再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 大阪劇団協議会「民衆の敵」当パン戯言。

演出の戯言
「僕らの物語」

僕たちは思っているよりもよっぽど危うい世界に生きている。
明確な「これが正しい」といった価値観のなくなった世界で、
頼りにすべきものを失ったまま、このコロナ禍(死者600万人!)を過ごし、
海の向こうでは20世紀でそういうのはなし、となった筈の戦争が展開する。
こうなっても救済者やヒーローはやはり現れない。
だから誰かに「それでいいんだよ」とでも言われない限り、俺はこれだけやったんだ!ということが生きた証なのに、誰も言ってはくれない…。これは困った。そこかしこでSNSを発信し、自分が生きた証が欲しい、生きてる証が欲しい…三大欲求に食い込むかのような承認欲求の過大…
ストックマンが北の果てで感じたこと…登場人物たちが各々の立場で感じていること…
私利私欲、自分たちの利がすべての基本。イプセンが140年前に見通していた世界、人間の姿は、何も変わらずここにある。いや、色合いを増して眼前にある。
「民衆の敵」は正義を貫いた貴い人間の話では決してない。難しい話でもない。
人に認めてもらいたくて、人のためになりたくて、でもなれなくて、あれも欲しくてこれも欲しくて、人目を気にして、家族も仕事も大事で、世界はできれば平和がいい。
そんな、どうしようもない位、僕らの物語だ。

訳語の中に「郡の行政官」という台詞があるのだが、二月の下旬を境に「軍の行政官」にしか聞こえなくなった。それくらい、僕らは短絡的で、いつの間にか価値観が動かされている。人を識り世界の仕組を識る。考えることを放棄してはならない。

どうぞ最後までお楽しみください。

藤井ごう



2022年03月25日(金)



 またしてもですが…

『「民衆の敵」3月25日〜27日につきまして出演者に、新型コロナウイルス陽性反応が確認されました。対応につきまして協議した結果、
今回の公演を中止といたします

公演を心待ちにしてくださったお客様には、大変ご迷惑をおかけいたします
心よりお詫び申し上げます
チケット払い戻しにつきましては、担当者より個別にご連絡をさせていただきます。また、ローソンチケットにつきましてはただ今手続き中です。
決まりましたら、お知らせいたします
今、しばらくお待ちください
皆様には大変お手数をおかけいたします
申し訳ございません。』

以上のようになりました。
本当に、本番を迎えられるっていう事が奇跡なのだなと改めて思います。
突き進むこともできたかもしれませんが、突き進むことが全てではありません。
まずは陽性者の回復を思い、
そして、作品に費やされてきたエネルギー、心、身体の回復と浄化を思います。ちなみに私は陰性ですのでご心配なく。
誰の所為でもありません。

と言いつつ、お声がけいただいた2019年の9月から、作品の選定、
時期の折衷、オーディション、オンラインでの打ち合わせ、事前稽古、オンラインでの読み合せ、台本作成、本稽古。
と費やしてきた時間は…となると、身体の力がぬけるというか、重力に逆らえないというか、色んなところから面子は集まってきましたが、後半戦まで来てとてもいい強固な座組になっていました。なので、なんとか日の目を見る機会を作ろうと協議中です。

さあこれからシュート(照明の)という段階からのバラシは切ない…
しかし、否が応でも強くさせられますな。



2022年03月24日(木)
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