 |
 |
■■■
■■
■ 『カデナ』パンフ掲載文先出し。。
演出の戯言「こうでない世界を想像する」 サイコドラマという手法がある。 日本では心理劇と呼ばれ、心理療法の中のグループ療法(集団療法)の技法のひとつで、グループをつくり、メンバーが即興的にドラマをつくり、演じることで、個人の自己理解や自己洞察を深めようとすることを目的としている。 また、参加メンバーの自主性や創造性を育てることにも有効とされている。 この心理療法は、臨床現場での心理治療以外においても、教育現場、矯正関係の分野でも広く活用されている。 池澤夏樹氏の原作を、そしてそこからインスパイアされた五戸真理枝さんの脚本を読み、 この壮大なストーリー、それでいて且つ個人の心理に焦点を充てたドラマをどう効果的に客席と繋ぐべきかを、ずっと考えてきた。 しかもこの「ひめゆりピースホール」という特別な空間を活かして。 フリーダの思い タカ・安南・朝栄・母・パトリックの思い 人の心の奥底に残されてしまうもの。トラウマ。 一人の傷、みんなの傷、一つ一つにその人物のストーリーがある、あったということに思いを馳せられるかどうか、想像の翼を広げられるかどうか。この作品はある意味でフリーダを中心としたサイコドラマだと気がついた。(※参加者にはもちろんお客様も含まれます😀) 丁寧に向き合い開いていく作業と魅力的な俳優陣を中心とした能動的なクリエーションが相まって、作品は奥行と広がりを持ち、そして最後に見えてくる風景とは― 戦禍のベトナム、沖縄戦の沖縄、アメリカ世、今もあり続ける基地、 いろんなものが見えながらいろんな体験を経ても、世界から紛争がなくなる気配はなく、それどころか戦争の世紀を超えたはずの世界はまた、同じことを繰り返す。 この国だって80年遠ざかっただけで、南西諸島の軍事化はもはや戦前の有様である。 大国の論理に翻弄されることに慣れていていいのか、とカデナの登場人物たちと付き合っていて思うのだ。 僕らができることは小さく、非力で、非効率かもしれない、 でも、戦後80年を契機に「人間の心」というものに焦点をあてるからこそ想像できる「こうでない世界」「こうでない未来」「こうでない今」を具体的に想像することから始めよう。 狭いところで恐縮ですが、最後までごゆっくりお楽しみください。 藤井 ごう
2025年06月21日(土)
|
|
 |