赤ちゃんがえり

 相変わらずにょらはごはんを自分で食べないし水も飲まない。注射器で水もやってみるが、いったい1日にどのくらいの量を飲ませればいいのかわからず、休診日だが病院に電話してみた。すると、食欲の出る別の薬を出すから取りにくるようにいわれた。

 食欲のない原因が腎臓にあるとは思えないが(検査の数値から)、ストレスによるものなのか、関節の痛みによるものなのか、それともほかに病気が潜んでいるのか、今の段階でははかりかねる、この薬を2日間試してみて効果がないようなら別の手を考える、といって薬を手渡された。

 12時ごろ薬を飲ませ、1時半頃にはおやつのかつおを少し食べた。夕方にはカリカリを6粒。薬が効いてきたのかな。それでも強制給餌は必要。注射器では辛気臭いので、指につけて上あごになすりつける方法を考案。このほうが早いし、にょらもだまされたように食べてくれる。しかしそうしているうちに、ある疑問が頭をかすめた。もしかしたら食欲がないというより、食べさせてもらえるものと思い込んでしまったのではないか……?
 
 これから先ずっとこの状態が続いたらどうしようと思いつつ、なんだか子猫を育てているような喜びもある。注射器で水をやると、哺乳瓶で飲むような口元になってとてもかわいいのだ。もう少し楽しみたいぞ。



2003年09月24日(水)



 退院

 11時すぎに病院へ行くと、すでににょらの採血は終わって検査中のようだった。結果が出るまで入院室でにょらを見ていたが、30分ほど待つと、「きょう退院!」と先生が入ってこられた。やった!

 にょらの点滴がはずされ、診察室へ連れていかれた。そこでレーザーをしていただきながら説明を受ける。にょらはなんだか見違えるほど元気そうになり、きょろきょろとあたりを見回したりしている。腎臓の数値は正常値をやや上回ってはいるものの、3日前よりだいぶ下がっていた。しかしこれからは薬で腎臓の機能を助けなければならない。たぶん一生、薬は欠かせなくなるだろうとのこと。

 入院中、ごはんは食べなかったようだ。これから食欲は出てくるはずだが、もし食べない場合には強制給餌をするようにと、高カロリーのペースト状の缶詰と注射器をわたされた。注射器に詰めて喉に流し込むらしい。

 家に帰りキャリーから出してやると、すぐに階段をのぼろうとしたが、のぼれないようだ。抱いて2階まで連れていってやると、トイレに直行しておしっこをたっぷりした。病院ではその場でしていたのに、ちゃんと自分でトイレに行くなんて、なんておりこうさんなんでしょ。しばらくトイレは無理だろうと思ってペットシーツを買っておいたのに。

 ごはんはやはり食べないので強制給餌。膝に乗せて口をこじ開けようとすると、両手でわたしの手を押し戻す。何度もそれをやられたので断念。今度は口の横から注射器の先をさしこんで注入すると、びっくりした顔をしながらももぐもぐして食べ始めた。なんか楽しい〜♪

 しかし1回に注射器1本分だと何度も何度もやらないといけないことに気づいた。う〜ん、けっこうたいへんかも。それに、2度目、3度目ともなると抵抗するようになってきたし。自分でちゃんと食べる日はくるんだろうか。



2003年09月23日(火)



 入院3日目

 朝10時頃から面会。やはり元気がない。呼びかけてもさわってもほとんど反応がなく、眠りっぱなしだ。わたしはただひたすらにょらの頭をなで、にょらが眠っている姿を見守る。お昼前までずっとそうしていた。

 午後は4時半すぎから面会。朝よりは少し元気になった様子で、なでているとかすかに喉をごろごろ鳴らしていた。

 しばらくして先生が入ってきて注射しようとすると、にょらは「シャー!」といって猫パンチをくらわした。そして奥のほうに逃げようとしたときに、しりもちをついて足を上げ(お尻をなめるときのような格好)、お尻が丸出しになってしまった。その瞬間、なんとおしっこ攻撃! けっこう勢いよく飛んでいた。女の子なのに、はずかし〜。でも先生は慣れている様子で、おしっこが止まるのを待ってからシーツを替えてくださった。そのときに、どこかからうんちがぽろっと出てきた。ちゃっかり隠してあったらしい。ごはんを食べていないのに、出るものは出るんだなぁ。元気なおしっことうんちを見て、少しほっとした。

 あすはもう一度血液検査をして、その結果次第で退院できるかもしれない。この調子だと数値は絶対に下がっているはず、と先生に太鼓判を押された。

 いつも面会の帰りは泣きながら運転していたのだが、はじめて泣かずに帰れた。



2003年09月22日(月)



 入院2日目

 きょうは日曜で病院は10時から3時までなので、まず10時に面会。毎日2回行くつもりなのだ。

 にょらは相変わらず怒っていた。また「シャー!」&猫パンチ。ショックだ。でももしかしたら捨てられたと思ったのかも……。

 午後2時過ぎに行ったときは、にょらは力なく横たわっていて、目だけ上げてわたしの姿を見ると、かすかに「ニャ」とだけ鳴いた。目には朝の攻撃的な色はなくなっていた。頭をなでてやっていると、ずっと目を閉じたままじっとしている。落ち着いたようにも見えるが、どんどん元気がなくなっていくような気もする。帰るときに先生にそのことを伝えると、「大丈夫。おまかせください」といわれた。

 家ではつい無意識ににょらを探してしまう。朝目覚めたら、ベッドの足元ににょらがいるか足で確認したり、クローゼットがちゃんと閉まってなかったら、「にょらが入るじゃん」とあわてて閉めたり、ついにょらのトイレをチェックしたり、水を入れ替えそうになったり……。そのたびににょらがいないのを思い出し、落ち込む。にょらがいないと、家の中は恐ろしいほど寂しい。

 夜はなかなかベッドに入る勇気が出ない。先生に大丈夫といわれて安心はしていても、ついいろんなことを考えてしまう。



2003年09月21日(日)



 入院

 相変わらずごはんをあまり食べない日が続き、手を変え品を変え、いろいろやってみたが効果なし。暑さのせいなのか、足が痛いのか、原因はわからない。去年の夏も食べなくなって激やせしたが、今回はそのときよりも食べない期間がやや長いのが気になっていた。

 今朝は元気だったのに、お昼ごろ、様子がおかしいのに気づいた。またうんちが出ないらしいのだ。そしてごはんも水も受けつけなくなり、元気もなくなっていった。心配になったので、午後の診察時間になるのを待って病院に電話すると、連れてくるようにいわれた。2日後に予定していた血液検査をきょうしましょう、と。どうも最近、うんちがきっかけでおかしくなることが多い気がする。

 以前大暴れして以来、採血のときはエリザベスカラー&バスタオルぐるぐる巻きだったのだが、きょうは何もなしで動きもしなかった。

 検査の結果が出て呼ばれ、診察室に入るなり入院をいいわたされた。脱水症状を起こしていて、尿毒症一歩手前とのこと。7月末の検査では、腎臓の数値も正常範囲内におさまっていたのに、今回はかなり高い数値になっていた。この状態では通院の限界を超えているので、入院して点滴し、利尿を促すことで腎機能の回復を助けるということらしい。数日間の点滴で数値はだいぶ下がるはずだといわれたが、ショックでしばらく何もいえなかった。

 そして同意書にサイン。なんだか大ごとな感じがしてますます不安になる。入院の準備が整うまで診察室で待っているあいだ、スタッフの人に声をかけられて思わず涙ぐんでしまった。

 しばらくして入院室に案内されると、にょらはエリザベスカラーをつけられ、左手に点滴の管をつけられて黄色い包帯で巻かれ、ケージの奥でうずくまっていた。先生がさわろうとすると「シャー!」といって猫パンチをくらわし、そのあと手を出したわたしにまで「シャー!」&猫パンチ。今まで「シャー!」はいわれたことがなかったのに(;_;)。相当気が立っているらしかった。先生からひととおり説明を受け、そのあとわたしはひとりでにょらを見ていた。ずっとウーウーうなっていたにょらも、頭をさわってやっていると、時間をかけて次第に落ち着いてきた。にょらが眠るのを見届けると、わたしはようやく帰る決心がついた。先生にあいさつし、病院を出て車に乗り込んだとたん、涙があふれてきた。



2003年09月20日(土)



 またまた激変


 9月7日のこと。お昼前になって、その日にょらの姿を見ていないことに気づき捜しにいくと、パソ部屋の椅子の上で寝ていたにょらは、なんとなく元気がないように見えた。そこでにょらを抱いて床におろしてみると、背中をいつも以上に丸め、首をぐっと下にさげた妙な格好ですわる。明らかにおかしい。今度は立たせてみる。すると、少しよろけながら2歩ほど歩いてすわりこんでしまった。

 前日まで元気いっぱいだったのに……。あわてて病院へ連れていった。レントゲンを撮っても前回から変化はないが痛みがあるらしく、レーザー治療を受けて痛み止めの薬をいただいた。

 前ににょらが歩けなくなって以来、わたしはチョコ断ちをしているのだが、実は先日食事をしにいったとき、デザートにうっかりチョコのミルフィーユをたのんでしまったのだ。気づいたときにはもうそれはテーブルに運ばれてきていた。でもにょらもすっかり元気になったことだしいいか、と思って食べてしまった。それ以外、チョコはいっさい口にしていないが、まさかまたこんなことになるとは……。許してぇ。もうチョコ食べないからぁ〜〜〜(T-T)。

 にょらがよたよた歩くうしろ姿は、首を下げているため肩甲骨が交互に突き出し、とても痛々しい。トイレまでの数メートルでも、途中で休憩を入れる。以前歩けなくなったときに用意した砂のトイレを今では使うようになっているので、それだけはよかったと思う。

 8日も9日も相変わらずの状態。寝る場所はふたつの部屋をたまに行き来するが、あとはごはんもほとんど食べずじっとしている(痛むのか、熟睡もできない様子)。目はうつろで、このまま衰弱して死んでしまうんじゃないかと思ったほどだ。しかしそんな状態でも、わたしや夫が様子を見にいくと立ち上がろうとするのだ。なんと忠実な。

 きのう(10日)の夕方5時ごろ、それまで寝ていた部屋を出ていくときには、まだ首を下げてよたよたしていた。ところがである。6時半に見にいくと、なんとしゃきっと起き上がり、首もきちんと上げた凛々しい姿でおすわりしたのだ。瞳にも輝きがもどっていて、ついさっきまで死にそうな顔をしていたくせに、この変わりよう。なんだかキツネにつままれた気分だ。

 ちょっと元気になるとすぐ調子に乗るにょら。きのうまではベッドより高いところに乗らなかったのに、きょうは机に直接飛び乗り、また飛び降りようとする。飛び降りるのは足腰にかなり負担がかかるので、身のほどをわきまえてほしいぞ。

 いつも悪くなるのも突然だが、よくなるのも突然だ。とにかく元気になってくれてよかったが、まだごはんを食べないのが気がかりではある。こちらは今いろいろと対策中。



2003年09月11日(木)
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