を窺った。
「断る・・・か?」
 そう言おうとした時だった。
「いらっしゃいませ、さぁさ、こちらへどうぞ。カウンターでよろしいですよね? 一杯などと言わず、いーっぱい、お飲みになってください〜」
恵美が照明を戻しながら、快活なジョークを交え、その女を受け入れる。
「あっ、灯りはそのままにしておいて。暗い方が好きなのよ・・・・・・」
 女はまだ、入り口に佇んだまま、手で顔を覆い、眩しそうに目を瞬いた。
 最近、暇な日が続き、私の懐具合を解っている恵美は、それを考慮してか、一人でも多くの客を入れようと、必死である。まだ二四才の若さなのに、中々のしっかり物である。
 私は苦笑すると、「悪い! 恵美。うどんはこの次ね!」
と、小声で囁いた。
「アンタ、若いのに、中々話せるじゃない?」
 しわがれた声の女は、恵美にウインクをしながら、ゆっくりと店内に入って来た。
「えーと、何をお飲みになりますか?」
 お絞りを差し出しながら、私はもう一度、さりげなくその女を盗み見た。
痩せてはいるが、スタイルは悪くない。むしろ、年齢から言えば、整っている方だろう。 
長い髪を一足で縛り、やたら化粧が濃く、唇には真っ赤な口紅が塗られている。アイラインが太く引かれた下まぶたの淵に、所々マスカラが滲んでいて、まるで泣いた後のようだ。
大きなショルダーバッグから、ラメ入りのロングショールがはみ出ている。
黒いニットのアンサンブルスーツには、数箇所、薄い染み汚れが付いている。その丸くくびれた胸元には、煌びやかな金色のネックレスが三連。
 右の手首には、金色のブレスレットが2本。
そして、左手の中指には、いかにもイミテーションらしい大粒の真珠と、これもイミテーションに違いないと思われる、大きなルビーのファッションリングが薬指に填められている。
右手の薬指には、これだけは本物らしいと思われる銀色の色褪せた指輪が、場違いなように鈍い光を放っている。
(この、ド派手な女。一体何者かしら?)
私は、妙な好奇心が沸いて来た。
 女は、うなだれた顎をやっとのことで支えるように、カウンターに肩肘を付いている。
「あの・・・、お飲み物は何にいたしましょう?」
 私はもう一度、ゆっくりと聴いた。
「え? あ、あぁ・・、ご免なさい・・・・・・」
 女は我に返ったように呟くと、
「まさか、ここはペルノーなんて酒、置いてないわよね?」 
と、試すように聞いた。
(へぇ〜、ペルノーだって・・・、驚いた・・・・・・)
 私は、その女に益々、興味をそそられた。
 ペルノーとは、アブサンを改良したもので、香りに独特な癖の有る、とても強い酒である。滅多やたらな人が飲むような酒ではないのだ。
「ペルノーですか? ウフフ・・・、それが、あるんですよー。私が大好きなものですから・・・・・・。でも、大丈夫ですか? もう、かなり飲まれているようですが?」
 私が気遣ってそう聞くと、女は薄笑いを浮かべながら首を横に振った。
「冗談でしょう? 馬鹿言わないで頂戴。まだまだ酔っちゃなんかいないわよ。それにしても、益々話せるネェ〜、この店は・・・・・・」
女は店内を見回しながら大声をあげて笑った。
私は思わず江美と顔を見合わせ、苦笑した。
「じゃぁ、それをソーダで割って頂戴。あぁ、そうそう、氷はなるべく細かく砕いて」
「はい。かしこまりました」
 女はバッグからキャメルを取り出すと、それを真っ赤な唇に咥えた。
 江美が慌ててマッチを探している。
 女は、煙草を咥えながら、そんな江美を、可笑しそうに眺めている。
 ようやくマッチに灯が点り、江美がおずおずと、女に差し出すと、女は鼻で笑いながら、煙を深く吸い込んだ。
「待たされた分、美味しいわ」
「申し訳ありません・・・・・・」
 江美が救いを求めるような顔で私を見ている。

ペルノーのソーダ割を女に差し出すと、女はそれを一気に半分ほど飲み干した。
「あぁ、美味しいわ・・・」
そう呟き、初めて柔らかい笑顔を向けた。
「ねぇ、アンタ達。そんな・・・、穴が空くほど、人の顔ジロジロ眺めてないでさ、アンタ達も何かお飲みよ。今日は私の退職記念日なんだからさ・・・、一緒に祝って頂戴な。さぁ、さぁ、どうぞ、どうぞ、飲んで、飲んで?」
 女は、刺の無い声でそう言い、私たちに手の平を差し出した。
 思わず私と恵美は、顔を赤くして俯いた。
「ごめんなさい・・・。こんな時間に女性客が一人でお見えになるなんて、珍しいものですから、つい・・・」
私の言い訳に、恵美がかぶせて言う。
「退職記念日って・・・、お客様は、何処かのお店のママさんですか?」
 女は、フッと微笑むと、
「ハズレ―。ねぇ? アンタ達、私って一体、何に見える?」
女は、悪戯っぽい視線を向け、ニタニタしている。
「う〜ん・・・・・・」
 私達は、必死で想像を巡らせた。でも、水商売ではないと解ると、とても、想像が付かない。
「考えるのはあとでいいからさぁ、早く早く、自分たちの飲み物をお作りよ!」
女がじれたように言う。
「では、お言葉に甘えて、一杯ずつ頂きます」
「一杯といわず、いーっぱいお飲みよ。あははははは」
 恵美の口調を真似る女に、私たちの警戒心がスッと和らぎ、私達は思わず吹き出した。
 私は女と同じ飲み物を二つ作ると、一つを恵美に渡し、三人でグラスを合わせた。
「では、頂きます。乾杯」
「うわーっ! 強いっ!」
恵美が思わず、顔をしかめながら、すっとんきょうな歓声を上げる。
 女はそれを見ると、いかにも可笑しそうに、ケラケラと笑った。
「アタシさぁ・・・、三十五年もやってた仕事、今日で首になっちゃってさ・・・、フン、そりゃ〜そうよね。もう、五十六だもの・・・・・・。無理も無いけどさ! あんちくしょうったら『長い間おつかれ様でした。楽しい老後をお過ごしください〜』だなんて言いやがった!」
 女は問わず語りで、ポツポツと語り始めた。
「・・・・・・」
 私も恵美も、黙って聴いていた。
「ねぇ・・・、もう一杯頂戴!」
 女は、ロレツの廻らない口調でそう言うと、空のグラスをカチャカチャと、振って見せた。
 何か、得体の知れない哀しみを抱えていそうなその女に、私は段々、言い知れぬ親しみを感じていた。
「ええ、どうぞどうぞ・・・、何杯でもどうぞ? もう、看板も消しましたし、他のお客が入って来ないように、鍵も掛けちゃいますから、貸切りのつもりで、ごゆっくり心行くまでお飲みになってくださいな」
 そう言うと、私はさっきよりも濃い目に作った二杯目を、そっと女に差し出した。 
「アンタ、優しいのね・・・・・・」
女は、鼻をすすると、グラスに口をつけた。
「あぁ、アンタ達も、遠慮しないで、沢山飲んで頂戴。私の奢りよ! 心配なんかいらないよ、お金なら一杯有るんだから・・・・・・」
 今日は、この珍客に徹底的に付き合おう。そう思った私は、恵美を気遣ってそっと耳打ちした。
「もしなんなら、先にあがっていいわよ?」
 恵美は、暫く考えていたが、
「ううん、私もまだ、ここに居てみたいです」
と、そっと舌を出した。
「お客様のお仕事って、一体何なんですか?」
 私のその問いに、女は答えてはくれず、
「ご想像にお任せするわ」
と、はぐらかされてしまった。
(きっと、話したくない事情があるのかもしれない・・・・・・。)
そう感じた私は、さり気なく話題を変えた。
「綺麗なアクセサリーを、沢山お持ちなんですね?」
「あぁ・・・、これ達?」
 指輪や、ネックレスを愛しそうに撫でると、遠い眼をしながら女は言った。
「そう・・・、みぃ〜んな、みぃ〜んな、男からのプレゼント・・・・・・」
(偽物なのに・・・・・・?)
私は、俯きながらも、必死で笑いを堪えていた。
「これはね? 某会社の社長さんから貰ったルビーで、周りのダイヤだけでも1・5キャラットもあるんだって言ってたわ・・・、それから、これはね? 十五も年下の大学生が、貯金を叩いて買ってくれた真珠よ。そして、これはね・・・・・・」
女は、夢見るような顔付きで、その、一つ一つの想い出を外すと、自慢げに、カウンターに並べて見せた。
「ウフフ・・・、大勢の男たちが、私に夢中だったわ・・・、でも、もう、遠い昔の事よ・・・・・・」
女は自嘲するように笑った。
 カウンターに並べられたアクセサリーを、一つ一つ手に取って見ると、驚いた事に、全てが本物だったのだ。
 しかし、私が唯一、本物だと思った銀の貧弱な指輪だけは、とうとう、女の指から外される事は無かった。
 女の話は、暫くの間、いかに男たちに持て囃されて来たか・・・という自慢話に始終し、やがて話疲れたのか、女はカウンターに突っ伏してしまった。
 その女を見守りながら、恵美も私も、無言で飲み続けた。
 暫くすると有線から女性ボーカルが歌う『ダニーボーイ』が流れて来た。
 ふと、女が顔を上げ、「もっと、ボリュームを上げて頂戴! この曲は私の一番好きな曲なんだよ!」 と、叫ぶように言った。
 恵美は、はじかれたように、ボリュームを上げる。
 すると女は、ショールを手にスッと席を立ち、ホールに向かうと身体を左右に振りながら、踊り始めたではないか・・・・・・。
「よーく見ててよ! これが私の最後のステージ舞台なんだからね」
 あれほど酔っていた女が、背筋をシャンと伸ばし、狭いホールを使って、華麗に舞っている。そして、何と、女は一枚一枚、服を脱ぎ始めるではないか・・・・・・。
 恵美も、私も、息を呑んだ。
店の薄明りに照らされた女は、所々、年齢を感じさせはするものの、その姿は艶やかで美しかった。
やがてとうとう、女はショール一枚になったのだ。
嫌らしさは、みじん微塵も感じられない。
むしろ、その女の踊りには、服とともに人生を脱ぎ捨てた、小気味良ささえ感じられる。
 私は、思わず泣いていた。
溢れる泪を拭う事も忘れ、泣いていた。
 なにかとてつもなく哀しくて、とてつもなく愛しかった。

 やがて、曲が終わると、女は脱ぎ捨てた服を淋しげに身に纏った。
「これが私の仕事だったのよ・・・・・・」
そして、フッと哀しそうに微笑んだ。
「今日は、アンタたちに、優しくしてもらったから、特別の大サービスだよ!」
 私は暫くの間、泣き止めなかった。
「さぁ・・・、幾ら? そろそろ帰るわ」
女の声は、再び、ロレツの廻らない口調に戻っていた。
「あ・・、あの・・、とんでもない。御代など結構です。何か、物凄く感動させたれてしまって・・・・、今日は私の奢りです」
私は、指先でそっと涙を拭いなが言った。
女はふいに苦笑をすると、財布から一万円札を三枚抜き取り、拒絶する私の手に、しっかりと、それを握らせた。
「アンタ、商売が下手過ぎるわよ。こんな事じゃ全然儲からないでしょうに・・・・・・」
「あ・・・、でも、こんなに頂いては・・・・・・」
 躊躇する私に、女は優しく微笑んだ。
「楽しかったよ、又来るからさ! 今度来る時はきっと、ど貧乏になってるだろうからさ、そん時ゃ、アンタに奢ってもらうよ。あはははは・・・・・・」
 女がドアを開けようとしたその時、私は思わず女の後姿に声を掛けていた。
「お客様? 一つだけ教えてください。その指輪は・・・、右手の薬指の・・・、最後まで外さなかった銀の指輪は、ご主人のプレゼントですか?」
 女は少し間を置くと、聖母のように優しく微笑んだ。
「いえいえ、三十年前に、出て行っちまった息子から、最後の母の日に貰った物さ。ウフフッ・・・。イミテーションなんだけどね・・・・・・」
女はそう言うと、後ろ手に手を振りながら、ドアの外に出て行った。


2002年05月18日(土)

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